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2138 幕末に輸入された「洋式銃」についてふと疑問に思ったのですが、
いわゆる「元込め式小銃」(スナイドル銃等)では
「薬莢」に当たる部分はどうなっていたのでしょうか?
先込め式小銃(ゲヴェール、エンフィールド等)では弾薬包、
もう少し進んだ銃の場合(シャスポー、ドライゼ)は紙製薬莢等を使用していたと判りましたが、その中間ぐらいの銃ではどういう方式で発射薬を装填していたのか
さっぱり判りません。
どなたかお教え願えませんでしょうか。
よろしくお願いいたします。


畝傍

  1.  手元の資料が乏しいのですが、紙(皮)薬包と紙製薬莢の中間に当たるような後装銃用の弾薬システムはなかったように思います。基本的にはスナイダー銃〜ドライゼ・シャスポー銃までの後装銃はそのまま薬室に装填できる紙製薬莢を使用していたと考えていいでしょう。
     強いて中間的存在になりえたものを挙げるなら、1848年にアメリカでワルター・ハントが発明したロケット・ボール(弾丸後部に窪みを設けて発射薬を充填した弾。後の1854年にS&W社が改良してボルカニック弾となる)くらいのものでしょうが、これもぶっちゃけた話イロモンで終わってます。

     スナイダー(スナイドル)銃はエンフィールド銃を後装式に改造したものですが、これの弾薬は底部に雷管を備えた紙製薬莢でした。一方、スナイダー銃より約20年早く登場したボルト・アクションの始祖であるドライゼ銃は、弾頭と発射薬の間に雷管を備えた弾薬を用い、針のように長い撃針が発射薬を貫いて雷管を撃発する仕組みになっていました(故にツンナール=ニードルガンと呼ばれた)。
     ま、どちらも紙製薬莢(ドライゼ銃の場合は薬包と読んだ方が近いか?)であり完成度は金属薬莢とは比べるべくもないという点ではスナイダー銃もドライゼ銃も大同小異といったところでしょう。
    ブラック・タロン

  2. 次鋒行きます。
    本件は、”SNIDER AMMO”や ”.577 SNIDER” 別名 ”BOXER CARTRIDGE”等を
    キーワードに海外検索をすれば、いくらでも出て来ると思います。和名「ボクサーパトロン」でヒットしないのは残念です。

    これでは、寂しいので、下記画像を紹介します。 本家英国製の弾薬でしょうね。
      http://www.surplusfirearms.com/images/SNIDER577.jpg

    本体部は、防湿処理された紙製(Cardboard)で、ヘッド部(リム部)は真鍮製です。
    ヘッド部内の雷管は当然ボクサー雷管でしよう?  そして、弾頭は鉛の塊ですね。←ミニエー弾。
    そして、この弾薬も油脂でグツショリなんでしようか・・・!

    この手の紙弾薬は、色々まずい点が有って、”.577 SNIDER”弾も後年、現代のカートリッジと同様に、
    全真鍮製薬莢に改良されました。

    標準的な弾薬仕様
     口径: .577 (14.7mm)
     弾薬全長: 2.45in (62.2mm)
     薬莢長:  2.00in (50.8mm)
     弾頭重量: 480gr   (31.1g)
     初速:  1250 f/s  (375m/s)
     発射薬量: 黒色火薬 73gr (4.7g)

    あとは、幕末期の銃に詳しい方の訂正、フォローを、お願いしましょう。


    軌跡の発動機?誉

  3. ブラック・タロン様、軌跡の発動機?誉様、
    本当にありがとうございます。
    幕末を扱った小説などを読んでいて疑問に思っていたので
    質問させていただきました。

    畝傍

  4. 中間ぐらいの、、、という意味が良くわかりませんが、
    たぶん、油紙で弾と火薬を一発分丸ごと包んだ実包を使った元込め小銃から
    19世紀中ごろに雷管式の発明とともに出てきた発火性の紙やリネンで作った
    薬莢を使った小銃への過渡期の小銃と言う事でしょうか?
    実包の材質の流れだけを観るとその中間と呼べるものは無いといえます。

    あと蛇足ですが、幕末につかわれた小銃の呼称は、日本独自の勝手なものもあり注意が必要です。
    たとえば、ゲペール銃、ミニエール銃という小銃はありません。
    ゲペール(geweer)は、オランダ語で小銃のことで、
    ミニエール銃とは、ミニエー式弾丸を使った、使えた小銃の事でした。



    マサ


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