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2017 前から疑問に思っていたことなんですが・・・
潜水艦はなぜ対空装備を持っていないのでしょうか?(例を挙げるとすればP−3CやSH−60に対しての)
これらは潜水艦にとって大きな脅威だと思うのですが、技術的な問題なのでしょうか?
誘導弾

  1.  旧ソ連の潜水艦等では携帯SAM程度のものを搭載しているという説もありますので、まったく持っていないわけではないと思います。
     潜水艦と対潜哨戒機の関係は、第一次大戦から続くのですが、基本的に潜水艦は潜ってしまえば航空機からはかなり安全なんです。
     潜っていて見つかった場合に浮上して応戦準備する前に魚雷かミサイルが飛んできますので、何とか逃げるのが優先されるわけです(そして潜水中に空中の対潜哨戒機を見つけるのは無理に近い)
     潜水艦が潜航したままで行動するようになった時点で、浮上中にしか使えない装備は重要性を失ったのです。
    SUDO

  2. フランス・ドイツ・イタリア共同でPolyphemという中間がINS/GPS
    終末が光ファイバー指令誘導の対戦車・対ヘリ誘導弾を開発中です。
    これに潜水艦搭載型も提案されています。
    これは射程もそこそこありますし(20km)光ファイバー終末誘導なら
    潜水艦から指令誘導電波を出す必要が無いので(むしろ潜水艦からは電波
    発信が不可能ですが)、ある程度実用的かなあと思います。
    ですが今のところ実戦配備の情報を聞きませんので、やはり遠方の哨戒機
    を事前に見つける方法と、万が一見つかったと判断したときに
    逃げた方が良いのか、自己位置を暴露してでも攻撃した方が良いのか
    難しい判断があるのかもしれません。 
    タイ駐在員

  3.  1943年に北大西洋でUボートの攻撃が極端に制限され、一時は撤退せざるを得なかったのは、連合軍の努力、特に航空機やレーダーを中心とする兵器類の改善が大きかったと思われます。このため、ドイツ側も様々な対抗手段を打ち出しますが、その中に対空火器を充実させた潜水艦の投入と言うのもありました。これは、それなりの効果を挙げましたが、予備浮力の小さい潜水艦は非常に小さい被害で沈没する危険性があり、航空機側も対抗策を打ち出してきたため、結局、デーニッツは諦めざるを得なかったのです。このため、水中での行動能力を向上させた新型Uボートの導入に全力を挙げて取り組むわけですが、これの大量建造の前に戦争が終わってしまったのです。
     戦後、潜水艦は水中での行動に重きをおいたものとなり、ドイツの目指したのと同じ方向を向くことになります。その結果、基本的に浮上する必要のない原子力潜水艦にまで発達しますが、なお、非核動力潜水艦も多く残されます。これらの非核動力潜水艦はシュノーケル等水面上に露頂する場合もあり、イギリス、ヴィッカーズ社はSLAM(Submarine Launched Air Missile)と言う潜水艦搭載型対空ミサイルを開発します(写真がhttp://www.sistemasdearmas.hpg.ig.com.br/slam.htmlにあります。文章はポルトガル語ですけれど)。そして、1972年には海軍から貸与された潜水艦イーニアスの艦橋に搭載して運用試験を行いますが、射程の短さから開発中止となります。
     その後、このミサイルをどこかが運用テストを行ったとか言うような記事を見た記憶もありますが、判然としません。
     SUDO様の仰ってられるように、潜水艦にとって最大の武器は隠密性です。潜水して避けられるのなら、わざわざ危険を冒してまで航空機と対戦する必要はありません。したがいまして、どうしても浮上する必要のある場合のみ装備が必要になるかも知れませんが、通常は必要はないと思います。ただ、特殊部隊の揚陸用に戦略型潜水艦が改造されつつある今日、浮上の機会は他より大きいと思いますので、需要が生じる可能性はあろうかと思います。

    hush


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