5411 日本と米国ではテストの仕方が違うと聞きます。疾風の例から考えて零戦52型、隼3型はF6Fより速かったのではないでしょうか?
大和

  1. 零戦五二型はサイパンでの捕獲機を米軍がテストした結果、日本側のカタログ値にも達さない速度しか出ていません。
    また、F6Fとの性能比較レポートも米軍は戦時中に既に出しています。同じ条件での最大速度に関してはF6Fよりも全高度域で遅いです。
    また、そもそも疾風の場合は日本側カタログ値に関する条件が特殊で、これを一般化するのは適切ではありません。
    まなかじ

  2. どうも質問者です。まかなじさん返答ありがとうございます。零戦52型は納得しましたけど、疾風が特別だったっていうのは・・・・。ここと過去ログにあったと思いましたが、「日本のテストは世界一?厳しくて燃料満タン、武装を三分の二した状態でテストする。しかも、メタなどの臨時の速度upのやつは使わないで」とかいてあったような気がします。それと疾風が60km速くなっているけど、キ83も疾風と同じぐらい高速になっています。これはいじってあるかもしれませんがS12という例もあるのですが・・・・。

    大和

  3. >2
     疾風やキ83は、どちらも日本では完全な状態(本来のスペック)で試運転をしていないのです。
     疾風は量産型とは違うエンジンを積んで計測した結果の、それも最大の数字を出した結果ではない数値がいわゆる624km/hという記載された最高速度になってます。ですから米軍が鹵獲した量産型の本命エンジンで、日本では計測しない短時間のみの緊急ブースト条件で計測したものは、全然違う結果になるのです。ですから日本でも同じエンジンを積んだ量産機でブースト制限を多少緩和させた場合に660km/hを計測してます(米軍の緊急計測よりはブーストが低い)
     これらは誉エンジン搭載機に概ね共通した事ですので、運転条件(つまりは制限の有無等)を把握していないと、何もわからないということになります。
     キ83も試作機ですから飛ぶたびにどこかを変えたり調整したりしてる段階で、飛ばす時期が後になればなるほど性能が出てくるだけです。日本で戦争中に全力かそれに近い条件で回していたのかどうかも確認してみるとよろしいかと思いますよ。
    SUDO

  4. >2

     米軍の飛行試験は「軽荷状態で行われており、実戦条件では1割程度性能が落ちる」というのは戦前に行われたP-39等のメーカーで実施された試験から生まれた伝説みたいなもので、実際には米軍の試験は燃料満載、弾薬全量搭載の全備状態を含めて各種状況における試験を行っています。一般に出ている試験値は試験の条件が不明確なものが多いですが、ほぼ全備状態で計測されたものが性能値として出ているものも少なくありません(因みにF6Fの場合、一般的に出る性能値は、ほぼ全備重量で水メタを使用せずに計測された数値が出てますね)。

     なお、良く言われる「米軍の試験だと日本機の最高速度は早くなる」例として雷電(S12)がありますが、あれは「当初不調だった発動機に米側が徹底的に手を入れた結果、日本の公称より100馬力以上の高出力を発揮した」上に、翼内燃料タンクに燃料を入れてないことを含めて、全備よりかなり軽い状態で計測された数値だ、ということを考慮する必要があります。キ83の数値にしても、試験の状態がどうであったかを含めて精査しないと、伝えられるような高性能を発揮し得たのかについては、なんとも言えない気がします(「米軍資料記載の試験値」として紹介される日本機の性能数値の大半が、「日本側のごく少数の資料を元にして、米側が発動機出力と機体の重量から推算した」計算値や、「日本側資料に記載された性能予測数値を米側が転記しただけ」であることも事実ですので)。
    大塚好古

  5. 「ブースト公称+250ミリ、2900回転」のハ45特を積んでることが文書上確認できたのは3号機なんですが、624km/h出したとされる4号機は別の日には631km/h出しており、実はこのときの条件は、「二速公称高度で+350ミリ、3000回転」といわれています。こちらは伝聞ですので、本当のところはよくわかりませんが、ただ、これが18年秋の速度計測の話であり、「秋には+350ミリまで引けていた」と軍需審議会でもいわれていますから、あるいは4号機は「特」のつかないハ45(誉二一型相当)を積んでいたのかもしれません。そしてこの4号機は何か事情があって遅かったのかもしれません。このあたりにはまだ謎が残っています。

    一方、18年冬になってハ45の水メタノール噴射は調整困難に陥り、公称+250ミリ2900回転にまで運転制限がかかります。陸軍部内で一般にキ84の性能値として使われているのは、この状態で「630km/h」というものです。
    ですので、630km/hがハ45特装備機、あるいはハ45特並にまで運転制限を課したハ45装備機のデータであるのは間違いありません。
    ハ45がまともに回るなら、660km/h出るはずだったのであり、しかも正規全備重量で、です。



  6. 片せん。ならば疾風の689kmはハ45がまともに回っていたからですか?
    大和

  7. >6

     実際に米軍試験によるハ45の出力数値は日本側の公称と大差の無い数値となっています。因みに戦時中に実施されたS17による試験で得られた時速427mph(687km/h)という数値は、「ほぼ公称を発揮するハ45を搭載して」「陸軍の取扱説明書にある全備重量(3613kg)の状態とほぼ同等の機体重量(3600kg)を持つ」という条件下で計測されて得られたものです。

     なお、S17はこの状態でWEPを使わずに最高速度426mph(685km/h@7,010m)を達成しています。
    大塚好古

  8. 誉は100オクタン燃料を前提に設計されているのですが、戦時に対応してより低いオクタン価で運転することにその前提が変えられ、水メタ噴射はこのための対策です。その水メタがうまくいかないことが運転制限の原因なのですから、要は良質な燃料を使うことで問題のかなりの部分を拭い去ることが出来たはずです。



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