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451 戦中の米軍の組織・編制で
「〜方面軍」
「〜艦隊」
「〜任務部隊」
という呼称がしばしば使われていますが、これらはどのように使い分けられていたのでしょうか?
海軍将官のゴームリーと陸軍将官のマッカーサーが同格の方面軍司令官だったり、
ハルゼーがあるときは艦隊司令長官、あるときは任務部隊指揮官と肩書きが変わったりと、
読んでいて混乱してしまうのですが。

竜田川

  1. 組織上の位置関係が明確に違います。

    米海軍の場合、ある任務のために編成された複数の艦艇からなる部隊を、任務部隊と称します。空母や戦艦を中核とし、その護衛をつとめる巡洋艦・駆逐艦などを含んだ編成ですね。
    この任務部隊を複数組み合わせたものが、艦隊になります。ですから任務部隊指揮官より艦隊司令官のほうが上位です。ハルゼーの場合、任務部隊指揮官(第16任務部隊)から艦隊司令長官(第3艦隊)に昇格しています。
    そして方面軍ですが、これは海軍だけの分類ではありません。米軍が展開している戦域の、すべての軍を統一指揮する権限を持った上級司令部です。マッカーサーの場合、陸軍の軍団のほかに、その軍団を輸送・支援するための海軍部隊も指揮下におさめていたわけです。
    日本には方面軍に相当する組織が存在しないので、わかりにくいところですね。

    ちなみにこの組織編成は、今の米軍でもそのまま使われています。湾岸戦争時に実戦総指揮を取った中央軍(中東地域担当の方面軍に相当)は、その指揮下に陸軍・空軍・海軍・海兵隊のすべての部隊(+他国軍)をおさめていました。中央軍司令官は陸軍のシュワルツコフ将軍でしたね。
    tac

  2. ゴミレスですが、同じ艦隊でもハルゼーが指揮官のときは第三艦隊でスプルーアンスが指揮官のときは第七艦隊(だったかな)と名称が変わったりしていたようです。余計に混乱します。
    Vinegar-Joe

  3. >2
     スプルーアンス指揮の時は第五艦隊ですね。第七艦隊はマッカーサー隷下の艦隊です。
     ついでに便乗質問ですが、ニミッツの太平洋艦隊と第三・五・七の番号艦隊の場合その格付けはどうなっているのでしょうか? 日本海軍でも連合「艦隊」の下に各方面「艦隊」や番号「艦隊」がおかれたようなものでしょうか?
    井中かえる

  4. >3
    そのとおり。太平洋艦隊の隷下にナンバーフリートがあります。太平洋艦隊司令長官は、日本の聯合艦隊司令長官と、組織構造的にも同格です。
    tac

  5.  なるほど、具体的な説明を受けてすっきりしました。
    井中かえる

  6. 1943年3月に
    ・大西洋と地中海で作戦する艦隊に偶数番号
    ・太平洋で作戦する艦隊に基数番号
    をつけ、
    ・中部太平洋=第5艦隊
    ・南太平洋=第3艦隊(ハルゼー指揮)、水陸両用戦部隊=第3水陸両用戦部隊(ターナー指揮)
    ・南西太平洋=第7艦隊(カーペンター指揮、後継キンケイド)、第7水陸両用戦部隊(バーベイ指揮)
    となっています。

    なお、南西太平洋の部隊はマッカーサーの指揮下におかれ、太平洋艦隊のニミッツの統制下に属しません。

    また、各艦隊は作戦の要求に応じ、任務部隊(TF),任務群(TG),任務隊(TU)に区分されます。
    例えば、TF77.4.3(C.スプレイグ隊)は第7艦隊の第77任務部隊.第4任務群.第3任務隊になります。

    また、米高速空母部隊は第5艦隊(スプルーアンス)配属時はTF58(マッケーン他)、第3艦隊(ハルゼー)所属時はTF38(ミッチャー)となり強力な空母機動部隊が複数存在するように思わせようとしています。

    レイテ作戦時は、第3艦隊はTF38以外のほとんどの部隊が第7艦隊に組み入れられレイテ海戦では第3艦隊=第38任務部隊と云う状態です。
    波タカシ

  7. 回答ありがとうございます。
    関連してもう一つ質問なのですが、任務部隊のナンバー付けには何か法則のようなものがあるのでしょうか?

    竜田川

  8. 世界の艦船1985★11および1987★1によると第7艦隊の編成では、
    TF-71:指揮統制部隊(艦隊旗艦)
    TF-72:哨戒偵察部隊(哨戒機)
    TF-73:兵站支援部隊(支援艦)
    TF-74:潜水艦部隊(攻撃潜水艦)
    TF-75:水上戦闘部隊(巡洋艦,駆逐艦,フリゲイト)
    TF-76:水陸両用戦部隊(揚陸艦)
    TF-77:空母打撃部隊(航空母艦)
    TF-79:揚陸部隊

    空母や戦闘艦の主力を結集した戦闘部隊としてTF-70となる。第3艦隊では同じ構成でTF31〜37となるが、第2,第6艦隊用の番号は一致しない(100番台のものもある)となっています。

    WWII時では断片的にしか判りませんが、マリアナ攻略部隊の編成では
    TF-50:第5艦隊機動部隊(戦後のTF-70と同様かは不明。レイテ海戦時のTF-30が補給艦などからなる部隊として第3艦隊に残っていたので多分、支援艦部隊)
    TF-58:高速空母機動部隊(ミッチャー中将)
    TF-57:中部太平洋第1戦地域航空部隊
    TF-51:統合遠征軍(ターナー中将)
    さらにターナー中将の指揮下に
    TF-56:遠征部隊(スミス中将)全マリアナ陸上戦指揮
    TF-52:北方(テニアン,サイパン)攻撃部隊(タ−ナ−(兼任),上陸部隊スミス(兼任))
    TF-53:南方(グアム)攻撃部隊(コノリー代将,上陸部隊ガイガー少将)
    となっています。

    また、主な任務部隊のナンバーを挙げると
    TF-39:メリル少将の水上戦闘艦部隊
    TF-38,TF-58:高速空母機動部隊
    TF-37,TF-57:英機動部隊
    TF-34:レイテ沖海戦中にTF-38の戦艦部隊(ハルゼーの旗艦含)などから編成したリー中将の水上戦闘艦部隊
    TF-77:旧式戦艦および護衛空母群

    などでしょうか。なお、ナンバーフリートが作られる以前のものは省きました。
    波タカシ

  9. なるほど、10桁が所属艦隊、1桁が任務種別を表していたんですね。
    ありがとうございました。

    竜田川


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