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3234  2004年も後少しとなりました。大晦日の夜に質問させていただきます。

 海上自衛隊の汎用DDは、「はつゆき」型以降、新型になる度に大型化していますが、居住性や新製品後日装備のための余裕を除いた戦闘力だけを見ると、たいして変わっていないとみてかまわないのでしょうか?
因幡

  1. 一番肝心な戦闘管制システムが変わってますので。
    これは大型化にも一役買っております。
    単純なスペース・重量の問題だけではなく、所要電力確保などの面からも。
    搭載ヘリの大型化も大きな要因の一つですね。
    勝井

  2. たまには、僕も回答しようかなあ。

    「たかなみ」型からは、大砲が127ミリになっています。
    あと、汎用DDは、「むらさめ」からは、VLSになったりと、進化はしています。CIWSの位置も違いがあるしね。
    それと、これからは、ステルス化とかもそれなりに、考慮されていくのではないでしょうか。
    弘田

  3. 本当に今まで(2004年まで)ステルスを全く考慮しない艦船の設計及び建造をしてきたのかなぁ。
    sorya


  4. 全くかどうか分からないけれど、以前はそんなにステルスを考慮してなかったんじゃないですか。
    海上自衛隊パーフェクトガイド2002によると、「あさぎり」型について、大きな壁面のヘリ格納庫は、ステルス性の面から大きな問題があると解説しています。
    弘田

  5. >4
    そりゃまあ、設計変更を迫られてステルス性能と艦載ヘリの使い勝手を天秤にかけたら後者を優先するでしょう。あと、むらさめ型を忘れていません?>「以前はそんなにステルスを・・・」

    >「居住性や新製品後日装備のための余裕」
    勝井さんが上げた点以外のDDが大型化した点の一つに抗湛性向上のため機関配置にシフト配置を採用したことも挙げられます。
    RGS

  6.  あけましておめでとうございます。
     新年早々ですが、私は回答者の皆様に謝らなければなりません。すいません。私の書き方がまずかったです。もう少し考えて書くべきでした。

     護衛艦隊が何か作戦行動を行うとき、そこにある駒(汎用DD)が新型なのか旧式なのかによって、何か違いはあるのだろうか? ということをききたかったんです(戦闘力、ではなく戦力と書くべきだった?)。

     機関シフト化、ヘリ搭載スペース増大、ランチャーのVLS化による大型化は承知しております。後、電子装備も新しくなって増えていますよね。勝井様の仰る戦闘管制システムの新型化も加われば、確実に個艦性能は向上しているものと思います。ただ、その性能差は意味がある違いなのか? ということです。

     たとえば防空戦を行うとき、そこにいるのがイージスDDGなのか在来型DDGなのかによって、「イージスだったから助かった」「在来型だったから助からなかった」という状況は十分あるとおもいます。「イージスだったから助かった」状況ではイージスDDGの高性能は「意味がある」といえると思います(もちろん、度が過ぎればイージスがいたけど助からなかった、になりますが)。
     これと同じことが、新型汎用DDと旧型汎用DDの間に起こるのかどうか、どうなのでしょうか?
    因幡

  7. >6
     新しくても古くてもDDであるという点では変りません。
     よって、閾値の置き方次第では「とくに差は無い」といえるでしょう。
     つまり閾値はどこなのか、で変る話です。
    SUDO

  8. こんごう級初期艦は米艦隊と協同演習をしたとき、最大で4時間程もデータ処理能力に差が出たそうです。
    (防衛施設庁OBの方から直接聴く機会がありました)
    イージスシステムでさえ、ベースラインの差はこれほどの戦闘能力差となって現れます。

    よって、>6.の回答は「イエス」です。
    戦闘管制システムの世代差は想像以上に大きいですよ。
    勝井

  9. ステルスを本格的に導入したのは「あさぎり」の直後に建造スタートした
    DE「あぶくま」が最初ということになってます。
    上構は垂直のままですが、舷側傾斜はステルス対応。
    勝井

  10. こんにちは。

    >5
    >あと、むらさめ型を忘れていません?>「以前はそんなにステルスを・・・」

    「以前」というのは、「むらさめ型」のつもりで言及したのではありません。僕が直後で言及しているように、「あさぎり型」のことを言ったつもりでした。僕の言葉足らずだったら、ごめんなさい。

    ついでに言うと、「むらさめ型」はステルスが考慮されていますが、さらにステルス化を徹底しようと思えば、まだ改善する余地があると思います。マストとか、砲塔とか。
    僕は、フランスのステルスフリゲイト艦とかが、カッコ良くて好きだなあ。

    >6
    新型のDDのおかげで、助かったという状況もあると思います。
    VLSのおかげで、助からないものも助かるという状況もありえると思います。
    弘田

  11. >さらにステルス化を徹底しようと思えば、まだ改善する余地があると思います。マストとか、砲塔とか。

     ステルス砲塔はその形状上、波の荒い場所では波に叩かれて損傷することがあるのを承知の上での発言ですか?ステルス性を重視するあまり、レーダを載せる強度が不足したら本末転倒ですが?

