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4680 すみません、教えていただきたいことがあります。
戦闘機などのロックオンについてですが、あれはレーダー波を出して
目標に当たって跳ね返ってきた反射レーダー波を捉えるという
仕組みで(あってますよね)、
敵機は、相手からのレーダー波をキャッチして「ロックオンされた」と
認識するわけでしょうが(あってますよね)、
それなら敵機は、相手からのレーダー波をキャッチするのですから
逆に利用して相手をロックオンなどできると思うのです。
場合が場合なだけに、ほとんどそんなことを利用する余裕はないはずですが
原理としては可能なものなのでしょうか?
しろうと

  1.  つまり、レーダーの照準電波を拾えない(ラジオの周波数を合わせるような物で、感知装置の対応周波数範囲外等では察知できません)事もあるので、ロックオンされたと気がつかない事は往々にしてあります。
     また、相手からの電波を拾うことで、敵機の位置を掴むというのは第二次大戦時からESM(逆探)として一般的に用いられています。
     但し、前述したように、相手の周波数が判らない、器材が対応してないと成立しませんし、さらには強烈な電波をとりあえず広範囲(方位)で何とか掴むというアンテナと受信装置は比較的容易なのですが、方向精度つまり何処の方向から電波がきてるかを精密に察知できるだけのアンテナ等になるとかなり大変な受信装置等が必要で、ちょっとした電子戦機なみの設備になります。
     そして、更にこれで判るのは、電波の強度と方向だけですので、距離は判りません。よって照準し返すには距離情報が無いので事実上無理です。
     また捜索用電波ならば広範囲向かって発してるので、同時に複数の機で拾ってデータリンクで共有し、三角測量の要領で凡その距離を掴む事も原理的には可能ですが、照準用に絞った電探波ですと、狙われた機体以外はその電波を拾える保証が無いので、三角測量で概略位置を掴む事も難しいでしょう。つまり狙われてるのは判っても、何処から狙われてるかを割り出すのは原理的にも器材的にも極めて難しいという事です。

    SUDO

  2. #ロックオン
    > レーダー波を出して目標に当たって跳ね返ってきた反射レーダー波を捉えるという仕組み

     これでは「レーダーが探知した」だけです。ロックオンというのは、捜索モードでレーダーに映ったいくつもの目標の中から、任意のものを攻撃の対象(候補)として選び、集中的に走査する状態です。
     このとき、レーダーの走査範囲はその目標の周辺だけに狭められることになります。よって、ロックオンされた側から見れば、ロックオン以前より敵レーダー波を受信する頻度が高くなるので、ロックオンされと分かります。

     ただし、実戦ではそんな単純な話にはならず、

    ・ロックオンモードでは電波やパルスの周波数を変える(敵の受信を外す)
    ・ロックオン目標に対する集中走査を時々やめる
    ・走査方式は捜索モードのまま、コンピューターによる移動予測により再び
     アンテナがそちらに向くまでの空き時間を埋めることでロックオンに代える

    等の手法を用いてロックオンを悟られないようにすることになります。
     殊に複数目標との交戦が可能なレーダーでは、これが常態となります。
    Schump

  3. Oshikoshi 航空祭で会ったある軽飛行機パイロットの談話。「突然スクォーク(民間機の航行コードを設定する発信器(トランスポンダ)が地上局からの問い合わせ電波を検出したとき点灯するランプ)が灯きっ放しになり、ラジオにもピーガーわけのわからないノイズが乗った。何だろうと思って左右をキョロキョロ見回すと、突然 F-16 の二機編隊が横をすり抜けて行った」とのこと。

    ベトナム戦争時代にも、「SAM にロックオンされると計器板が狂ったように点灯し、ラジオにピーガーとノイズが載る。さっさとチャフを放ち急機動かけてロックオンから逃れろ」と言い伝えられていたことが戦記物などには登場します。しかしコソボ紛争や湾岸戦争あたりになると 2. で述べられているような技巧が用いられ、ロックオンされたことに全く気づかず突然 SAM が翼下で炸裂した、というような記述も見受けられるようになります。
    ささき

  4. >1.2.3.
    ご回答ありがとうございます。なるほど、私が全然無知でした。
    恥かきついでにもう少し教えてください。
    「SUDO」さんのおっしゃった
    >これで判るのは、電波の強度と方向だけですので、距離は判りません。
    >よって照準し返すには距離情報が無いので事実上無理です。
    についてですが、では距離情報はどのような仕組みでわりだすのですか?
    もしかして、反射レーダー波が戻ってくるまでの時間で判断するとか?

