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1870 旧日本陸軍の文献に「機関小銃」というカテゴリーがありますが、その呼称ってまだどこかで使われてるんですかね?(BARに関する資料でも“マシン・ライフル”ってあります。なんで“オートマティック”になったのかな)

かいり

  1. 1.極東某国の軍隊では、「機関小銃」の呼称は現在では死語となっていますが、「機関けん銃」の様に
      復活する事も有るかも知れませんね。
      この軍隊での BAR(Browning Automatic Rifle)の正式呼称は、
      ”7.62mm自動銃M1918” だったと思います。 単に「自動銃」です。

    2. >.BARに関する資料でも“マシン・ライフル”ってあります。

      どのような資料なのでしょうか? 薄学な私は、BARに関してマシン・ライフルという解説がされているのは
      見たことが有りません。 洋書でしょうか? 和書で、ブローニング軽機関銃と書かれている物は散見しますが。

      ちなみに、和語:機関小銃, 英語:AR(Automatic Rifle), 独語:特に用語なし、単にGew(gewehr)
           
           和語:機関銃, 英語:MG(Machinegun),独語:MG(Maschinengewehr)です。
      そう、独語ではMaschinengunではなく、Maschinen(機関)+gewehr(小銃)と書いて、機関銃の事を指します。
      各国によって用語は様々で難しいですね。 

    後は、博学な方達のフォローをお願いします。
     
    軌跡の発動機?誉

  2.  上田信先生の著書によれば、BARのバリエーションの中に『マシン・ライフル』と呼ばれていたモデルがあったそうです。

    *M1922マシン・ライフル
     M1918をベースにした騎兵用モデル。銃身後半部に放熱フィンを備え、ストックにモノポッドを装備。フルオートのみ。生産数は少なく(数量は手元に資料なし)、1940年に廃止。

    *コルト・モニター・マシン・ライフル
     1924年頃にコルト社が警察向けに試作したモデル。ピストル・グリップと直銃床装備。強力すぎるとして採用されず。
    ブラック・タロン

  3. >2.M1922マシン・ライフル,コルト・モニター・マシン・ライフル
     ブラック・タロンさんの解説の物、そう有りましたね! 失念しておりました。

    ・M1922は、騎兵部隊にも機関銃火力を持たせたい考えより、軽敏なBARを利用して、
     >銃身後半部に放熱フィンを備え+重銃身に置き換えてフルオート持続射撃性能を向上、
     BAR本来の機関小銃を発展させ、軽機関銃化を狙った銃です。 
     よって、オートマチック+ライフル→マシン+ライフルと改称したわけです。陸軍呼称は、はっきり 
     ”Browning Machine Rifle M1922”と改称なっていますが、 しかしながら、BAR本来の短所である
     ”銃身交換が出来ない”以上、中途半端な軽機関銃としかならず、限定生産・短命に終わりました。
     そういう点で、本格的な機関銃:マシン+ガンとまでは言い換えなかったのでしょう。

    この辺が、かいり さんの質問 >なんで“オートマティック”になったのかな の回答になるでしょう。

    ・コルト・モニター・マシン・ライフルは、当時軍用にBARを製造するウインチェスター,コルト,マーリン各社の内、
     コルト社がBARにピストルグリップを付けて、米国外及び、警察・公用向市場を狙った物ですが、
     上記 M1922の様な軽機関銃化まではしていません。 単に市場アピールとして、
     マシン・ライフルの名を付けたのでしょう。 しかし、このピストルグリップ付BARの努力は、
     スゥエーデン陸軍の M21及びM37 Automatic Rifleの採用に繋がる事となっています。
     呼称は ”Automatic Rifle”ですよ! コルトの商売は小成功!! 
     但し、M21及びM37の口径は、6.5mmX55 モーゼル小銃弾で、確かM37は、
     銃身クイックチェンジが可能であったと思います。


    蛇足。
    極東某国の現行軍隊では、オートマチック:自動 の用語認識が違います。
    銃器一般概念では、自動(式)銃の意味は”自動的に装填、排莢、撃発準備をする銃(単発、連発に関しては言及せず)”
    の意ですので、64式自働小銃、89式自働小銃、9mm自働けん銃 となるべきですが、
    現実 ”自働”の言葉は付きません。 
    現次A隊では ”自働銃”の意が、旧海軍の”機関銃”の意の如く ”常用連発銃(常時フルオート射撃の銃)”を表す物
    となっています。 但し、本来の機関銃に対しては混乱を避ける為使用せず。

