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1909  Warbirds内の某所(分かる人には分かるとおもいますが)で現在架空の重戦車の設定をしているのですが、その過程で疑問が生じたので書き込みます。
 いわゆるスペースドアーマーについてですが、これはHEAT弾の効果を殺ぐために装備されているということは知っています。
 しかしこの3点が分かりませんので、どなたかご教授願います。

 1:そのスペースの厚み(一次装甲と二次装甲との距離)は、例えばJS-3戦車の砲塔装甲ではどのぐらいなのでしょうか。
 2:歩兵携行用の(例えばパンツァーファウストのような)HEAT弾を無力化する(ジェット流が十分な厚さを持つ二次装甲を貫徹しない、またはジェット流自体が届かない)ようにするには、スペースはどのぐらいの幅だけあればいいのでしょうか。
 3:スペースに空気以外のもの、例えば水を入れた場合、HEATのジェット流を空気の場合に比べて減殺できるのでしょうか。
zono

  1.  1の訂正。
     調べてみると。どうもスペースドアーマーなのは砲塔ではなく車体装甲のようですね。
     いずれにせよ間隔幅は分かりませんでしたが。
    zono

  2.  JS3の車体側面ですね。
    http://www.battlefield.ru/is3.html
     こういう配置でして、つまり空間距離は一定ではないんです。

     空間装甲の防御機能に関しては他の人にお任せ(ぉ
    SUDO

  3.  空間距離に関しては分かりましたが、防御面積がなんか狭いぞ…<スペースドアーマー部分
     そして、その「空間距離が一定でない」形状にどのような意味があるのか知りたいところです。
    zono

  4. ここに来られる皆様には、釈迦に説法でしょうが。

    (1)スペースド・アーマーの空間距離。
    これは車両設計上、できる限りあける、と言った形で設定されているようで、「きっかり40センチあけて」といったことにはなっていないと思います。(相似形の張りボテになってしまう)
    形状も、旧ドイツのシュルツェンのような盾もあれば、メルカバのような鎖の暖簾もありで。本体との距離、と言われても・・・

    (2)では、どれくらいあればいいかというと、相手の弾頭次第でしょうが、プラズマジェット流はかなりな距離を直進すると言うことです。すなわち、たとえば「20センチの装甲を貫通する」ものならば、20センチ離せば安全かというと当然そうではなく、多少貫通力が落ちる程度と言うことです。
    通常のホローチャージ弾ならば、弾頭の約1口径分が貫通厚で、メタルジェットの有効距離はその数倍ですから、1メートルも離せばそこそこ安全度が高まるのではないでしょうか。
    また、スペースドアーマーには、噴流の角度を変えるアングルドアーマーの効果も期待できます。
    JS3の側面もそうで、命中した弾頭は装甲に密着して爆発するような設計になっているので、ペタッとくっついて斜め下を向いた状態で爆発します。
    すると、ジェット噴流は主装甲を直撃せず、斜めに吹き付けることになり、効果を減じます。

    (3)空気以外のものを入れることもあります。(実際に、空気以外のものを入れたものがスペースドアーマー、空気しかないものをスプリットアーマーとする分類もあります。
    まあ、水が入っていても、ジェット噴流としては「アレ?何かあったかな?」とか言いながら平然と突き抜ける気がしますが。(多少は効果あるでしょうが加熱されて水圧が高まり、意外なところに損傷が及びそうで怖い)

    そもそも、ホローチャージ用のスペースドアーマーであれば、トタン板でも金網でも良いわけで、あるいは、装具箱や車輪、サスペンションでも良いわけです。
    JS3の側面スペースドアーマーが小さいのも、そこから下はキャタピラや転輪がその役割を果たせばよいからでしょう。(スカートがあればもっと良いですが)

    (なお、この種のホローチャージ用の軽防御は、「アウターアーマー,アウタープロテクション」としてスペースドアーマーとは別個に分類されるようです。)

    JS3の砲塔に関しては、上述の弾着角度の問題で、初歩的なパンツァーファウストのような武器では曲面の厚い装甲に真正な角度でヒットさせることは難しかったのでしょう。

    重戦車のスペースドアーマーは、ホローチャージ対策以外に、KE弾の衝撃を吸収緩和したり、弾頭先端を変形させることで貫徹力を下げるとか、弾丸の射入角度を変えて主装甲を貫通しにくくするとか、そういった役割もあると思います。

    良い戦車が設計できるといいですね。

    クリスティー

  5. >また、スペースドアーマーには、噴流の角度を変えるアングルドアーマーの効果も期待できます。

    これはありあえない。っていうか、厳密にいえば確かに角度は変わるけど、それは1度とかそんなもん。事実上角度を変える事によって阻害効果を…というレベルには程遠い効果であるということです。

    確かに傾斜型空間装甲にはある程度の対HEAT阻害性がありますが、その主な効果は2つしかありません。以下にその効果を挙げます。

    1.最適スタンドオフを外す効果
    最適スタンドオフを外したHEAT弾頭は一気にその侵徹力を失います。その理由としては既存のライナー形状では、金属流の速度が一定ではないためです。一般的には生成直後のジェット流れが一番高速で、生成終了寸前が一番低速な状態になります。と、いうことはその流れが断片化する領域があるということを意味します。断片化した高速液体金属流に高い侵徹能力を期待できる訳がありません。

