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3048 主錨の格納について質問です。
海自などの現用艦において錨を格納された写真を見ると、決まった一定の
方向に綺麗に収まっています。
揚錨して水面上に現れた主錨はかならずしも一定の方向に向いていないと
思うのですが、どのようにしてあの重い錨を綺麗に収まる方向に修正
しているのでしょうか。気になって仕方がありません。
いかり

  1. いっぱいに引き揚げれば錨孔の構造と錨鎖の引かれる方向に従って定位置に収まるのと違いますか?
    Yp

  2. 錨を収納した時にベルマウスの3点に当たって固定出来るように設計し、木製の模型を作って収納状況を確認してから実物(鋳物)の制作に入ります。実艦に装備してからも実物の錨を使って収納状況を確認し、完全に3点で固定出来るようになるまで、削ったり、溶接肉盛りを行ったりしながら微調整していきます。
    鉄人68号

  3. 追加。模型は実物大ではありません。

    鉄人68号

  4.  アンカーベットの設計・現場合わせによる工夫よりも、錨鎖の"より"を取る方が大きいと思います。

     庭での水撒き用ホースや風呂場のシャワーででも考えて欲しいのですが、ホースを綺麗に巻き取っていけば、シャワーノズル(先端部)は捩れが取れて一定の方向に戻って収納できると思います。

     船の錨も同様に格納時に綺麗に捩れを取りながら巻き取るので、起き錨時に錨鎖が捩れて好き勝手な方向に向いていても、片付ける途中で大まかなよりは取れます。
     また、錨鎖の巻き取りは、自転車のチェーンとギアのように、鎖の間隙に歯車が差し込まれる形になるので、一定の方向に綺麗に巻き取ることが可能です。
    (HP『Look Out』内「船の写真はこちら」より、銀河丸の揚錨機 http://www004.upp.so-net.ne.jp/hyoshi/ship/Ginga-16.jpg )

     2.で触れられたベルマウスは、錨格納時の、船体振動によるブレや脱落を抑えるための工夫なので、「綺麗に収めた」後の話になると思います。
    (シャワーのホースが捩れているのか、壁の懸け具がガタつくのかの違いくらいかな?)
    能登

  5. 500t総トン未満のフェリーの場合
    1.はっきり言って力業ですが、上がってくるチェーンを一時止め、棒を差し込みねじれを取る方向へ捏ねる。
    2.アンカーを一度上げてみて、回った方向の反対のアンカーヘッドの角にロープを掛け回らない様にする。
    この2方法ですね。ただ、護衛艦の様に大きいものに通じるかは判りません。
    GO

  6. 「戦艦大和の最後」だったかよく覚えておりませんが。
    戦艦大和も錨を上げるときは、錨鎖格納庫にいき、ちゃんと格納できてるか
    監視し、できていなければ
    力技でちゃんと格納できるようにしていたと書かれていました。
    大変だったそうです。


  7. >4
    ホースパイプとベルマウスの形状が適切に作られていなければ、錨がスムーズに揚がってきても「綺麗に収納する」ことは出来ません。収納状態の確認試験では何回も投揚錨作業を繰り返し、時には錨が回転しながら揚がってくることもありますが、そんな場合でも一定位置に固定できるようにホースパイプの角度とベルマウスの形状を決めています。船体に取り付けてからホースパイプの角度を変えることは出来ないので、ベルマウスで微調整を行うことになります。
    鉄人68号

  8. >6
    たしかにチェーンロッカーには人が入り、収容されるチェーンを人力できれいに並べます。

    >7
    ベルマウスで微調整を行うとはどういう事でしょうか、削るんですか?
    ベルマウスはアンカーを使用するたびに、チェーンと擦れる事で摩耗するため、常に適切な状態に保つ事はできないはずです。

    停泊船は、風や潮流によって時には360°回ってしまいます。そのためにチェーンによりが発生する訳です。このよりを完全に取るには、船そのものをよりの反対方向に回さなければいけませんが、はっきり言ってどちらによりが付いているかはアンカーを上げるまで判りません。
    また、アンカーを入れた状態(船の向き)とアンカーを上げた状態が必ずしも一致しませんし、一致する方が珍しいと言えます。
    GO

