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3069  昨年の11月の記事ですが、中国が2隻目の国産イージス艦を建造したというニュースを発見しました。

http://scm.usddc.org.tw/news/Detail.asp?Tag=433

 事実だとすると、日本の防衛にもかなり脅威となる存在だと思いますが、実際のところ、どの程度の実力を持った船だと想定されているのでしょうか。
 そもそも、イージス艦という呼び名に相応しい性能を持っているかどうかも、疑問に思われるのですが。

ハルビンの雨

  1. http://www.globalsecurity.org/military/world/china/luhai.htm
    http://www.globalsecurity.org/military/world/china/hq-9.htm
    http://www.sinodefence.com/navy/surface/052c.asp

     S-300MPUとパトリオットの技術を活用したミサイルシステムを搭載していると想像されるけど、ミサイルもレーダーも、その能力は未知数であるという感じです。

    http://www.sinodefence.com/airforce/airdefence/s300.asp
     S-300MPUとは、SA-10Aと呼ばれていた旧ソ連・ロシアのパトリオットモドキですが、伝えられる射程は45〜90km程度。これはイージス艦のSM-2MRと概ね同じぐらい。
     またS-300MPUの同時誘導は最大6発とされています。この艦はアンテナが固定ですので一方向に対して最大6目標までは理論上は対処可能と考えられます。これはイージス艦よりもやや劣るのではないかと。搭載ミサイル数が少ない事や、6連装発射機6基、つまり同時発射6発という点からも、同時対処機能は6前後ではないかと想像します。

     結局はどの程度のC4Iを備えているのか等も含めて考えないと総合的な能力は予想できませんが、まだ就役もしていないような状態ですし、レーダーにトラブルがあるという話も出ていますので、戦力化はまだ少し先でしょう。
     また、この同時対処機能とミサイル数が正しければ、シースキマータイプのミサイルには射程では十分で、レーダーと誘導システムがマトモに動けばかなりの迎撃力を発揮すると考えられます。
     ただ原型と思われるS-300MPUは最少射程が大きめで、これが解消されていない場合、懐にまで入り込まれると厳しくなります(一説によると、最少射程が6浬程度)
     シースキマーは超低空を突っ込んできますので、このアンテナの位置から考えると25〜40km程度で見つけるのがやっととなりますので、射撃可能距離は14〜30kmぐらい、シースキマーが240m/sぐらいで突っ込んでくるので対処時間は1〜2分(当るのはそこから45秒先、SM2なら最少射程がもっと短いので対処時間は+20秒出来ます)となり、イージスの8割ぐらいの時間になります。
     もっともS-300はSM-2よりも数段速いので、同じ時間内に放てるミサイル数は多少良くなると思われますが、総合して、アーレイバーク級の半分ぐらいを落とせるんじゃないかなと。これは搭載ミサイル数からもそんな雰囲気ですね。
     またこの最少射程の大きさは艦隊でならば短SAM装備艦に任せるといった運用で間に合いますし、かえって艦同士の獲物重複が避けやすいとも言えるので、絶対的なマイナスではありません。
     少なくとも、今までよりは数段中国艦隊の防空能力を嵩上げする可能性があるだろうとは言えるでしょう。

    SUDO

  2.  詳細な回答、ありがとうございます。
     そうですか、まだ就役はしていない艦なのですか。
     昨年の11月に浸水して、今年の9月の時点でまだ配備についていないというのは、艦船の戦力化の期間としては標準的なものなのでしょうか。

     といいますか、教えていただいた情報で、搭載兵器の性能はだいたい想像がついたのですが、(報道されている写真を見ていると)艦艇そのものの作りがなんとも粗雑なように見えます。
     艦橋の外板など、波打っているようにも見えますよね。

     以前に中国海軍が、タイかどこかに駆逐艦を輸出した際、艤装が雑すぎて使い物にならなかった……、といったようなニュースを聞きました。
     これは艦の性能と言うよりは、中国の建造能力の問題になってしまうかもしれませんが。
    ハルビンの雨

  3. あんまり意味の無い回答。

    Arleigh Burke級(フライトI〜IIA)の進水から竣工までの期間は、
    平均で593日くらいです。

    A.バークと比べて良いかどうかも分かりませんし、建造課程は各国・各級で
    違うでしょうから、参考になるかは分かりません。



    すすむ

  4. 課程→過程でした、すいません。
    すすむ

  5.  日本の「こんごう」級は進水から就役まで1年半かかってますので、別に現状で特別に遅いというものでもないかと思われます。
     また艦橋の外板ですが、もしかすると何か変った素材なのかもしれません(進水式の写真からは、船体とは異なる感じが少しします)
     現状では何とも言い難いような気がします。
    SUDO

  6. 現在はイージス艦を保有しているのは少数の国ですが、いずれ、他の国々もイージス艦かそれに相当するものを配備していくでしょう。
    この艦がどうかはともかく、いずれ、中国も自他共に認める本格的なイージス艦を導入するはずです。
    油断することなく、日本の防衛力の整備、向上を続ける必要があるでしょうね。

    そらみみ

  7. イージスを構成するSPY-1レーダーは資料が少なくて、定量的に分析する事ができませんので、入手可能な資料だけからの私見ですが・・・

     SPY-1はかなり力技で動作させているように見えます。移相器の冷却や動作温度の制限などを見ると、ビーム形成、偏向時に相当な定在波が各素子アンテナに立ち、それによる反射波損失を全体の出力を大きくする事で実用範囲に収めるような手法に見えます。クリチカルな面を嫌う軍用装備とした場合、妥当な手法とは思いますが、まともに動かすためには、相当な技術的蓄積と費用が必要になります。

     イージスシステムは、対艦ミサイルによる多方向同時飽和攻撃に対する米軍事技術の一つの答えと言うのが私の理解ですが、これが正しいとすれば、このシステムにより守られる存在が必要です。米海軍には高価値ユニットとしての空母、日本であるならば有事におけるシーレーンの確保という明確な対象がありますが、果たしてその他の国ではどうなのでしょうか?
     また、イージスシステムの根幹には、戦術データ-リンクの存在と、有為な自動脅威評価システムの存在が不可欠ですが(同時多目標補足、追尾などは3万ドルの市販レーダーでも1999目標の追尾が可能ですから、すでに重要なものとは言えません。)、このようなシステムを整備、運用できる国がどれだけあるのでしょうか?

     仮に中国のType 52Cが米海軍と同手法のPARを採用したと仮定した場合、高価な役立たずの可能性は常にあると考えます。もっとも概要さえ不明な状態では想像でしかないわけですが・・・
    elebras


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