    >僕は、フランスのステルスフリゲイト艦とかが、カッコ良くて好きだなあ。

     君の個人的好悪など聞いていません。カッコ良いと実用に適するのですか?

    >新型のDDのおかげで、助かったという状況もあると思います。
    >VLSのおかげで、助からないものも助かるという状況もありえると思います。

     助かるというのは非VLS艦と比べてどういう状況で発生した事象なのですか?韓国のKDX-2もVLS装備ですが?

     思うではなく正答ないしは事実を持って回答願います。

    RNR

  12. >SUDO様
     「このくらいの状況なら意味がある」「これ以上、これ以下の状況になると意味がない」というような例を示していただけるとまことにありがたいのですが、それは大雑把すぎて、もはや明確な回答を出せない領域でしょうか?

    >勝井様
     ありがとうございます。
     戦闘管制システムが高性能であるとは、単純に探知能力と反応速度に優れているということでいいのでしょうか?
    因幡

  13. それ以上に重要なのがデータリンク能力です。
    データの送受信と受け取ったデータの処理能力。
    旧い型では受け取ることしか出来なかったり、受け取ったデータの処理に時間がかかって
    目標捕捉が致命的に遅れたりします(その事例が上記「4時間遅れ」です)。
    勝井

  14. >12
     それは、貴方がどのレベルの何を求めてるか判らないので何ともいえないというか、それこそ各艦の装備を見れば判る事では?

    >13
     4時間遅れってのは、全体で何時間かかったのに対してなのかが判らないと意味は無いですよ。100時間と104時間なのか、1分と4時間1分では違いは全然変ってくるんですから。
    SUDO

  15. >14.
    まあ、それは承知しています。
    正確なところは聞きそびれましたが、演習中の出来事ですから
    長くとも2〜3日、数十時間中の4時間差ではありましょう。
    勝井

  16. >6
    それを考えるにはコストパフォーマンスという事を計算にいれないとだめなのではないでしょうか。確かにイージスDDGと在来型DDGでは能力の違いは歴然としていますが、コストの違いも歴然としていますよ、と。
    ななしのかかし

  17.  おお、そういえば「むらさめ」以降はESSM搭載により防空力が在来型DDG並になりますね。やっぱりこういう正面装備の差があればわかりやすいですね。とはいえ、だからどうしたっていえばそれまでで、最終的にはSUDO様の仰る「新しくても古くてもDDであるという点では変りません」に行きつくのでしょうか。管制システムの差は私にはよくわかりません(数十時間中の4時間差、ていうと大差ないような……)。

    >16
     コストも、「たかなみ」の建造費(約630億円)と、在来型DDG「はたかぜ(約600円)」とがたいしてかわらない事を思えば、「あさぎり(約430億円)」より高くても、そんなもんではないでしょうか。

     皆様、ありがとうございました。
    因幡

  18. いや、大差ないようなもなにも、そこで米艦との連携困難になったことの衝撃が
    こんごう級1〜3番艦のベースライン更新にまで繋がってるんですから、
    海自ではものすごく深刻に受け止められてるわけですよ。
    (ここまでが実際に聴き取ったことです)

    何時間かけて4時間差に開いたのかは聞きそびれましたが、
    結果として海自の防衛計画に反映されるほどのショックをもたらしてます。



    またESSMは所詮短SAMであり、個艦防御用です。
    DDGとは本質的に防空能力が異なります。
    勝井

  19. >18
     てか、それってば従来のLINK11からLINK16への更新の問題であって、ベースラインの違いじゃないと思うが・・・。
    SUDO

  20. こんにちは。

    >ステルス砲塔はその形状上、波の荒い場所では波に叩かれて損傷することがあるのを承知の上での発言ですか?ステルス性を重視するあまり、レーダを載せる強度が不足したら本末転倒ですが?

    まあ、「はやぶさ」だって、ステルス砲塔だし。いいんじゃないですか。
    それに、カッコがいいし。

    > 君の個人的好悪など聞いていません。カッコ良いと実用に適するのですか?

