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2180 自衛隊や米軍のヘリの中には、熱源探知機の様な物を装備している機体もあるのではないかと思うのですが、これを、山中の遭難者の捜索に使う事はできますでしょうか?以前、水難事故の際、自衛隊のヘリが、低空で熱源探知機か何かを使用しながら捜索していた様な記憶があり気になっています。ご存知の方がいらっしゃいましたら、お願いいたします。
村上智生

  1.  自衛隊や米軍の機体に限らず最近の防災ヘリや海上保安庁のヘリ等もFLIR
    を装備した機体が増えています。

     山中の遭難者の捜索に使えるか、ですが、場合に寄るとしか答えられません。
     例えば、遭難者が暴露した状態で周囲が開けている様な所であれば、周囲との
    温度差で見つかるかと思うんですよ、しかし、雪洞の中とか雪崩れの下とか、林
    の中とかの周囲との温度差が目立たない場合に見つかるか、ちょっと疑問が残る
    のでは無いかと思われますが、詳しい人フォロー願います。
    ooi

  2. 山岳遭難の捜索・救助と海難救助は質的に大きく異なります。

    遭難者の居場所は、後者は目標物の無い広大な海面を潮流や風に流されながら漂流していますが、前者は滑落や転落の場合以外は登山ルートから人間の足で移動できる範囲に限られます。遭難者自身や同行者・目撃者などから、ほぼ正確な地点が通報されるケースも、携帯電話の普及により急増しています。

    従って山岳遭難の場合の空からの捜索・救助活動は、目視により登山ルートをたどることが基本で、地形を熟知している必要があります。

    もちろん捜索にあたって熱源センサーや暗視装置などの装備を使用するに越したことはないと思いますが、それ以前の問題として山岳地帯特有の複雑な気流に対応できる操縦技術が必要ですし、気象条件の制約は平野部や海上よりかなり大きいでしょう。

    海上保安庁の(固定翼・回転翼)航空機は、ある意味で海難救助に特化した運用がなされているのに対して、警察・消防のヘリは「よろず引き受け」的で、山岳遭難の救助はその山域での運行(山小屋への荷揚げ、送電線等の建設・保守作業など)に熟練した民間のヘリに大きく依存していると言えます。
    (空自の航空救難団による山岳遭難者救助の実績はあるが、本来の任務は事故航空機の搭乗員の捜索及び救助。)

    ヘリに限らず、山岳救助を専門とした公務員はきわめて少なく、ほとんどの場合、初動は委託された民間人(山小屋の経営者・従業員など)です。

    ちなみに民間のヘリが捜索に出た場合、(発見・生死の有無にかかわらず)1時間当たり数十万円の費用が請求されます。民間の人手による捜索の場合も日当が請求されます。

    私の友人が十数年前、北アルプスで道に迷い数時間行方不明となり、山小屋の従業員が捜索に出たということがありましたが、後日××県警から数万円の請求書が送られて来ました。

    それ以来、私も山仲間と一緒に山岳遭難保険に加入しています。

    ご質問の主旨から少しそれましたが、実情はこんなところでしょう。


    不穏分子が山中に逃げ込んだとか、某国の特殊部隊が潜入したとかなら、威力を発揮するかも知れませんが。

    蛇足:救助活動であっても、民間ヘリがヘリポート以外の場所に着陸するのは違法だったような...
    OPD

  3.  軍他公的機関などで捜索に使用される熱源探知機がどのようなものか知りませんが、もし、科学系・医療系のTV番組に度々登場するサーモグラフのようなものであるならば、殆ど役に立たないと思われます(少なくとも、素人が期待するほどの効果はないと思われます)。

     以下、捜索用熱源探知機がサーモグラフと同等のものと仮定して話を進めます。

     サーモグラフは使用する前に撮影(計測)対象の上限温度と下限温度を設定し、その範囲に応じて自動的に各温度ごとの色分けがなされ、ピントとアングルを調整して使います。
     ピントとアングルですが、サーモグラフは温度分布を映し出しはしますが、その映像から撮影対象物の輪郭は判別できないので、はっきり言って何が映ってるかわかりません。まぁ、ヘリから使うのであればピントは無限大固定でOKだし、アングルも通常のTVカメラと並行に設置すれば大丈夫でしょう。
     次に上限温度と下限温度の設定ですが、この設定範囲が広いと当然ながら色の違いが表す温度の差も雑(画像のムラが大きくなって小さい熱源は見えなくなる)になっていきます。かといって狭いと設定範囲外の温度は映さない(上限温度より上は白一色、下限温度より下は黒一色)し、微妙な温度差で彩色が激しくなりすぎて却って何が何だかわからなくなります(かなりサイケデリックな画像になってしまふ)。

