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346 えーと、今の議論ボードみてて思ったのですが、
戦時中の精密部品等の製作用の工作機械などは、
ほとんど戦前にドイツなどからの輸入であり、
それを自国で生産もできなかったので、
いくら物資があっても、精密部品などの大量生産などは
できなかったと聞いたことがあります。
いったいこの話は本当なんでしょうか?嘘なんでしょうか?
P-kun

  1.  旧陸軍の小火器生産での話ですが・・・

     旧陸軍の30年式〜38式歩兵銃の製造は、精密加工に関する技術蓄積がほとんどなく、ほとんど手工業的な交差水準から始まりました。部品の最終仕上げに関しても、鉄砲鍛冶の生き残り的な熟練工の技術に頼っており、結果、同じ銃でありながら、製造した造兵廠が違うと摺り合わせなしには部品を互換できないという致命的な欠点を露呈しました。14年式拳銃等も同様だったようです。
     旧陸軍の重機関銃や軽機関銃の大部分に塗油装置(薬室に送り込まれる薬莢に油を塗る装置)が付いていたのは作動不良防止のためでしたが、これも1/100レベルの精密加工技術の未熟に一因がありました。
     それでも、昭和初期以降になると、官民の銃器工場で、ゲージやマイクロメーターに基づく精密加工が本格的に行えるようになりました。
     日本の銃器製造用工作機械は長らく外国製に頼っていましたが、徐々に国産品の割合を増やしていき、満州事変以降は国産愛用主義もあって9割以上を国産機械が占めるようになったようです。
     99式小銃や99式軽機関銃では、ドイツ軍基本規格に基づいた検査規格を導入して公差水準を厳守し、生産性の向上を図っています。おかげで、99式軽機関銃からは塗油装置がなくなりました。
    ブラック・タロン

  2. おお、ブラック・タロンさん。さっそくありがとうございます。
    ついでと言ってはなんですが、野戦重砲などの火器の生産についても
    だれかお教え願いませんでしょうか?
    P-kun

  3.  それは、本当であったとも、そうでもなかったとも言える問題です。機械加工の分野は広く、一概には言えないからです。
     工作機械の輸入が途絶えた第二次大戦開戦頃の日本では、その自国生産の為の努力が官民挙げて行われ、実は昭和15〜16年頃は工作機械ブームと呼べる現象が起きており、旋盤類の供給は台数的には豊富にある、という状況になっています。 こうした中で質もある程度伴う状態にまで達することができ、日本の兵器生産は破綻しないで済んだのですが、工作機械でもミーリング関係の機械は開発が順境に進まず、十分な性能を持った国産品が登場していません。一部新開発の機器がフライス加工を最小限に押さえようとしたのはこうした事情もあってのことと考えられます。そして、一部の本に書かれている精度が何分の何ミリで日本が劣って云々との言説はかなり眉唾なものが多く、注意が必要です。
     野戦重砲は間口を広げすぎ。今度は冶金技術にまで話が及んでしまいます。

    BUN

  4. こんなところにも面白い話題が....。

    >旧陸軍の重機関銃や軽機関銃の大部分に塗油装置(薬室に送り込まれる薬莢に油を塗る装置)が付いていたのは作動不良防止のためでしたが、
    >これも1/100レベルの精密加工技術の未熟に一因がありました。
    >99式小銃や99式軽機関銃では、ドイツ軍基本規格に基づいた検査規格を導入して
    >公差水準を厳守し、生産性の向上を図っています。
    >おかげで、99式軽機関銃からは塗油装置がなくなりました。

    話題の本質からは少々離れてしまいますが、塗油装置について少々興味を持って
    いたもので、私的な見解を述べさせてください。

    結論から言うと、塗油装置の有無と、部品設計への公差の導入とはあまり関係
    ないように考えます。

    ブレダやホチキス系に見られる、塗油装置を有する初期の自動火器は、

    1)薬莢抽出開始が比較的早く、腔圧が十分低下しない時期に開始されてしまう
    2)薬室部の肉厚/剛性が低く、発射後、薬室の弾性膨張/復元が大きい

    1)、2)のいずれか、あるいは双方の問題を有しています。

    塗油装置の有無は、製造上の問題というより、設計上の問題ではないでしょうか。

    99式軽機については、薬室肉厚を増すことにより、塗油装置を必要としなくなった
    との開発関係者の回想記を目にしたことがあったもので、日本の場合も事情は
    同じではないか、と思っています。

    余談ですが、博物館で目にする旧日本軍の機関銃は、驚くほど精緻な
    加工が施された工業製品で、芸術性すら感じます。
    特に11年式軽機/91式車載機銃の凝り様と美しさには言葉を失い、
    しばし見惚れてしまいました。
    兵器としての完成度とは全く別の話しではありますが。

    みなと

  5. 戦前の日本って、そんなに後進国だったのかねえ。
    かつて英米は、「日本は不当なダンピングをして、ただ安いだけの粗悪極まり
    ない製品を世界に撒き散らしている」などとブロック経済の口実にしてました。
    けれども朝鮮戦争での米軍は戦略物資の大部分は実は日本で調達してたし、
    1955年には日本は世界に先駆けて小型トランジスタラジオを
    実用化していました。たった五年十年でそんなに変わるんかねえ。
    それにアメリカの援助受けたからこそ日本は先進国になったってんなら、
    何であれ程アメリカの支援を受けた蒋介石の国民党は崩壊したのかねえ。
    フィリピンだって南ベトナムだって米国の援助で先進国になって然るべきだ。
    更に言えばロシアは共産主義やめて西側の援助受けて十年になるのに、
    ロシアが高度経済成長を始めたなんてハナシは寡聞にして知りまへんなあ。


    イセリア・クイーン

  6. 戦前の日本が後進国だったというのは、どっから出た話題なのでしょう?
    (N)


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