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31 メナドやパレンバンに降下した空挺部隊で、落下傘の不開傘による戦死者は出ているのでしょうか? また、当時の落下傘の不開傘確率はどの程度のものなんでしょうか?

  1. 陸軍の落下傘部隊の場合、殉職事故は2件起きています。いずれも訓練中の事故で実戦ではそのような事故はありません。


  2. 最初の事故はまだ正式の部隊発足前、「浜松陸軍飛行学校練習部」で落下傘部隊の基礎研究と要員養成が行われていた時代に起きています。浜松で基本的な運用法をほぼ確立した後、大量の空挺要員養成の為に昭和16年5月に第2次選抜者を含む約400名が満州の白城子に移動して訓練を行いました。この時に一人の靴の踵に補助傘(主傘を引き出す小さな傘)と主傘をつなぐ30cmぐらいの紐が絡みついたために主傘が開かずにそのまま落下してしまいました。


  3. この当時使っていた落下傘は、飛行機搭乗員用の97式操縦者用落下傘(座布団式)と92式同乗者用落下傘(前掛け式)の2種類で事故がどちらで起きたのかはわかりません。パレンバン当時には空挺部隊専用の1式落下傘が配備されています。これは背負式の主傘の他に前掛け式の予備傘がセットになっていて、安全性が増しています。ただし実戦では胸の前の予備傘は使われない予定で、実際にパレンバンの時にはここに予備傘ではなく弾薬や手榴弾を入れていたようです。


  4. その後、宇都宮飛行場で挺身第1連隊が天覧降下演習を実施した時に第2の事故が起きています。この時は一人の脚に主傘がからみつき、予備傘を引いたが間に合わずに落下してしまいました。天覧演習での事故だけにショックは大きく、ただちに新型の落下傘が開発される事になりました。これが4式落下傘で、従来の落下傘(傘体優先方式)とは違い吊索優先方式が取り入れられて、開傘時に開ききる前に人体にからみつく危険はなくなりました。(EOS)


  5. ちなみに海軍の落下傘部隊については「海軍落下傘部隊」 山辺雅男 朝日ソノラマ文庫 という本が詳しいです。海軍の場合は訓練段階で数人の犠牲者を出している一方で、吊索優先方式を取り入れた1式落下傘(陸軍のとは別物らしい、同じ藤崎航空工業なのに)をいち早く採用するなど進んだ面もあります。不開傘確率についてははっきりした事はわかりませんが、ダミーを使用した試験では当初10%程度、それを1%未満にしてから最初の人間による降下が行われています。


  6. また陸海軍とも落下傘部隊として仕上がった段階ではおそらく0.01%未満ぐらいだったように思えます(EOS)



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