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1313 日本軍が使用していた92式歩兵砲に関しての質問なのですが、
1)何故70mmという中途半端な口径なのか?
2)この砲は曲射,平射両用に使えるとして開発されましたが,平射には余り向かないと聞きました。具体的にはどのような問題点があったのでしょうか。またその問題点の改良はなされなかったのでしょうか?
誠に申し訳あリませんがご教授願えれば幸いです。

畝傍

  1. 1)92式歩兵砲はなぜ口径70mmなのか?
     92式歩兵砲の開発にあたっては、独ラインメタル社の75mm歩兵随伴砲が参考にされたそうですが、重量が当時の日本の歩兵用銃火器の上限300kgを超えていたため、これをそのままコピーすることはできませんでした。そこで、11年式曲射歩兵砲(歩兵部隊の迫撃砲。ただし現在のような墜発式ではない)が口径70mmであることから、平射と曲射の併用砲である92式歩兵砲も口径70mmとされたという話です。

    2)92式歩兵砲が平曲射併用砲でありながら平射に向かないとされたのはなぜか?
     92式歩兵砲は、強装薬で水平発射すると信管が作動せず跳弾になってしまう等の問題があり、対機関銃用としては不評を買い、もっぱら曲射で使われることが多かったそうです。

     ちなみに、日本陸軍は後に本格的な墜発式迫撃砲として97式曲射歩兵砲を採用します。97式曲射歩兵砲は92式歩兵砲に比べて大口径(81mm)で砲も弾も軽量、発射速度も上回っていましたが、生産優先度が低く(弾を大量消費する面制圧兵器であるため弾貧乏の陸軍に受け入れられなかったといわれる)、南方戦線に送られた部隊の多くは92式歩兵砲を装備して向かいました。そもそも日本における迫撃砲の開発が大きく遅れた理由として、92式歩兵砲が最初に採用されていたためという説があります。
    ブラック・タロン

  2. 平射を使いたがらなかった理由としては、射程が短いので目標に近接しなければならないのだけれども、大口径短砲身のために発射音、発砲炎ともに大きく、敵に捕捉されやすいとされた点も挙げられるでしょう。
    平射で狙うからには目標に対して見通し線上にあるわけで、一発撃って位置を知られてしまえばほぼ確実に応射されます。
    これはドイツのIG18も抱えていた問題です。

    また、九二式固有の問題として、常装薬では初速が不足気味で弾道が安定せず、うんと近寄らないと命中率が期待できないし、かといって強装薬で撃つと信管が信用ならない。
    曲射であれば遮蔽位置からでも撃てるし、近接していても遮蔽していれば位置は知られない、信管も確実に作動する、照準の難しさは職人芸でカバーする、という運用法だったものと思います。

    まなかじ

  3. ブラック・タロン様,まなかじ様御教授ありがとうございます。
    なるほど信管に問題があるとは思いませんでした。
    畝傍


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