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190  坂口安吾の小説を読むと、I-16や、ダグラスDC-3の話がでてきますが、坂口安吾は我々と同じ航空機マニアだったのでしょうか?
NX

  1. 彼は「日本文化私観」において、「我が帝国の無敵駆逐艦」の機能美を称揚しています。
    刑務所や工場とともに、不要なものはすべて除かれ、必要のみが要求する真の美であると。
    ただし冷静に考えると、兵器や刑務所や工場とはいえデザインとは無縁ではないので、これは贔屓目というべきです。
    この視線・・・やはり彼はわれわれ同様、兵器マニアだったと遺憾ながらいわざるを得ませんね。

    Das Reich

  2. 坂口安吾は「日本文化私観」(昭和17年)で、I-16について、「いつか、羽田飛行場へでかけて、分捕品のイ−16型戦闘機を見たが、飛行場の左端に姿を現したかと思ううちに右端に飛去り、呆れはてた速力であった。日本の戦闘機は格闘性に重点を置き、速力を二の次にするから、速さの点では比較にならない。イ−16は胴体が短く、ずんぐり太っていてドッシリした重量感があり、近代式の百メートル選手の体格の条件に全くよく当てはまっているのである。スマートなところは微塵もなく、あくまで不格好にできあがっているが、その重量の加速度によって風を切る速力的な美しさは、スマートな旅客機など比較にならぬものがあった。
     見たところのスマートだけでは、真に美なるものとはなり得ない。すべては実質の問題だ。美しさのための美しさは素直ではなく、結局、本当のものではないのである。要するに、空虚なのだ。そうして、空虚なものはその真実のものによって人を打つことは決してなく、詮ずるところ、あってもなくても構わない代物である。」と書いています。
    重戦闘機の、そして兵器の本質を見抜いているような文章です。
    NX

  3. 本来表現主義のブルーノ・タウトまで引きずり回して桂離宮を評価させてしまうような当時のモダニズムの考え方そのものであるような気がします。安吾は素直だなあ。
    BUN


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