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301 大変興味深いQ&Aを拝見させて頂いています。
私は編制と編成と言う言葉の意味が恥ずかしながらあやふやです。そこで皆様のご発言を正しく理解していくためにも質問させて頂きます。

辞書を引くと、
(1)編制:個々のものを組織して、軍隊・団体などまとまったものにすること。「戦時―」「部隊を―する」
<http://dictionary.goo.ne.jp/cgi-bin/dict_search.cgi?MT=%CA%D4%C0%A9&sw=2>
(2)編成:個々のものを集めて一つのまとまったものにすること。「八両―の電車」「予算を―する」
<http://dictionary.goo.ne.jp/cgi-bin/dict_search.cgi?MT=%CA%D4%C0%AE&sw=2>
この様に書かれています。

これらから考えると、
(1)編制とは、指揮系統を持った組織に使う言葉(言わば人事?)
(2)編成とは、指揮系統を抜きにハードウェア等を集団として括る場合に使う言葉
との印象を受けますが、この認識でよろしいのものでしょうか?

<その他参考にしたWebページ>
http://www.geocities.co.jp/WallStreet/2687/siryo/siryo31.html
http://www.kt.rim.or.jp/~kaliy/ORGAN.htm
wing

  1. 編制とは、制式の一定な内容を持つ軍隊組織を指し、編成とはそれを行う事。
    ○○航空隊の「編制」はそれぞれ24機の定数の三個飛行隊を持つが、終戦まで遂に「編成」完了する事は無かった・・・等と使います。軍隊用語で編制を動詞的に使用した例は見られないような気がします。ですからハードウエア、指揮系統等とは無関係に「編制を取らせる事が編成」と考えて良いと思います。
    BUN

  2. 確か陸軍と海軍では若干のニュアンスや表現の違いがあったはずですが、一応日
    本海軍に限定します。

    「編制」には、上は海軍の年度作戦計画に付随して裁可を得る「年度帝国海軍戦
    時編制」から、下は例えば「艦内編制令」のような「艦船ニ於テ諸般ノ要務遂行
    ニ適応センガ為ニ定ル乗員諸物件ノ区分編組」のようなものがあります。すなわ
    ち「編制」とは、組織(部隊や庁)の内容や構造を定めるものであり、例えて言
    えば艦隊や戦隊、艦船や隊などからなる「ツリー構造」そのものだと思えば良い
    でしょう(艦内編制の場合は、艦長や副長、科長等に置き換わると思えば良い)。

    一方「編成」とは、上記の「編制」に従って実際に部隊を創設することそのもの
    や、その作業を指すと見てよいでしょう。言葉遣いとしては、「第一機動艦隊が編
    成され第一艦隊を解隊した結果、聯合艦隊戦時編制斯くの如きになった」等がその
    例です。

    「編制」と「編成」は見た目に似ており、この手の文章に精通している人でも、自
    ら書く際には間違えることもあるようなので、違いがあまり認識されないのも無理
    からぬことではあると思いますが、巷に溢れている各種文献には、この両者を混同
    しているものが多く見られます。上記のようなケアレスミスであればまだ許されま
    すが、そうかどうかは概ね著者や内容を見ればすぐに識別できるように思っていま
    す。逆に、この手の言いまわしのとか意味の違いは、別段難しい本など読まなくて
    も、文庫本なり丸なり100冊や200冊も読めばすぐに身につくものです。


    今泉 淳

  3.  わかり易いご回答をありがとうございました。
    質問者(wing)

  4. 蛇足: BUN様のおっしゃるように、「編制」は、こうしなさいと、決っているので勝手に変えられませんが、「編成する」ほうは、わりかし現場指揮官の裁量に任せられていた様子です。操典には標準の編成が書いてありますが、例えば歩兵の聯隊旗の護衛はどう「編成する」かは、歩兵操典(軍令陸七號)の第百九十七には、
    「聯隊長ハ一等卒五名ヲ選抜シテ軍旗衛兵ヲ編成ス 此衛兵ハ著劍シ其二名ハ旗手ノ左右ニ併ヒ 他ノ三名ハ其後列トナル」とあるのですが、
    これは聯隊が行進する集合隊形の場合にとる編成であって、戦闘に入るとまた別の編成を聯隊長が命令してとらせる事になります。
    最も編成が詳しく定まっているのは砲兵で、砲手の位置から、砲車・前車のどの座席に何番砲手が乗るかまで操典で決めてあり、戦闘中に欠員が出来た時の砲手補充方法も砲兵の操典に書いてあります。
    2・26事件の叛乱軍部隊の出動は、平時編成の中隊が營庭に集合し、中隊長がその場で兵員を「ここから、ここまでの者は、第一分隊、○○軍曹が分隊長」と云う具合に適当に小隊・分隊に「編成した」と、当事の兵卒だった人の手記にありましたが、街路に出て各小隊が別々の襲撃先に分かれていく時に、友達が「おい、こっちに入れ」と手招きするので、ひょいと、そっちの小隊の隊列に移ってしまい、ちゃんとした戰時名簿が作ってあるわけではなし、なんら咎められなかった、と云います。

    あるめ

  5. ↑それは別に軍規に違反する訳でもなくて、中隊長は正規に任命されるものですが、小隊以下は部隊である程度自由に編成できるものでした。ですから小隊長を務める士官は正式には第何小隊長ではなく、連隊付の士官ということになります。
    BUN


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