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1862 実は前に買った仮想戦記を読んでいたところ三式弾はアメリカ軍のほとんどの航空機に対して威力を発揮しない。アメリカ軍の燃料タンクは(後期)20ミリを超える生ゴムと防弾鋼鈑に覆われており、撃墜と判断されたのはコクピットを命中した数機だけだったと。三式弾は見た目は派手だが威力はあんまりないそうです。本当なのでしょうか。たしか南方に展開していた艦隊が敵機を早期発見し、主砲の一斉射撃によって半数を撃墜した。との記述が別の本にはあるのですが、一体どっちが真実なのでしょうか?
迷探偵

  1.  三式弾の弾子は直径25mm、長さ70mmの鉄パイプで、中にマグネトロン等をベースとした焼夷剤が充填してあり、放出時に点火されて、火の塊として散る事になってました。
     25mmの鉄パイプが、砲弾の残存速度近似で散弾のように飛び散るのですから、飛行機の防弾如きは殆ど無力です。当たればひどいことになります。
     当然ですがゴム皮膜なんぞ何の役にも立ちません。当たれば抜けます。

     問題は、弾子数が少なく、また散布角が小さく、危害半径が小さいことで(つまり効果範囲が小さい)また榴撒弾形式であるが故に照準も少し変える必要がありました。
     12.7cm高角砲の三色弾で危害半径54m、燃焼距離600m、つまり高さ600mの円錐(半径54m)状の空間が効力範囲でしかなかったのです。
     まったく同レベルとは行きませんが、一般的な対空射撃用に使われた零式通常弾の場合14cm砲で危害半径250mになります。つまり半径250mの球状の空間が効力範囲です。これが12.7cm砲でも、三式弾よりも範囲が広く、またタイマー設定地点の前後左右の空間に効果を発するので照準難易度も低くなります。
     更に、通常砲弾の炸裂による破片は、大きさ的には三式弾の弾子よりも小さいのですが、鋭く尖っており、また非常に高速で飛散するので、その威力は三式弾よりも一般的に大な上、炸裂時に高熱になっているので着火性能でも同等というのが実体でした。
     また航空機に火災を起こさせるには、タンクに穴を開けた上で、次にその燃料が漏れて、空気と適当に混ざらないと、燃えないのです。
     三式弾だろうが、榴弾破片だろうが、防弾タンクのゴムは貫けますが、それで空いた穴は、このゴムで塞がれてしまうのです。つまり火はつきません。
     勿論条件次第では着火するでしょうが、特に三式弾は、弾子が少ないので、率としては非常に低いものになります。

     この問題は当の海軍でも認識しており、着火性をより向上させた新型焼夷弾子を放出する砲弾が大戦末期には登場していました。

     また、三式弾が実戦で効果を上げた事例は「気分」による大戦果は別として、正規にカウントされた戦果は、実は殆ど無いというのが実情です。


    SUDO

  2. ありがとうございます。やはり三式弾はあまり使えないようですね。当たれば凄いって・・・。これは三式弾うんぬんよりも日本の対空戦闘に対する認識の甘さと使えない射撃指揮装置しか生み出せなかった日本の技術の敗北でしょうか。逆に優れた射撃管制装置とできればVT信管を搭載すればかなりの戦果が期待できると。戦艦の主砲の口径なら特殊フィラメントやばねで大型化した真空管を搭載してVT信管化できなかったものですかねえ。大和の三式弾の被害直径484メートル。レーダーと連動した射撃指揮装置を併用すればかなりの戦果が挙がるように思われますが。でも日本の真空管じゃ無理ですね。
    迷探偵

  3.  日本軍の射撃装置の精度や認識は、他国と比較しても決して劣るものではありません。
     日中戦争を既にやっていた事もあって、対空射撃の経験も米国よりも豊富であり、その経験から三式弾は従来型対空射撃より効率的な手段のひとつとして考え出されたものだったのです(そして失敗した訳です)
     VTは構造上三式弾とマッチングしないので如何でも良いのですが、大口径主砲の射撃は、機銃や高角砲の射撃の邪魔になります。
     つまり射程10km以内では高角砲等が活動しますので、それ以前の距離で一撃かける以上の事はあまり期待できません。
     射程15〜20kmで航空機を狙って撃てる射撃装置や電探は当時としては米国でも難しかったでしょう(ちなみに46糎三式弾ですら危害直径は14糎の通常弾よりも小さいのです)また、その距離で200m程度の誤差で砲弾を送り込むのも殆ど無理に近いでしょうね。通常の榴弾(零式通常弾等)で射撃する方がはるかに効率的だったでしょう。
     そしてそのことは、戦時中に既に日本軍でも認識されていた訳です。
     三式弾の問題点は、照準関連もさることながら、危害範囲が非常に小さい事と、破片・弾子が少ない事(敵機にあたる確率が低い)にあったのです。
     射撃精度が十分に確保できるならば(弾子密度が高いならば)威力は高いのですが、遠距離射撃では精度は出ませんし、小型機相手では照準精度も出ません、少数の敵機がのんびりと中高度を飛んでくる場合に限って、通常射撃よりも効率的な可能性があったに過ぎない武器だったのです。
     そして、それは中国戦線等で殴りこんでくる少数の旧式爆撃機を阻止するには有効であり、太平洋戦線の状況を想定した兵器ではなかったのです。
     よってVT使おうが、電探使おうが、それが出来るなら、通常榴弾を使うほうが数倍効果的になったでしょう。
     三式弾もVTも電探も魔法の武器ではないのですから、特性や想定した条件を良く理解しないと意味が無いと思いますよ。
    SUDO


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