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4124 鍾馗の生産機数の件ではお世話になりました。
またまた同機のスペックのことで教えていただきたいのですが、

> キ44の0号機(強度試験機)の破壊荷重は12.6Gで、試作機も800q/h以上の
> 急降下とそこからの引き起こしにもビクともしなかったそうですから、当時の
> 水準以上の強度を持っていたと思います。

こちらの過去ログで読んだ上の記述、他のサイトでも見られる(そちらでは850km/hとなっていますが)情報なのですが、これのソースというのは現在入手可能な状態で出回っているものなのでしょうか?例えば「この本に載っている」と教えていただけると助かります。

や、実はWarbirdsというフライトシムで、フライトモデルの修正が話題になっているのですが、上記情報を提供したところ「信じられん!ソースは!?」ということになっておりまして....。

毎度毎度教えて君で申し訳ありませんが、宜しくお願いします。
スメ

  1.  質問にあるのは私が書いたものではないかと思いますので、一応責任を持って…。
     上記の文章は『世界の傑作機No.16 陸軍単座戦闘機「鍾馗」』に掲載されている試作機時代からキ44に関係していた刈谷正意氏(陸軍航空技研→独立飛行第47中隊→飛行第47戦隊)の文章をやや修正して引用したものです。
     世界の傑作機シリーズは普通に本屋さんで入手できます。
    T216

  2.  すいません、訂正です。
     誤:『世界の傑作機No.16 陸軍単座戦闘機「鍾馗」』→正:『世界の傑作機No.16 陸軍二式単座戦闘機「鍾馗」』

     なお急降下速度については、原文では「850q/hの急降下」となっています。
    T216

  3. 12.6gというのは、7g×安全率1.8倍ということで、当時の日本の戦闘機の強度規定の合格ラインのことです。(水上機の二式水戦でもこれ以上にあることを求められています)ということですので、キ44の強度試験供試体がこの数値ぴったりだったは限りません。また、試作1号機の頃よりも、のちの量産機ではより機体強度が増されているようです。


  4. ああ、試作1号機以降で主に補強されたのは水平尾翼でした。1号機は強度不足で水平尾翼にMe109のような支柱を応急的に取り付けた時期があります。

    それから、元々キ44は600km/h以上を要求されましたので、当然高速からの引き起こしにも対応すべく、外鈑下に波鈑を重ねるなど主翼剛性が高めに設計されています。


  5. ご回答ありがとうございました。
    早速帰宅途中に本屋に立ち寄り入手してきました〜。

    ところで、機種は変わりますが、三式戦の急降下性能について。
    「それまでの日本機とは対照的にダイブ中高速での操縦性が良好で云々〜」というのをよく目にする気がしますが、このあたりの裏づけとなるような資料というのはあるのでしょうか?機体のカタログスペックに急降下時の許容最高速度や高速時での操縦性などが書かれているのは見たことない気がしますが。

    やはり実際の「操縦感覚」や「限界領域での挙動」となると、カタログ情報ではどうにも扱いようのないものなのでしょうね。
    スメ

  6. 川崎の土井武夫さんによれば、キ61の急降下制限速度は850km/hだそうです。


  7. ただですね、三式戦の九八式速度計は700km/hまでしか計れないんですよ。
    それ以上何キロ出たかは、操縦士の印象だけの話になります。


  8.  同じくその土井さんによれば、「1000km/hまで測れる速度計に交換した」となっています
     三式戦でも2型は、1000km/hまで目盛りのある3式速度計のようですし
    セミララ

  9. >8
    そうでしたね。
    でも三式速度計は四式戦にも最初(少なくとも4号機以降)から取り付けられていて、この変更は三式戦特有の事情に由来するものではなさそうです。


  10. なるほど、ありがとうございました。

    高速飛行時での操縦性、特に横転性能はどうでしょうか。
    「零戦や隼では、面積の大きなエルロンと主翼自体の剛性不足から、高速域ではもともとそれ程よくなかったロール性能がさらに低下し、ほとんど効かなくなった」と聞きますが、こうした問題はその後の二式・三式・四式・五式、あるいは海軍の紫電以降の機体などにも共通のものだったのでしょうか?

    各速度域でのロール性能など、必須テスト項目だったのではないかと思えますが、そういった記録は残っているのでしょうか?