    それと、基本中の基本で申し訳ないですが、なぜ周波数が異なると受信できないのですか?
    周波数が違っても機体に当たっているなら、何かをキャッチできると思うのですが・・・。

    しろうと

  5. >1
    手元にF-15JのRWRであるAPR-4の説明書がありますが、「表示部はその中心を自機基準として脅威の相対位置(方位及び距離)を脅威の種類を識別可能なシンボルで表示する。方位は指示器の上部を機種方位として全周方向、距離はCRTの中心を基準として有効半径を□NMの対数目盛で表示する。」との記述があります。レーダー程の分解能は無理としてもある程度は距離が判別できるようです。

    >2
    蛇足ですが、F-15JのFCSレーダーであるAPG-63にはスニフモードというパッシブ専用モードがあります。これはECM環境下等でジャミング探知又は逆探知防止のためレーダー送信時間を最小限にしたい場合用いられるモードで、レーダーにジャミングを掛けている目標があればその目標にアンテナがスウィープした時に捕捉することができます。このモード時にオートエクイジションスイッチを押すと一回のA-Zスウィープ間のみ電波を発信しその間に受信した全ての目標が表示され、パイロットはマニュアルで目標をロックオン可能です。

    AP1

  6. >4. 電波の占有周波数帯域は波形に依存します。正弦波は非常に狭い周波数帯しか占有しないので、ふつうの通信機器ではなるべく正弦波に近い電波を出すことで周波数を縦割りにして仲良く使うようになっています。しかしレーダーの電波は必ずしも正弦波ではありません。むしろ広い範囲の周波数を短時間に圧縮した波形で送出されます。

    ささき

  7. >4. あぁ、済みません。逆の話ですね…。6. で書いたようにレーダー発振波は「きれいな」正弦波ではありませんが、それでも一定範囲の周波数帯を占有します。そして、その「範囲」を幾つか選択できるようになっています。これを「バンド」と呼びます。

    レーダーは鋭い指向性を持つ電波ビームであり、これを上下左右に振って反射波を探すことで相手を検索します。これを「スイープ」と呼びますが、このとき狙われている側は「ガリッ」「ガリッ」と定期的(あるいは不定期)に一瞬ごとレーダー波に晒されるだけです。これがロックオン状態となると、電子ビームが狭い範囲に絞られて連続照射に近い形になりますので「ガリガリガリガリ」と電波を受信するようになり、そのエネルギーが充分強力であれば (3) で述べたようにレーダー波と関係ない電子機器が誤動作したりする程になります(これを連続波発振…Continuous Wave, CW レーダーと呼んだりします)。

    何十年か前のレーダーはそういう風に動作していたのですが、これだと簡単な検出装置(一定の周波数に一定強度の信号が連続していることを検出する装置)で「ロックオンされた!」という事が判ってしまうので、5. で述べられているようにレーダーを使う側はなるべく少ない回数のスイープ、必要最低限のエネルギーそして時間で相手を照射しロックオンするようになりました。これはつまり、レーダーを逆検出しようとする側は各種の通信電波、妨害電波そして電波ノイズの飛び交う戦場で、わずかな兆候から「これは敵のレーダー信号だと思われる」という特徴を割り出さなければならないことを意味します(SETI プロジェクトの宇宙人探索に似ています)。

    そのために周波数、電波強度、そして時間に沿ったパターン分析(相関フィルタ処理)を行ってノイズと有意信号を分離するのですが、「唐突にロックオン電波が切れたりする」とか、「唐突に周波数が変わったりする」ような信号相手だと、それがノイズなのか有意信号(レーダー波)なのかの見分けが難しくなるのです。

    ささき

  8. CWレーダーとロックオンとは別の話だと思いますが。
    CWで誘導されるセミ・アクティブ・レーダー・ホーミングのミサイルを用いる場合は
    ロックオンすなわちCW照射になりますが、パルス・レーダーによるロックオンは
    それとは違う話ではないでしょうか?

    便利少尉

  9. >8. その通りです、済みません。長々と書いた原稿を短く編集しているうちゴッチャになってしまいました。
    ささき

  10. >4
     電探の発信してる側は、電波が帰ってくる時間で距離を出します。
     だから、いつ電波を出したのかが判らない受信側は、受信だけでは距離を取れません。
     一般には電波の強弱(例えば正確な性能が判ってるレーダー相手なら、データにある発信出力と受信強度を比較)信号の乱れ方等から推測して「大体このぐらい」という目安を出す事が出来る事もあるという程度になります。

     また周波数を知らないと、電波が来てる事も気が付かないのは、知らない電波(ノイズ)を受けているというのは、基本的に一般的な状態だからです。
     だから最近の戦闘機(例えばF-15JやF-2等)の電子戦装置は受信した総ての情報を持ち帰れるようになってます。これは後で後方の大規模コンピュータにデータベースとして蓄えられ、念入りに調査され、怪しい電波情報を抜き出して「たぶんコレは敵の電波だ」というものをピックアップし、それを各戦闘機の電子戦装置に最新情報として与える訳です(昨今のウイルス駆除ソフトと同じですな)
     この情報蓄積量が不十分だと、ロックオンされてる事に気が付かないという事になるのです。
    SUDO

  11. >10
    ありがとうございました。おかげでようやく他の皆様のおっしゃっていることも
    少しづつ理解できてきました。無知で大変申し訳ないです。
    しろうと


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