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3067 船楼を含めた構造についてお尋ねします。
船体は大まかに甲板、舷側、船底とそれらの骨格である竜骨と肋骨で構成された(セミ)モノコックの剛性体ですが、船楼は剛性負担しているのでしょうか?現代の水上艦には長船首楼タイプが多いようですが、あれらの船楼は構造的にはモノコックの上に載せられた只のポンツーンに過ぎないものなのでしょうか?
また、第一次世界大戦の戦艦、巡洋戦艦には艦首から艦尾にかけて砲郭を形成しながら雛壇状に甲板が低くなっている構造のモノが多いようですが、あれらは船楼と言える物なのでしょうか?剛性体としてはどう扱われているのでしょうか?
DDかず

  1.  長船首楼式の船舶の場合の船首楼は、一般的に船体強度を分担していると考えてよろしいと思います。上甲板(強度甲板)を、「主として強度を負担する」甲板としてみれば、長船首楼に相応の強度を
     で、HP「世界の艦船」内より
    護衛艦「あやなみ」
    オランダ坂DDの嚆矢 ttp://www.ships-net.co.jp/detl/200310z/036-047.htm
     の船首楼の後端に傾斜を付け、上甲板と連続させた(オランダ坂)のは、船首楼にも負担させた強度を上甲板後部に集中させる事での剪断の回避(断面の急減の緩和)を意図したものとして、逆説的な証明になると思います。

     短船首楼の場合は、各船によると思います。
     例えば、船首の鋲鎖を波浪から守るためだけの船楼(遮浪甲板)でしたらそれこそポンツーんでしょうし、長さが船長の1/4程度であるために短船首楼とされたものは負担しているかもしれません。


     次に、第一次世界大戦時の艦艇に関しては、上甲板以下で剛性・強度を負担し、砲廊などは付属物にすぎないのではないかと思います。
    (進水させるには船殻=モノコックを作り上げる必要があるとすれば、進水式に出来上がっていないものは、付属物とする という見方ですが)

     また、「雛壇上に低くなってる」ものが、金剛型の第三砲塔前後で一段下がっているようなものを指すのであれば、船楼と呼んでも差し支えないと考えます。
    能登

  2. 能登さま、ありがとうございます。
    WW1艦艇は、例えばドイツ海軍のザイトリッツは艦首甲板から艦尾甲板まで二段階で低くなり舷側の高さでは1/2以下になります。この場合、強度甲板は艦尾甲板の高さで艦首から艦尾まで全通した平甲板型で、最も高い艦首及び中段の砲郭部は強度甲板の上に載せられた船楼と理解してよろしいでしょうか?
    DDかず

  3. >>2.
    ザイドリッツの艦首楼と中段は強度甲板(=上甲板)の上にただ載っかってるのでなく、以下との一体性がかなり高いものと判断します。
    理由
    その1. 進水時には出来上がっている(=船体の主要部)
    その2. 艦首楼と中段はそれぞれ船体長の約1/3, 2/3に相当し、剛性を分担しないのでは勿体無いハナシ
    その3. 中段の舷側砲郭部は兎も角、その内側(首尾線寄り)の縦通壁は剛性に寄与すると思われる(金剛型などの長船首楼も同様)
    その4. 写真で外板の継ぎ方を見ても、舷側装甲帯の上縁(ほぼ上甲板の高さ)から艦首楼甲板に至る間に構造的な異質感が無い
    駄レス国務長官

  4.  ちょっとこの時代の艦艇は詳しくないので、能登の私見として読んでください。

    全体の俯瞰図
     http://www.modelwarships.com/reviews/books-plans/wtbattlecruisers/seydlitz.jpg
    側面図(装甲配置図)
     http://www.cruiserx.narod.ru/shershov/148.gif

     2番目の側面図を見るとわかるのですが、艦首下部のカットアップ(魚雷発射管)があり、この部分だけ浮力が足りなくなっています。で、不足した浮力の分だけ沈むので、艦首をカサ上げするのでしょうけど、素直に設計すると1段追加、つまり船首楼を設けることになるのだと思います。
     ですから、最上段(艦橋より前)は、後年ではシアー(船首の反り上がり)で対処している部分ではないかと思います。
     この場合は>3.ででも触れられているように、船楼の長さも長いですし、船体と一体化していますから、ちょっと船首が反り上がった「段の付いた船体」と見なすのが適当ではないでしょうか。
     
     で、全通する主要な強度甲板は中甲板(後部甲板の段)でしょうけれども、長船首楼+短船首楼を「強度甲板に乗せられた」と書くのは、強度に寄与しない上部構造物であるようにも読めるので、言い過ぎではないかという気がします。
    (主要じゃないけど、相応の分担はしているでしょうから) 
    能登

  5. 長官ならびに能登さま、ありがとうございます。
    「雛壇状」という表現を用いましたがWW1艦艇のほとんどは二層構造で三層構造はザイトリッツくらいしか見当たらないので雛壇はチョット的を射ていませんでした。失礼。
    能登さま、私は以前、猫さんサイトで少しの間お世話になった「DD」です。こちらのほうでも今後ともよろしくお願いいたします。
    長官にはたびたびお世話になっておりますが、改めてよろしくお願いいたします。
    DDかず

  6.  質問の意図は主として縦強度に関するものと思いますが、暴露甲板以下の縦方向に走る部材に関しては、それが局部的なものであっても縦強度部材として算入することが出来ます。この際不連続点から船首尾線に対して30度の線を引き、形状に応じて内側または外側の部分を強度上有効に働く範囲と設定して計上します。
     船楼の場合にも同じ考えを適用することができます。「いしかり」は長船橋楼とも呼ぶべき特殊な船型をしていますが、強度甲板が上甲板・船楼甲板・上甲板と変化する特殊な構造となっています。なお船首楼の場合には縦強度上の問題よりも、波浪衝撃に対する強度が必要とされます。
     砲郭を設けた戦艦の場合、最上甲板(今で言う船楼甲板)も強度部材として計上していると思いますが、舷側部で船側外板と不連続となっている個所もあるので、恐らく百%有効とはしていないだろうと思います。上甲板と最上甲板間の砲郭部分に関しては、屈曲しているので縦強度部材としては計上していないと思います。

    >4
     艦艇の場合は普通の状態でも船首尾の浮力は不足しており(ホグ状態)、レセスがあるからといって甲板を増すようなことはありません。船首楼を設ける目的の一つは凌波性の向上であり、もう一つは損傷時の艦首乾舷の確保のためです。因みに現在の防衛庁基準では「連続する2区画に浸水しても艦首乾舷を確保できる」ように定められていますが、恐らく旧海軍においても同様ではなかったかと思われます。

     縦強度に関しても「艦艇工学入門」(岡田幸和著海人社刊)に説明が載っているので、参考にされたら良いと思います。
    鉄人68号

  7. ありがとうございます。
    DDかず


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