    スメ

  11. > 零戦や隼では、面積の大きなエルロンと主翼自体の剛性不足から、高速域ではもともとそれ程よくなかったロール性能がさらに低下し、ほとんど効かなくなった
     零戦2や零戦PGによると、「零式艦上戦闘機取扱参考資料」には「二号零戦は高速時の舵の動き軽し」と、また昭和18年5月の小福田祖少佐の報告には「二号零戦は特に即時横転操作軽快」とあり、米軍も捕獲機の調査から三二型は二一型より高速時の横転性能が向上していると判断していますので、主翼を短縮した三二型や五二型の横転性能が二一型より向上しているのは間違いないと思われます。
     二二型の主翼並びに補助翼の面積は二一型と同じですが、二一型初期型で横転性能改善のために補助翼に取り付けられたバランスタブが復活していますので、二二型の横転性能は三二型ほどではないにしても二一型よりは改善されていると考えられます。
     ただ米軍の調査によると、五二型は370q/h以下ではF6F-5やF4U-1Dと同等の横転性能を発揮するものの、それ以上では補助翼が重くなる(これは二一型と同じ)そうですので、横転性能は改善されているものの高速時に舵が重くなるという傾向は克服できていないということでしょう。

     その他の海軍機については、米軍の調査によると雷電は「約520q/hまでは良いが、それ以上になると急に補助翼が重くなり、横転が緩慢になる」そうで、また「試製紫電改操縦参考書」によると紫電改は「高速時に補助翼がやや重くなり、横転は右方向の方が容易(零戦と逆)」だそうですので、零戦よりは優れているものの「高速時に補助翼が重くなる」という傾向は同じと言えるかもしれません。
    T216

  12. ふ〜む、なるほど「ロール性能がいい」と言われた雷電でも、高速域ではそうでもなかったんですねぇ。

    ロール性能が向上したといわれるA6M5や、もともとロール性能がいいと言われる雷電などでも「高速域ではロールが遅くなった」というのは、これはもう日本機に特有のものなんでしょうかね。まあ気速があがればエルロンが重くなるのはごく自然のことなのかもしれませんが、逆にアメ機はどう対処していたのでしょう。P38の後期型なんかにはエルロンブースタとかついてたらしいですが、F6FだのF4Uでは?やっぱり高速域ではスティック重くなっていたのでしょうか?
    スメ

  13.  F6F-3はフラップとの兼ね合い上、補助翼の幅が取れないため必要な面積を確保するには操舵力が重くなる大翼弦の補助翼にせざるを得ず、更に複雑な主翼折り畳み機構を採用している関係上、操縦桿から補助翼までのロッドが長く、しかも操縦系統の構造自体も複雑になってしまったため、操舵力を軽くするトリムタブを取り付けても補助翼の操舵は重たかったそうです。
     このためF6F-5では補助翼にスプリングタブを追加することで操舵力の軽減を計ったそうです。

     F4Uの補助翼操舵力軽減は操縦桿と補助翼をワイヤやケーブルではなく操舵力が軽くなるロッドで繋ぎ、補助翼にトリムタブやバランスタブを取り付けるなどF6Fで採用されている手法とさほど変わらないようですが、主翼折り畳み機構がF6Fより単純であるため操縦系統もF6Fより単純であり、その分だけ操舵力が軽く、また補助翼面積(F4U:1.68u、F6F:1.46u)と作動角がF6Fより大きいのでより横転性能が優れていた(米軍によるとF4Uの横転性能はFw190に匹敵するとか)のではないかと思います。

     零戦二一/三二/五二型、雷電、紫電改の補助翼は小翼弦ですが、F6FやF4Uのみならず米戦闘機の補助翼には必須といって良いトリムタブやバランスタブがない(実戦に投入された機体では零戦二一型の初期生産型と二二型、月光にバランスタブがあるだけで他の日本海軍戦闘機にはない)分だけ操舵力が重くなってる可能性が考えられます。
     バランスタブを取り付けた零戦二一型初期型での急降下試験時にバランスタブのフラッターによって空中分解が引き起こされ、死亡墜落事故となった下川事件の影響でバランスタブやトリムタブの普及が妨げられたのかもしれません。

     また、海軍機は狭い空母の飛行甲板で離着艦を行う関係上、低速時に効きの良い補助翼が望ましいでしょうし、「捻り込み」に代表される低速時に効きの良い補助翼を活用した空戦機動を海軍の搭乗員が得意としていたため、低速時の効きを犠牲にして高速時に効きが良く操舵力の軽い補助翼を装備することが躊躇われた可能性も考えられます。
     陸軍戦闘機もトリムタブやバランスタブのない小翼弦の補助翼を装備していますが、二式以降の機体は海軍機より補助翼面積が小さい(二式以降で一番大面積の二式単戦でも海軍機で一番小面積の雷電より小さい)ことから、海軍機より高速時の操舵力は軽かったのではないかと思われます。
    T216


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