  9. >8
    2)で述べているように、削ったり盛ったりして調整します。

    錨鎖による磨耗は微々たるものであり、それによって補修が必要になったという話は聞いた事がありません。もし実例を知っているのであれば教えて下さい。磨耗で大きいのはシャンクを引き込む時で、爪の向きによっては半回転することもあります。古い艦では浅い溝のような跡が見られる場合もありますが、同時にシャンク自体も磨耗して幾分か細めになっています。使い込むに従って荷重の大きな個所が磨耗していき、最適の状態に変化していくとも考えられます。

    艦がどのように回転しても、錨自体は打ち込んだ状態のままです(錨の向きが変るようなら走錨してしまいます)から、錨鎖を巻き込んでいけば最終的には同じ状態になります。つまり錨が海底を離れる時には錨鎖は垂直となり、場合によっては回転しながら揚がってきますが、時間がたてば回転は止まります。

    なお特殊な作業でも行うので無い限り、潮流のある所は避けて錨泊するのが船乗りの常識かと思いますが。

    鉄人68号

  10. >8
    停泊船は、風や潮流によって時には360°回ってしまいます。そのためにチェーンによりが発生する訳です。
    素人考えで申し訳ありませんが、普通に停泊して360°も回る事はあるんでしょうか?
    岸壁や指定の停泊地以外の停泊時は風や潮流を加味して停泊場所を選びますよね?(普通風上に艦首を向けます。)
    大きく振れる事はあっても360°も回っては危なくてしょうがないのでは?
    船体が動きそうなときは双錨かハンマーロックムアにしたり後部錨を使用するはずです。以上からあまり大きな鎖のよりは発生しないのではないでしょうか?

    SC

  11. 興味深く推移を見守っております。
    >9
    錨鎖を巻き込んでいけば最終的には同じ状態になるとのことですが、錨鎖にはswivelが付いていませんでしたっけ?たしかに1本の純粋な鎖であれば
    おっしゃることは解るのですが、どこかに自由に回転できる部分があれば
    常に同じようには上がってこないですよね。
    あと逆ヅメになって上がってきたら、船体をゴリゴリ削りながら収まっていくのでしょうか。
    いかり

  12. 錨の収納で、こんなに話が盛り上がるとはおもしろい。ブイなどに係留していると、いくらでも船は回転します。錨を揚げるときは、ホースで懸命に洗いますが、これはいろいろなモノが付着して上がるから洗い落とすのですが、同時に縒りの状態も甲板で見て正していくのです。むろん船橋や起重機と連帯しての作業です。最終的には狭い錨格納庫で、甲板員が鎖と格闘することになります。危険が伴います。きれいに巻いておかないと、投錨がうまくできません。セーラーの腕の見せ所でもあります。
    キムラタツヒコ

  13. >9
    私は補修が必要になった事があるとは書いていません。拡大解釈しないで下さい。
    ”チェーンと擦れる事で摩耗するため、常に適切な状態に保つ事はできないはず”と書いたんです。ちなみに私は今まで、入渠した船でベルマウスを削ったり持ったりして調整する現場を見た事はありません。

    そして、「船が周ってもアンカーの向きは同じです」ですが、これがそのとおりです。
    なぜなら、錨の把駐力だけで碇泊するのではなく、把駐力+チェーンの重さで停泊するからです。そのために水深よりも長くチェーンを出します。つまり、錨から最低1節(25m)程度は海底に這っている状態になります。このため、船が360°回っても錨がひっくり返ることはありません。台風や台風並みの低気圧の場合、180°風向が変わったとき逆に引っ張られるため、錨がひっくり返り走錨することがありますし、風が強すぎると錨がひっくり返らなくてもチェーンが伸びきった状態となり引きずられ走錨することもあります。

