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1781 今回はベレッタM1938Aについて質問させていただきます。
1、昔のベレッタ系SMGの特色でもある二本のトリガーですが、資料によってどっちのトリガーで連射するかについての表記があべこべになっています。前後どっちのトリガーが連射なのでしょうか。
2、このSMG、なぜか廃莢口が左斜め上を向いていて多分薬莢もこの向きで出るのでしょうから右利きの射手にとって非常にストレスのたまる設計だと思います。なぜ右側に廃莢口をつけなかったのでしょうか。
お願いします。
紅葉饅頭

  1. >質問1(ベレッタM1938A系の二本トリガー)
     床井雅美氏の著書では前がセミ・オート、後がフル・オートとなっています。ただ、当方の手元には対比できる資料がないので正しいかどうか確認できません(;^_^A(←海外サイトとか当たれよ)
     手元にある床井氏の著書に載っているベレッタM4(M1938Aの近代化版の一つ)の写真を見ると、ストックの前方トリガーの上にE、後方トリガーの上にDが刻印されています。それぞれのトリガーの発射モードを示す記号(イタリア語の頭文字?)だと思いますが、どっちがどっちかわかりません(汗)IとかRとかなら判断できたんですが・・・

     余談ですが、M1938Aの最終近代化版であるベレッタM5サブマシンガンは現在もイタリア軍で使われているようですね(去年来日した伊海軍揚陸艦の警備兵が持っていた)。
    ブラック・タロン

  2. あのあべこべになっている資料というのが・・・。
    「最新サブマシンガン図鑑」 床井雅美著 後トリガーで連射派
    「第二次大戦歩兵小火器」  ジョン・ウィークス著 床井雅美訳 前トリガーで連射派

    どっちも床井先生がらみなんです(泣 でも床井先生は後者の本のあとがきで「私とは意見が違う部分が多々あったが著者に忠実に従うように訳した」という点と、実際私でもおかしいと思う部分が少なからずあるので「最新〜」のほうが正しいのかな〜と思ったのですが実際どうなんでしょうね。
    紅葉饅頭

  3. これまた床井さんの世界の銃器図鑑(?)の断面図を見ると前がセミオートで、後ろがフルオートです。部品名も入っていますが独逸語?で良く判りません。(辞書を引けばいいんだけど20年程使ってないのでどこにあるのやら…)
    実は無可動の文鎮物を持っておりますが、残念ながら中身が抜かれており実際に確認する事ができません。(悲しい…) しかし、前にあるトリガーが右側で、後ろのトリガーが左側にあるので、素早いセミ・フルの撃ち分けは難しそう…
    papanambu

  4. A1.床○氏の著書ばかり見ないで、他(洋書)もあたりましよう。
       正解は、前方引き金は、セミ用。後方引き金が、フル用です。


    A2.このベレッタM38サブマシンガンシリーズは、戦後のタイプも含めて、全て左側排莢ですね。
       さて、M38シリーズの1つの特徴は、コッキングレバーが右側 且つ、射撃時前方固定式という事でしょう。
       (コッキングレバーは、ボルトの前後運動に連係しない)
       M38シリーズは、オープンボルト方式の短機関銃ですが、大概の短機関銃とは異なり、
       初弾時に後方コッキングした後、レバーは前方に戻ります。 射撃時には前方に固定したままです。
       イタリア人は、射撃時にレバーが高速前後運動する事を嫌ったのでしょう。現代の短機関銃&アサルトライフルは、
       同様に射撃時固定式が多いですね。 先見の眼が有りますね。
       
       しかるに、レバーが右側前方に配置上、排莢口は左側やや斜め上に設置したと考えられます。
       もう1つ残っている位置、排莢口が真上というのは、照準上邪魔です。
       (特にフル連射時邪魔。 ロシアPPSh41は、これが欠点の1つです。)

       papanambuさんは、無可動実銃をお持ちのですので、その辺の事が確認出来ますでしょうか!?
       私の解説が間違っていたら、大恥ですね。


    追伸
    紅葉饅頭さん、{「第二次大戦歩兵小火器」ジョン・ウィークス著}この本は、??という点が少々有る本ですよ。
    しかしながら、62頁に書いて有る一文に気が付きましたか?
     「イタリアは、サブ・マシンガン用として、ピストル用より強力な9ミリの弾薬を製造していた。・・・・」