    そう突っ込まれると思っていました。
    弘田

  21. >19.
    うにゅ。
    その辺ボカされましたかねぇ・・・
    私はそう聴いたんですが。
    勝井

  22. >17
    ちなみにDDに求められる主要任務は対潜戦ですが、むらさめ型はソナーの更新、水中放射雑音の低減、VLAの採用、ヘリ2機を余裕で搭載できる、などが主要眼目でしょうか。ソナーの性能とかノイズレベルとかは漏れてこないし、普通に入手できる情報ではどれだけ進歩しているのかわかりませんね。まぁ、確実に進歩しているとは思いますが。
    ななしのかかし

  23. >海自ではものすごく深刻に受け止められてるわけですよ。
     むう、大差だったわけですね。

    >またESSMは所詮短SAMであり、個艦防御用です。
    >DDGとは本質的に防空能力が異なります。
     本題からずれますが、どういう風に異なるのか御教授願えませんでしょうか? エリアディフェンスSAMとポイントディフェンスSAMは射程が違うだけだと思ってました。

    >SUDO様
     これまた本題と無関係ですが、LINK16のアンテナはどれなんでしょうか? 「むらさめ」型についていたりいなかったりするOE-82Cがそれでしょうか?
    因幡

  24. はやぶさがステルス砲塔?

    ステルスは「意識」しているけど、ステルスじゃなし。
    ないよりましってレベル。

    それよりも砲機能に重点を置いた実装をするのがふつーの人の思考ですな。
    sorya

  25. >sorya様

    失礼しました。"Warship"誌ではステルス性能の向上とありましたので。
    ではスウェーデンの新型57mmも同様と考えてよろしいでしょうか?
    RNR

  26. >エリアディフェンスSAM(ADSAM)とポイントディフェンスSAM(PDSAM)の違い

    名前の通り,任務が違います。PDSAMの射程では他の艦に向かうミサイルなどの
    迎撃は基本的には考慮されてません。ADSAMは艦隊全体の防空が任務です。

    また性能面では近年の,PDSAMの必須能力の一つが対ASM能力ですが,ADSAMの
    対ASM能力には?が付くようです。
    元々ADSAMは航空機をターゲットにするミサイルなので,小型でシースキムする
    ASMに対しての有効性は低く,ASMの残存率解析でも重視されないようです。
    (SAMの弾体が大きく機動性が低い,シースキーマーに対してはPDSAMに対する
    射程の優位が小さいなど)
    上記は一般論なのでSM-2の最新版などでは,どうなのか分かりませんが,
    イージス艦にもESSMを積む話があるくらいなので,それほど間違っては無い
    と思います。

    taka

  27. >>RNR氏
    ステルス性能向上という記述自体が間違いです。
    0に何を掛けても0であるという基本原理を忘れてはいけません。性能向上とはつまりそういうことです。

    はやぶさに関して言えば、1)ステルス性の考慮は行った(0+Xという意味で)、2)だがステルス化実装と射撃時対する即応性・冗長性とを天秤に掛け、結局砲機能>ステルスという機能の取捨選択が行われており、事実その通りに実装されています。

    もっとも、艦船のステルス化自体に未だ定量的な有効性が見いだせない(というより、どこまで戦闘用艦艇としての機能を損なわせてまでステルス化すれば良いのか?というバランス取りですね)ため、限られた範囲(この場合においては、砲機能を損なわない程度)で実装だけはしてみたという見方もあり、事実運用・技術側もそのような見解を取ることが非常に多いです。

    なお、visbyといったコルベットに搭載されたステルス化砲塔(57mm)ですが、以下の点が指摘されています。

    1)射撃に対する即応性がない(射撃前に砲身を出す必要があります)
    2)砲身収納時における砲塔被弾の際、砲身を出せる保証がない(項目1)に類似しますが)
    3)荒天時、旋回角を±90度(船軸に対し垂直な方向に向けたということです)にした場合、大きな衝撃荷重が砲に掛かる
    4)ステルス化に対して大きく寄与可能なのは正面RCSの低減だけである
    sorya

  28. >sorya様

     ご回答ありがとうございました。お手間をおかけして申し訳ありません。

    >艦船のステルス化自体に未だ定量的な有効性が見いだせない

     そうなると各海軍および技術陣は、試行錯誤の段階にあるという事でしょうか?物性や設計関連で何がしかの傾向といいますか方向性は報告されていないのでしょうか?個別事例ではなくとも、全体としてカンファレンスかミーティングで議題に出そうなテーマだと思うのですが。

     さらなるご指摘を受けることを承知でお伺いしたいのですが、最近RNでF22やF23の一部に114mmのステルスシールドを装備した艦が出現しています。

     ここでお伺いしたいのは仏ラファイエット級のような当初から艦全体としてステルス性を考慮された艦と上記の挙げた艦(要するに砲だけ後付け)とでは、同じ0+Xであっても+Xの部分は微妙に異なる(艦全体としてか否か)のではないかと私は考えます。

