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4700 戦闘機の機銃について質問します。陸軍航空隊の隼の12.7ミリ機関砲は弾頭が炸裂弾であったとの話が元パイロットの方の回想記にありました。またほとんどの米軍戦闘機の機銃に採用されていた12.7ミリ機銃は弾頭は通常弾だったとの話を本で読みました。これは本当でしょうか?
それが本当だとしたらその優劣はどうだったのでしょうか?そのへんの評価を教えてください。
めぐすり

  1.  本当です。
     優劣は何を基準に置くかで変ります。
     例えば米軍の12.7mmはかなりの高初速で、ソリッドの弾丸は強靭で柔な防弾装甲も貫きますし、曳光弾は漏れたガソリンに対する焼夷効果を十分に期待できました。つまり飛行機を撃つのには十分ですし、口径的に人間を殺傷するには十分以上でしょう。
     日本軍等で用いられた炸裂弾は技術的には非常に高度ですが、装甲を貫く威力は小さく、また僅かしかない炸薬と弾殻は飛行機に容易に致命傷を与えられるとは言い難く、特に大型機に重大な損傷を与えるには力不足です。
     よって防弾の弱い飛行機を撃つなら炸裂弾、強力な防弾をした飛行機には米軍式の方が有効性は上と思われます。
    SUDO

  2. いつもながら明快なご回答、誠にありがとうございます。追加でもうひとつお願いします。弾頭は、戦訓等により改善や変更は加えられたのでしょうか。(陸軍航空隊は1式から5式までの戦闘機が12.7ミリ機関砲を持っていましたので)
    めぐすり

  3.  弾丸の信管の改善は(確実性や生産性の面で)なされていますが、高威力に対しては20mm機銃の開発と装備で対処されています。
    SUDO

  4. ホ−103はブローニングM2と比較して、弾頭が軽量だったそうですが、炸薬を仕込んだのは、軽量弾の不利を補う目的もあったのでしょうか?
    通りすがり

  5. >4
     逆じゃないかと。
     火薬は鉄や鉛よりもずっと比重が軽いのです。
     炸薬を仕込んだから余計に軽いと見るべきでしょう。
    SUDO

  6. 米軍 12.7mm M2 の弾丸は大戦初期には M2 徹甲弾と M1 焼夷弾の混成でしたが、1944 年以降の大戦後期には M8 API(Armor Peercing Incendery;焼夷徹甲弾)が主用されています。M8 は鉄鋼弾芯と被帽の間に約 0.9g の焼夷剤が充填されていました。M2 徹甲弾は 183m で 21mm/90 度の貫通能力、M8 は 92m で同様の貫通力を持つと伝えられています。

    曳光弾は弾道特性が異なるためあまり集弾状況を把握する役には立たず、また敵機に「撃たれているぞ!」という警告を与えることにもなってしまうため、熟練パイロットほど装填しないことを好んだとも言われます。


    >ホ103の炸裂弾
    詳しい経緯は不明なのですが、日本の 12.7x81SR 弾は戦前にイタリアから購入した Breda-Safat および Isotta-Scotti 機銃の弾薬を参考にしたものらしいです。M2 と比較して軽量弾だから云々という訳ではなく、軽量・高発射速・高破壊力を兼ね備えた弾薬として 12.7x81 弾に注目していたという事のようです。
    ささき

  7. SUDO様、ささき様ありがとうございました。炸裂弾は、米軍の方式に比べ良いところもあって、終戦時まで継続的に使われていたと理解しました。

    めぐすり


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