    つまり、>1.BAR=”7.62mm自動銃M1918A2”であり、”96式40mm自動てき弾銃”となります。

    長文失礼しました。

    〜?誉

  4. やはり使われてないようですね。そこでまた質問なのですが、オートマティック・ライフルといえばBARであり、ガーランドは単にライフルと呼ばれてますよね。M1にはボルト・アクション等の主動式と区別する為の名称はまったく付けられなかったのですか? 米軍が鹵獲したGew43を展示している写真を見たことがあるんですが、そこの壁には「Semi Automatic Rifle」とありましたから、自動化された歩兵銃はすなわち(半)自動小銃と呼ばれていたと思うんですが。
    (BARのような兵器は“機関小銃”と呼ぶほうがしっくりきます。FALやM14も近いかな。でないと突撃銃と自動小銃の区別が出来ません)
    無知ですいません、すいません。
    かいり

  5. ジョンMブローニングがBARを開発したコンセプトは、従来のライトマシンガンには困難だったウォーキング・ファイア(歩行射撃)にあった為、当初のM1918にはバイポットは付属しておらず、肩付け射撃に主眼を置いていた様です。
    BARには最初にブローニング・マシン・ライフル・モデル・オブ1918の名称が与えられたが、同時に開発された三脚に載ったブローニング・マシンガン・モデル・オブ1917と混同しない様にブローニング・オートマチック・ライフル・モデル・オブ1918の制式名称となり、更にライフル・オートマチック・ブローニング・カリバー.30モデル・オブ1918に改称されているとのこと…
    事実M1918の機関部上面刻印はBROWNING MACHINE RIFLE ―US.MODEL OF 1918―、
    M1918A2の刻印はBROWNING AUTOMATIC RIFLE US.CAL.30 M 1918 A2になっている写真があります。
    何か技術的と云うよりも政治的な改称の様ですね。
    ちなみに1969年のBARのマニュアルの表紙はRIFLE,CALIBER.30,AUTOMATIC,BROWNING,M1918A2,W/Eになっています。
    papanambu

  6. >4.5.まとめて回答・・・・当方所有の米陸軍マニュアル TM9−2200より。

    ・M1ガーランド 制式呼称と解説文頭。
     ”Rifle,U.S.,CAL..30,M1”
    The cal..30U.S.,rifle M1 is a gas operated,semiautomatic,clip-fed,offensiveshoulder weapon.

    ・BAR制式呼称と解説文頭。
     ”Rifle,AUTOMATIC,CAL..30,BROWNING,M1918A2”
    The cal..30 browning automatic rifle M1918A2 is a gas operated,magazine-fed,automatic,light infantry weapon.

    >5.papanambu さんの 政治的な改称の様・・・

    に関しては、小生、薄学な為存知ませんが、実は米軍の小火器カテゴリーに於ける
    ”automatic”と”machine”の意味付けは、>3.蛇足の次A隊と類似しています。むしろ次A隊が米軍に追従した。
    ”automatic”はフルオートのみ。”machine”はセミ・フル両用を意味します。

    米軍のライフルに於けるカテゴリー
     ・semiautomatic rifle:半自動小銃=自働装填単射小銃。
     ・automatic rifle:自動小銃=自働装填連射小銃。(連射のみ可、単射機能無し)
     ・machine rifle:機関小銃=自働装填単連射小銃。(単射、連射両機能、可)

    papanambuさん解説の通り、BARの初期のタイプ(例:M1918)が”machine rifle”と呼称(刻印がある)、
    中期以降で”automatic rifle(例:M1918A2)”と”machine rifle(例:M1922)”が混在してくるのも、
    その単−連機能の有無が 呼称の決定となります。
    >2.ブラック・タロン さん M1922マシン・ライフル〜フルオートのみ・・・
    は間違いです。 M1922は、単、連両機能を持ちます。


    ついでに、単射、連射両機能があるなら、何故単純に”machine gun”としないのか? その答えは、
    歩兵用個人火器shoulder weapon(肩付け銃)として考えられた物はライフルであり→”machine +rifle”となり、
    設置射撃を基本とする物は、”machine+ gun”となります。
    当然、BARは、歩兵用肩付け銃として開発されていますから、”automatic 又はmachine+ rifleの呼称になります。

    *shoulder weapon(肩付け銃)かどうか、1つの目安は、バットストック:銃床は必然として、
     フォアストック:先台 の有無で判断出来ます。
    *WWII以後は、アサルトライフル&そのカービンタイプの登場などで、上記の用語カテゴリーは死語となっています。
     
    更なる長文、失礼しました。


    〜?誉

  7. 誉さんに「薄学」なんて言われたら誰も回答できなくなってしまいますよ…
    上記の「事実M1918の機関部上面刻印…」の前に”初期の”が抜けていましたね。。。
    オリジナルのM1918&M1918A1はセミ・フルですが、これらが制式採用された時には
    オートマチック・ライフルの呼称だったと思います。
    M1918A2は海兵隊向けを除いて緩・急の連射のみですが、これも全て最初からA2として生産された訳では無く、M1918から改造された物もあり、これらには「A2」の刻印が後打ちされています。
    某ショップで無可動のBAR(全てA2)を10丁程見ましたが、後打ちされたA2を含めて全て「オートマチック・ライフル」でした。
    つまりセミ・フルでも「オートマチック・ライフル」と呼んでいた訳で、上記の様にM1917との混同を避ける目的で、敢えて呼称を変えたのかと…
    M1922になれば混同し難いとの事で、本来の機能を表す「マシン・ライフル」に戻ったとも考えられませんか?
    M1918&M1918A1のままで残っている物の刻印を沢山確認できればはっきりしますが、日本では無理かもしれませんね。
    papanambu