    私が、常々言っている、サブ・マシンガン用増装弾の事ですね。
    WWII時代のイタリア軍は、ベレッタM1934軍用けん銃弾薬は、9mmショート(.380ACP)を使用し、
    サブマシンガンは9mmPara増装弾を使用するという2本立でした。(極初期は、9mmグリセンティ弾使用)

    軌跡の発動機?誉

  5. 床井さんやジョン・ウィークス氏、洋書が何と言おうと、図面には記憶・勘違いや誤植がありませんのでこれから読み取るのが一番確かと…
    たまたま断面図を掲載してくれたのが床井さんと云うだけの事で。。。
    しかしこの世界の銃器は網羅性と云う点では重宝しますね!
    東京へ出張に行ったついでに神保町で購入しましたが、帰りの鞄の重かった事!
    しかし、右側コッキングハンドル&射撃時固定式と左側排莢の関係はご指摘の通りで敬服致します。
    射撃時固定式と云う事はボルトに逃し溝が必要ですので、エキストラクターとは両立し難いですね。(複雑な構造を厭わなければ可能かと思いますが、軍用ですからね…)
    尚、コッキング後にレバーは「自動的には」戻る様にはなっておりません。手で戻すか、第1段発射時にボルトに押されて戻ります。前方位置にてカバーの凸部がレシーバーの凹部に嵌る様になっていて、勝手に動かない様になっています。
    MG34のコッキングハンドルにも同様のバネが付いています。。。
    papanambu

  6. >4. A2. いつもながら明快な誉さんのご解説ですが、一点だけ補足させていただきます。

    Tullio MarengoniがデザインしたべレッタM38系の短機関銃の中で、唯一例外的に左側コッキングハンドル、
    右側排莢口を有するモデルがあります。 外観的には大戦中、MP38/40の影響を受けて製作されたM38/44 Model 2
    に酷似していますが、M38/44 Model 2がMP38/40タイプのフォールディングストックを有するのに対し、この右側排莢の
    モデルはU.S. M3タイプの引出し型ワイヤーフォールディングストック、加えてグリップセーフフィーを備えた改良型で、
    しばしばimproved M38/44等と紹介する文献を目にしますが、正式な呼称はBeretta Model 3、M38/49のバリエーションの一つです。
    1955年に製作されたBeretta Model 3は翌年、銃口部に折りたたみ銃剣を付加する等を改良を加え、伊海軍にも採用されました。
    このモデルはModel 4と呼ばれています。 これらM3、M4は1918年からべレッタの短機関銃の開発にあたったMarengoniの
    殆ど最後の製品ですが、これら以降、プロジェクトが氏の手を離れたM10(成功作M12の試作型、1957年)等、べレッタは左コッキング、
    右排莢口の短機関銃へとシフトしたようです。

    R. L. Wilson著 ”The World of Beretta” (ISBN 0-375-50149-5)という美しい本にも、べレッタ博物館収蔵のModel 4 短機関銃の
    写真があります。機会があればご覧下さい。

    >「第二次大戦歩兵小火器」ジョン・ウィークス著 
    その昔、サンケイ出版から出ていたバランタイン版WW2ブックスの一つ、"Infantry Weapons"でしょうか?なつかしいなあ。
    あの本は細かいことを言い出すときりがありませんが、全体的には示唆に富んだ、楽しい読み物だと思います。
    床井氏が敢えて原著に正確に訳したというのは、そういうエッセンスを伝えたかったのではないかな、そんな気がします。
    みなと