     もちろん運用形態や建造目的、艦種によって異なるとは思いますが、その辺はいかがでしょうか?再度ご教示をいただければ幸いです。
    RNR

  29. 以下、Ans.Qの趣旨から逸脱する内容が含まれ、読むのが面倒になる可能性があるかもしれませんがおつきあいください。

    一般的な兵器開発におけるマネージメントでは、運用側のドクトリンがあり、そのドクトリンを達成させるために必要な兵器仕様があり、その兵器仕様を実現するための技術・実装があるとされています。傍目(公式な開発の流れという意味です)にはドクトリン→仕様→技術・実装という流れをもって開発するように見えますが、実際はこの兵器開発における三本の柱は互いに作用し合っいるが普通です。つまり、技術・実装、仕様及びドクトリンという3柱は常にお互い作用し合うことで、収斂・発展するものであるということです。

    何故、今更このような教科書的な事を予め論じたのかというと、現在のステルス技術・実装を語るためには以上の前提を知っておかなければ理解しえないためであると受け止めてください。

    では、本題に入ります。現在のステルス技術及びステルス実装技術を端的に言い表せば、技術・実装の仕様及び運用を伴わない暴走であると言えます。もっとも、ステルスという古くて新しい技術(概念及び簡易的な実装はそれこそWWIIまで遡ることが可能です)に対する運用側の過度な期待感がその背景にあることは確実ですが。

    明らかに歴史的なトリガーとなったのは第一次湾岸戦争における米空軍の戦果です。現在のステルス化の推進は第一次湾岸戦争で受けたショックに対するヒステリックな反応であり、そのヒステリックな反応こそが技術・実装の暴走を招いています。とにかくステルス。ドクトリンは後からついてくる。ですね。

    もっとも、そのショックを与えた米軍自体ステルス機がどのようなものであるかを往々にして忘れてしまい、運用に齟齬を来している状態ではあります(F-117の撃墜なんぞはその最たる例でしょう)が。

    なお、こののF-117事例は、ステルス機というものが、常に完全なステルス状態を発揮するスーパー戦闘機であるという錯覚に基づいて運用をしたが故のものです。航空機及び戦闘機としての性能とを引き替えにして得られた極めて脆弱な機体の(しかも高価な!)ステルス機なのですから、本来ならばウェイポイントは一般機以上に頻繁に変更して運用する等して、出来る限り被弾機会を減らす必要がありました。

    ま。若干話がそれましたが、ステルスの推進というものは実を言えば進んでいるようで全く進んでいません。というのも、ステルスというものはそれを適用したvehicleに物理的な制約を課すものであるからです。

    例えば近年の艦船の傾向ですとコーナーリフレクタとしての作用する舷側のウォークエリアの廃止というものがあります。これは船体に直角もしくは直角に近い角度で構造を作り込んだ場合、レーダー発射側に効率よく電磁波を返すコーナーリフレクタとしての強い作用があるからです。

    このステルス化の代償として艫及び舳先へのアクセスが著しく悪くなってしまったこと、近接水上艇等に対する監視手段が失われた事です。残念ながら艦船のような大型構造であっても、この制約というものが大きく作用し、最終的には戦闘力を大きく失ってしまうのです。なんせほぼ理想的なステルス艦型はUSN Sea Shadowもしくはそれに類似したものしかあり得ないのですから。なお、USN DD21計画はSea Shadowの発展型と言われながら、その実若干ステルス艦よりな戦闘艦としての実装が施されており、同喫水長のSea Shadowと比べると、そのステルス性能は著しく劣ることが現時点に於いて既に指摘されています。

    以上の話から判りますように、La Fayetteは限定的なステルス艦です。少なくともオールアスペクト性を有するステルス艦ではありません。期待されているのは正面RCSの低減であり、側面RCSは戦闘力維持のため、設計及び実装のしやすさのため、敢えて犠牲にしています。当然ですが、既存船形をその原型にしていますので、船体側面−海面におけるコーナーリフレクト効果の低減はほとんど考慮していません。

    つまり、脅威には常に正対し続けるという運用の大前提がその実装にあるということです。言い切ってしまえば近年の所謂ステルス艦というものは運用を蔑ろにした実装であり、幾ら高度な実装を施したとしても、その背景にはっきりとした運用・思想が伴わない限り、既存艦にステルス概念を組み込むことで順序立てて有効性の定量化を行う手法とベクトルだけが異なる(スカラ量はほぼ同一であるということ)だけのものであるということです。

    強いて言えば、機能をステルス側に振り込みすぎた場合における弊害を調査するにはうってつけの素材であろうとは個人的には考えます。
    sorya

  30. >sorya様

     非常に詳細かつ的確なご説明を頂きましてありがとうございました。
     さらに勉強させていただいた上で、質問がありましたら再度ご指南頂け
    れば幸いです。
    RNR


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