     当然ながら背景の温度も一緒に映し出すので、捜索目標と背景の温度が近いと判別するのは非常に困難です。(TV番組で使われるサーモグラフ映像は、背景が映らないように背景とカメラの設定を調整してあります。また、ハイテク兵器が登場する映画などのサーモグラフ映像は確実に映像加工が入っていると思ってください。)

     人間の体温は36〜7度前後だから、その温度を映すように設定すれば・・・と思われるかもしれませんが、海難者や雪山遭難者の体温も常に36度前後に保たれているとは限りませんし、彼らは間違いなく服を着ているので熱源探知機は遭難者の服の表面温度を映し出します。そして、それは限りなく背景の温度と近いので、衣服から露出している顔などの限られた部分の温度を探知する必要があります。が、人体であっても手足や顔などの露出している部分は冷えているのが当たり前なので、背景との温度差はやはり小さくなります。
     ただでさえ小さい人間の顔から発せられる温度を遠く上空から探知しようというのはまず無理な注文です。遭難者だって四六時中上空に顔を向けてくれているわけでもないでしょう。

     人間の体温を直接探知するというよりは、焚き火やランタンなどの高熱源を探知するのに使われるのではないでしょうか?
     そうした高熱源無しに考えるのであれば「頼りにならないが、無いよりマシ」ぐらいの代物と思った方が良いと思います。


     蛇足ですが、ワタシの知っている人は
     「山で遭難して、本当〜にどうしようもなくなったら、山に火をつけろ!必ず誰かがやってくる」
     と、のたまっておられました。
    おうる

  4. >ハイテク兵器が登場する映画などのサーモグラフ映像は確実に映像加工が入っていると思ってください。)

    映像加工っていうか、、、、検出にAGCでノーマライズされるロックインアンプを使ってるだけだと思いますが。
    sorya

  5. >4.
     表現が不適当でしたか。
     普通に温度分布の計測に使ったことしかなかったもので、あのテの映像に関しては「何らかの処理が行われてるのだろう」ぐらいしか分からなかったものですから、m(__)m
    おうる

  6. と、いうかね。焦電型の検出素子って出力がエらく低いんで、何らかの方法で電荷を放出しきらせなならんのですよ。そのためポイントスキャン型の焦電型素子を用いるためには、素子の前にチョッパを併用したロックインアンプをもって検出するのが普通なんだわさ(若干というか、かなり説明を端折ってるけど)。でもって、その流れ出最近のFPA なんかでも似たような事をしてるんだよね。その方が環境雑音を選択的に除去可能だから。
    sorya

  7. >6.環境雑音を選択的に除去可能だから。
     これって、捜索飛行中にリアルタイムで背景ノイズを除去できるって事ですか?
     「役には立たないが、無いよりマシ。」ぐらいの代物と想像してたんですが、的外れでしたね(-_-;)
    おうる

  8. まぁ。的外れに極めて近いですね。ロックインアンプというのは言うなれば、ヘテロダイン式の信号検出法です。計測信号と参照信号とを掛け合わせ、そのビート信号をLPFによって再評価することで、極めて高いQ値をもつ、超狭帯域フィルタとして作動するんです。例えば10MHz±1mHzとかね。これによって、雑音に埋もれてしまった低SNの信号を必要な部分だけ抽出することが可能です。少なくとも軍用の場合、検出回路にそのような回路を設けるのが一般的です。コントラストとかγを弄くるのは今日びというか、かなり昔から流行ってないです(笑)
    sorya

  9. >8.コントラストとかγを弄くるのは今日びというか、かなり昔から流行ってないです(笑)

    すみません。ウチの会社では未だにやってます・・・それで間に合うので(T^T)るるる〜

    と、いうわけで>3.の発言は撤回!随分と役に立ちそうです。
    おうる


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