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2216 針のような特殊な弾丸(フレシット……?)を射出する銃があると何度か聞いたことがあるのですが、実際に実用化されているものなのでしょうか?
運用している軍や警察など、また使用するメリットなどを教えていただきたいと思います。
kei

  1.  フレシェット弾薬(ダーツ=矢状の弾丸を発射する弾薬)は今のところ軍用弾薬としてはまともに実用化されていませんが、過去に軍用ライフルの弾薬として研究されていたことがあります。
     米陸軍は1963年からM14ライフルの後継となるフレシェット弾薬使用の歩兵用複合小火器SPIWの開発計画をスタートし、1950年代からフレシェット弾薬の開発に乗り出していたエアクラフト・アーマメンツInc.(AAI)等から試作銃が提出されて数次のテストが行われ、最終的にAAI案をベースとして研究が続けられました。が、肝心のフレシェット弾薬の性能がなかなか安定せず、その上ベトナム戦争が始まってM14ライフルの後継を求める要望が高まった等の理由により、SPIW計画はM16ライフルに取って代わられる形で1970年に中止されました。
     その後、1980年代に米軍はM16系ライフルに変わる次世代ライフルの開発を目指してACR計画をスタートさせました。この計画はSPIW計画と異なり各種コンセプトの試作銃が各社から提案されましたが、その中でAAIとオーストリアのステアー社はそれぞれ独自のコンセプトに基づくフレシェット弾薬の試作銃を提出しました。この計画も最終的に中止となっています。
     また、1979年に米軍が行ったMIWS計画でも、軍用オートマチック・ショットガン用にフレシェット散弾とでもいうべき対人弾薬が研究されていました。

     これらの研究において開発が進められたフレシェット弾薬は、5.56mm等の既存のライフル弾薬の薬莢にプラスチック製サボットで包んだ口径4〜5mm級のダーツ状の弾丸を装着したものが大部分で、原理的には戦車砲弾のAPFSDS弾とよく似ています。
     フレシェット弾薬のメリットとしては初速の大幅なアップや貫徹力の向上等がありますが、反面、命中精度が劣り弾道や着弾威力が安定しない(ダーツ状弾丸のため風の影響を受ける、戦車砲弾と違い小口径のためサボットが上手く脱落してくれない等々の要因による)等の欠点を有しています。
     結局のところ、これらの長短を勘案して現用のライフル弾薬に勝るものがないと判断され、フレシェット弾薬は実用化されていないというわけです。


     余談。フレシェット弾薬とは多少趣が異なりますが、サボットを使って大口径ライフルから小口径弾を撃つアイデアが民間向け弾薬で実用化された例があります。
     レミントン社から発売された『アクセロレーター』という弾で、.30-06の薬莢にプラスチック製サボットで包んだ.22口径弾丸を装着したものです。.30-06のライフルでバーミント(小動物猟)用小口径弾を撃てたらというアイデアに基づくものでしたが、上で書いたような命中精度の悪さ等により評価は芳しくないようです。
    ブラック・タロン

  2. ロシアのAPS水中アサルトライフルはどうでしょう?
    5.56×150mmで針と言うより釘みたいですが。

    余談ですが某ロシア製アクション映画の予告編にこいつの実射シーンがあります。
    ttp://www.svarog.com.ru/Video_e.html
    まるに

  3. 針のような弾丸を打ち出す銃は存在します。ロシアの水中銃です。ピストルタイプとアサルトライフルタイプの2種が存在します。ピストルタイプは「SPP−1M」といい、4本の銃身を備えており口径は4.5mmです。国際出版株式会社の月刊「Gun」という雑誌の2002年10月号で特集されています。そしてアサルトライフルタイプは「APS」といい、脱着式マガジン、伸縮式ストック、フルオート機能を備えており、
    口径は5.66mmで装弾数は26発です。国際出版株式会社の月刊「Gun」という雑誌の2002年8月号で特集されています。この2種の主な用途は勿論、水中戦用でロシアの特殊部隊「スペツナズ」が使用していたらしいです。メリットについてですが
    水中で使用する場合、弾丸がスピンしにくいという事が挙げられます。つまり、抵抗の大きい水中でまっすぐ進みやすいという事です。モリ打ち銃と同じ理屈です。
    尚、この水中銃。一応、地上でも使用可能らしいです。極近距離に限られますが。
    さて、この水中銃の現在の状況ですが私の予想としてはあまり活躍していないでしょう。理由はソ連の解体、冷戦の終結などが挙げられます。
    マーフィー

  4. APSを改良した発展型のASM-DTというライフルが存在するようです。
    http://www.milparade.com/2001/48/02_02.shtml



  5. >1.オーストリアのステアー社〜フレシェット弾薬の試作銃を提出〜この計画も最終的に中止となっています。

    近年の”Fleschette”小火器と言えば、この”Steyr ACR (Steyr Advanced Combat Rifle)”が有名なんですが、
    誰もレスしませんね。

      http://www.steyr-aug.com/acr2002.htm
        矢画像で横になっている”Fleschette”の前半部黒い物が”サボ”。

     ここも参考。
      http://world.guns.ru/assault/as56-e.htm

    フレシットの特性である軽量超高速弾(矢)により、弾丸比エネルギー(運動エネルギー/弾丸断面積)を向上させ、
    低伸弾道と貫通力を狙った物ですが、弾丸運動エネルギーの絶対値は、やはりかなり低くなりますね。(拳銃弾並)

    フレシット弾データ  直径 1.5mmX長さ41mm、  矢重量 約0.66g
               初速 1450m/s だそうです。 

    ・・・・・・まるで、釘ですね。

    軌跡の発動機?誉

  6. 参考になりました。やはりデメリットの多さから採用は見送られているようですね。
    ロシアの水中銃はうろ覚えですが拳銃の方を雑誌で見かけました。単純な構造で銃身を四本束ね、撃鉄がリボルバーの弾倉のように1/4ずつ可動するタイプ……でしたっけ? 写真付きだったものの、トンデモ兵器の一種ぐらいに思っていました。
    ありがとうごさいます


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