  7. みなさま、詳しい解説ありがとうございました。
    もうちょっとお聞きしたいのですが、左面廃莢口の後の方の木のくぼんだ部分ってなにがあるんですか?
    写真は例の本の白黒不鮮明なものしかないしネットで探しても見つからなかったんです。

    それと、papanambuさんが無可動実銃をお持ちということで甘えてお聞きしたいのですが、射撃時引き金を引くほうの手の親指はやはりボルト部の末尾のボタンのような出っ張りを押すような感じになるのでしょうか。

    >射撃時前方固定式
    これは便利ですね、さすがイタリア人。変なところに先見の明が(笑

    >「第二次大戦歩兵小火器」ジョン・ウィークス著 
    やはりですか、私も一読した時点で「英国人はとりあえず自分のところをべた褒めする」という話に大手を上げて賛成させられた本でした(笑 でも、間違ってても後でわかりますし主要国の兵器を網羅した本というのも貴重なんで結構重宝しています。
    >みなとさん
    えっと、私が持っているのは並木書房のもので去年の今頃発売されたものです。出版社を変えて再販されたのかもしれないですね。
    紅葉饅頭

  8. >左面廃莢口の後の方の木のくぼんだ部分
    M38系のどのモデルか判然としませんが、WW2時のM38A左側面の、フォアストック排莢口後方のやや小さい切りのことならばマニュアルセーフティ、レバーを前側に倒してファイアリングポジションです。その他、M38Aにはトリガーガード後方、フルオートトリガーをブロックする為の部品が付加されているものもあります。 M38系のマニュアルセーフティーは前述のM38/44 Model 2を始めとして、戦後商業的に成功を収めたM3、M4、M5ではフォアストック内プッシュ・プルタイプのボタン式に改められました。
    みなと

  9. 上の自分のレスを読むと、棘のある言い方に聞こえますね…
    誉さん、気を悪くされていたらゴメンなさい。
    さてご質問の「引き金を引くほうの親指は…」レシーバー後端を押す感じには―――なりません。。。
    キャップ部は後ろに出っ張り過ぎていて、「そんな所に自分の親指は無いぞ!」と云う様な位置です。
    それより木銃床部が太すぎて、私の手では前方トリガーに指先がやっと届く状態です。
    これが100式短機(モデルガン)になると第一関節まで届きます。やはり日本人向けなのでしょうか。。。
    ところで全てのモデルがかは判りませんが、私のM1938Aには後方トリガーのみ前面に滑り止めの溝があります。触って判る様にかも知れませんが、位置が全然違いますから間違え様が無い気もします。
    尚、私のM1938Aはみなとさんの云うレバー式のセフティーが付いています。
    これはシアをロックすると共にボルトの後退も防ぐ様になっています。
    M4のトリガーガードの前端辺りにある丸い窪みは、クロスボルト式のセフティーで左右に貫通していますが、どちらから押すとONかは(断面図からは!)判りません。
    しかし、右手の人差し指が届く位置では無いので、左手で左側面から押してOFFですかね…
    M5の右側面の指掛け溝にある細長い物はグリップセフティーだそうですが、きっとスプリングで出入りする構造だと思います。
    しかしこの位置だとボルトの後退防止は出来るかも知れませんが、シアのロックには遠すぎる気がします。
    ここはどんな構造なんでしょうね…??
    papanambu

  10. >9.papanambu さんへ
    私の低レベルな解説を papanambuさんや、みなとさんに 細部でフォロー頂き、感謝しております。

    ・M4クロスボルト式のセフティー・・・・・銃本体左側から、プッシュしてセフティON のはずです。
    ・M5フォアエンド内のグリップセフティ・・・・この件は、私も解りません。恐らくシアは関係せず、
     ボルトのブロックのみではないでしょうか。

    それにしても、次のM12が制式になるまで、20年近く左排莢のままという不便性を、
    運用側は指摘・改善要求をしなかったのでしょうか?(みなとさん解説のM3は別として)
    その事が一番難解であります。

    〜?誉

  11. ありがとうございました
    紅葉饅頭


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