    2.金属流分流効果
    傾斜した装甲板に高速液体金属流が衝突した場合、スネルの法則に近い条件が適用され、結果終末弾道が屈折するということは、既に周知の事実ではありますが、この現象の全てが金属流に適用することは不可能です。それはHEATが生成する高速金属流の相が液相(もしくはそれに類似する擬似流体状態)だからです。つまり、終末弾道に入った金属流断面積全体に屈折効果を及ぼすに必要な強度のもつ結合状態は期待できないという事を意味します。ということは何を意味するのかというと、大きく編流された金属流と小さく編流された金属流が生成される。つまりは金属流が分流してしまうということです。簡単に言えば侵徹効果に寄与する主金属流を細くする効果ですね。もっとも、この効果を有意なものとするためには、多層型の傾斜型空間構造にしなければなりませんが。
    sorya

  6. sorya様

    お言葉ですが・・・
    「噴流の向きを変える」という表現がまずかったかもしれませんが、
    私が申し上げたのは、「噴流発生の方向そのものを変える効果」です。
    (出てしまった噴流を途中で遮るのではなく)

    モンロー効果弾頭は、命中した面に対してできるだけ垂直に噴流が出るように、中空部分を押し付ける形で爆発するわけです。
    具体的には、弾頭の下端が装甲に接すると、お尻を上に振りながら弾頭上端が装甲に接し、理想的にはコーンの開口部が装甲面にピッタリ密着する時点でジェット流が噴出すると効果的なわけです。
    ところが、ここで外殻装甲が傾斜していると、それに垂直に吹き込まれる噴流は、主装甲に対しては垂直とはならず、主装甲までの空間距離と実質装甲厚を拡大する効果があるわけです。

    誤解されやすい表現で失礼しました。
    クリスティー

  7. うーん。今ひとつ現象が見えないです。

    最初はmis-standoffを狙った、要は前回の投稿でいうところの項目1に該当するのかな?一瞬思ったんだけど、説明を良く読む限りはちょっと違うっぽい感じを受けました。正直なところ、1950年代以前の論文をフォローしたことが無いので、良ければもう少し詳細な説明をお願いできませんか?
    sorya

  8. 説明が悪くてすみません。
    ヘタですが、図にして見ます。

    たとえば、JS-3の側面装甲の場合。

        外殻装甲
    主 ■ \
    装 ■ \ ⊃= ホローチャージ弾
    甲 ■ \

    という状況においては、着弾の瞬間、弾頭は(貫徹効果を高めるために)下を向くので、(弾種は違いますが、イメージは下記のカンジで)
    http://www.battlefield.ru/guns/shells/apcbc.gif

        外殻装甲
    主 ■ \ ∠
    装 ■ ×
    甲 ■ / \
      ■
    ジェット流が斜めに発生する。

    これにより、主装甲までの距離が広がり、また、噴流が斜めに当たって実質装甲厚が増え、また浅い角度であれば表面での反射により貫通効果が落ちる。

    ・・・というのが、「モンロー効果弾に対する傾斜・中空装甲の効果」です。

        外殻装甲
    主 ■  I
    装 ★===☆⊃=
    甲 ■  I

    という、非傾斜外殻に比べて、若干有効ということです。


    クリスティー

  9. んぐっ!ずれた・・・(やっぱり・・)
    今度はどうかな?

    主 ■ \
    装 ■ \ ⊃= ホローチャージ弾
    甲 ■ \

        外殻装甲
    主 ■ \ ∠
    装 ■  ×
    甲 ■ / \
      ■
    ジェット流が斜めに発生する

    クリスティー

  10. ・・・・涙。
    クリスティー

  11. >6,8,9
     何となく言わんとしてることは理解できますが、それってば被帽徹甲弾の現象では?
     被帽の無い弾頭では逆の事が起きるかと(つまり避弾傾始)

    SUDO

  12. ホローチャージ弾が被弾経始の影響で(上記の例では)上を向いてしまっては、まるで役に立ちません。
    (実際に、昔のパンツァーファウストはそうで、JS戦車の曲面砲塔ではミスファイアが多かったという話もありますが:後述)

    ご質問で挙げられているパンツァーファウストを例に取ると、
    低速弾であり、口径が大きい弾頭なので、(上の例では)下側が先に装甲面に接し、弾頭の重心位置が接触点と大きく乖離して上方にあるため、接点側に回転するモーメントが生じます。

    戦車砲等の、比較的弾頭直径が小さいHEAT弾では事情が変わりますが、やはり硬質の弾頭に比べたら、軟質被帽を持ったものと特質は似ているのでは?(弾頭先端のロッド部分が接点で、ロッドが潰れ込みながら弾かれずに接触を維持し、弾頭は接点を中心に回転する)

    実際に、以前読んだ論文でも、低速のホローチャージ弾が傾斜面や曲面に対して間違った角度で撃発してしまう確率を論じ、それを改善するために弾頭の飛翔速度と信管の遅動の関連をどうすべきか検証した物がありました。
    (インターネットでも探したのですが、まだ見つかりません。WEBでも似たような検証を読んだ覚えはありますがどこに行ったのやら)

    まあ、そういう理論を唱える人もいる、という事で。
    クリスティー


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