    私の経験上、錨鎖を巻き込んでいけば最終的には同じ状態になる方が珍しいと言えます。と言っても、1年に1回錨泊するかしないかですが。
    そのため、錨の収容には大変苦労しました。入渠の際も検査のためチェーンを出さなければいけないのですが、この時も収容には苦労します。
    ちなみに、よりがかかっていなくても、ベルマウスに入る途中の錨が突然横に転げる場合もあります。

    錨が海底から離れるまでに引き込まれるチェーンにかかったよりは考えないのでしょうか?引き込まれたチェーンによりがかかっていれば、海底から錨が離れ回転してもよりがかかった位置で止まるはずで、それが正常な向きとは限らないのでは?。

    潮流のない場所なんてあるのでしょうか?
    どこに停泊しても潮流はあります。満干潮で潮の流れは反対になりますよね。

    >10
    特殊な場合ですが360°周る事があります。
    双錨泊の場合、360°回った場合チェーンが絡まって大変な事になります。その時の苦労は聞いた事はありますが、双錨泊することがありませんので、私自身は経験がありません。
    あと全ての船に後部錨があるとは限りません。

    錨泊する場合、それなりに広い場所を選びます。360°回るか回らないかはその時まで分からないものではないでしょうか?潮流の向きに風が合わさってなるものですから、その時に天候にもよります。
    ちなみに船首を風向に向け錨泊することは必然ではありません。湾の形状、錨泊地と航路の位置関係で変わります。広島湾では航路が東西に向いているため、入港後の錨泊の場合ほぼ南東、出航後の錨泊の場合ほぼ南西に向いて錨を落とします。その後、船は潮流や風向きに自然に向きます。

    >11
    確かに節の継ぎ目にはシャックルがある船もあります。

    逆爪の場合船体に当たるのかですが、当たりません。当たらない様にベルマウスの位置が設計されていますから。
    逆爪の場合、よりを無理に付け180°ひっくり返し収納する事もありますし、爪にロープを掛け正常な状態に戻し収容します。

    >12
    そのとおりですね。錨の収容は大変な作業です。海底に這っているチェーンに付いてくる泥がなかなか取れないため、チェーンロッカー内に残った泥がたまる事もあり、ドックでチェーンを全て出す時には掃除した事もあります。
    GO

  14. >11
    錨鎖には必ずスイベルが付いています。
    艦艇の場合には爪が当たらないようにベルマウスの位置を決めています。商船の場合には当たることを承知で外板の板厚を増している場合もあります。
    >13
    私は防衛庁監督官として「しらゆき」「すま」「ゆうべつ」の建造に立会い、その時の経験を基に話をしている。何れの艦でも最初からすんなりと錨が収まることはなく、何度も修正しながら完成に漕ぎ着けている。この作業は他の艦でも、他の造船所でも同様であると聞いている。疑問があるならば造船所に見学を申し込めばよいだろう。

    錨の正常な向きとは何か。要するに錨は海底を離れれば垂直に吊るされて揚がって来るのであり、爪の向きがどうであろうと最終的には同じ位置に同じ状態で収納出来るように、何度も微調整をしながらベルマウスの形状を決定しているのである。

    潮流についてはもっと勉強しておくこと。

    錨鎖の連結には必ずシャっクルを用いているが、これにはケンターシャックルと呼ばれる、鎖のリンクと同じ形状の物を使用している。スイベルと言うのは自由に回転できるものであり、錨に近い所に必ず1個付いている。

    岡田幸和著海人社発行「艦艇工学入門」に簡単な説明があるので参照のこと。


    鉄人68号

  15. いろいろ話が膨らんでエキサイトしていますが、肝心な答えを出さないといけませんね。

    1.護衛艦の場合、チェーンにはよりがかからない。
    2.商船の場合、チェーンによりがかかった場合、チェーンの隙間に鋼製スパイキ(ワイヤーを編む際に使う道具)を差し込み、次に鉄パイプを差し込みよりを取るようにねじる。又はアンカーにロープを掛け正常な向きに固定し引き込む。

    こうですね。
    GO


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