  8. papanambuさんの知識と研究熱心な事に尊敬致します。
    さて、”M249 MINIMI” こいつも、単射機能を持たず、750&1000r/min 緩・急の
    連射(フルオート)機能しか持たない故、下記HP解説の通り”automatic rifle” となったと考えます。
    もっとも”MINIMI”はshoulder weaponとは言いがたい物ですね、”Squad Automatic Weapon”という事ですか!

      http://www.fas.org/man/dod-101/sys/land/m249.htm

    ここの一番下でリンクされているMINIMI のマニュアルFM23−14も同様に 
    マニュアルの表紙の題目は、”M249 LIGHT MACHINE GUN IN THE AUTOMATIC RIFLE ROLE” でしたね。
    もっとも、最近では開けない事が多いです。

    しかしながら、shoulder weaponであり、単・連 機能を持ち、”machine rifle”(もろ機関小銃)と言いたい
    ”M14 RIFLE”が、その用語は一切見かけられず、文献によっては、 The Squad Automatic Weapon であり、
    ”BAR”のreplace(代替)となり得ると解説していますので、何がなんだか混乱します。 はてさて、真相は??

    ところで、>2.上田信先生の御本では、『マシン・ライフル』に何かキャプションが付いているのでしょうか?!

    〜?誉

  9. なかなか興味深い展開なので参加させて頂きます。用語の定義は時代・国・あるいは企業・個人によって多様であり、所詮、絶対的なものではあり得ませんが、例えばIan V. Hogg氏はMachine Rifleを以下の様に定義しています。
    「軽機関銃(light Machine gun)的な用法が可能な、重銃身・脚等を有する自動小銃(automatic rifle)を指す、廃れかけた用語。 ”真”の軽機関銃との相違は、戦場で交換可能な銃身を持たず、既存の自動小銃(automatic rifle)のデザインを直接、踏襲している点が挙げられる」(Military Small Arms of the 20th century, Krause Publication) 

    Machine Rifleと呼ばれた銃を回顧・列挙すると、
    *BAR系: M1922  *Chauchat M1915/18 *Johnson M1941/44
    いずれも米国での呼称であり、またChauchatはフランスでは自動小銃、ドイツ・ベルギー等では軽機関銃に分類され、また誉さんが指摘されているようにM1922とほぼ同じ機能を有するFN Model30、FN BAR Type D、Swedish BAR M-37等はやはり自動小銃と呼ばれていることも、国による定義の相違を伺わせます。 また、マニュアル等公式文書の表題に顕れる”Machine Rifle”という用語の出現頻度を検索エンジンで調べて見ると、1920年代から30年代にかけて米国で使われている以外には例を見ません。

    さて今一度Ian V. Hogg氏の定義に立ち返ると、現代ではFN-FAL FALOやRPKが丁度あてはまりますが、これらを"Machine Rifle"と呼ぶことはありません。 また、手許のちょっと大きめな英英辞書にも記載がありません。 コンセプトはともかく、言葉としては歴史的な用例を除いて「死語」と考えて良いのではないでしょうか。

    *尚、誉さんの「セレクティブ・ファイヤー」説、上記Machine Rifleと呼ばれた機材全てが確かにセレクティブ・ファイヤーです。当時、これらの兵器に期待されたものを示唆するようで興味深い点ですね。

    みなと

  10. 名称ひとつとっても奥が深いですねぇ。
    謝謝、みなさん。
    かいり

  11. >9.みなと氏「軽機関銃(light Machine gun)的な用法が可能な、重銃身・脚等を有する自動小銃(automatic rifle)を指す

    大取りの登場ですね。 ”Machine Rifle”の定義は、まさに Ian V. Hogg氏のこれです。 
    補足するなら、”automatic rifle”このautomatic はフルオートの意味ですよ!つまりフルオートライフル。
    フルオートライフルに重銃身、2脚付属、銃床に後脚追加、等を改良し、軽機関銃化した物が”Machine Rifle”でしょう。
    その際、単射:セミオート機能の追加も、軽機関銃化改造の要件と考えます。
    軽機関銃化する事により、射撃姿勢は、地上設置射撃(伏射)が主となります。

    余談、”Johnson”は、ライフルとして出来上がった時は”Johnson semiautomatic rifle”の呼称であり、
    後に軽機関銃化した物は、”Johnson Machine Rifle” の呼称でしたね。

    まっ、この現代に、マシンライフルという用語を使用する人間は皆無でしょうね。

    〜?誉


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