928 あまり、後に続かなかった水上偵察機紫雲ですが、一点疑問があるのですが、
高速「偵察機」で主目的を強行偵察においていたのに、何故二座なんでしょうか?
水上偵察機で強行偵察ということは、零式水上偵察機(三座)の後継機となると思うのですが。
帝国海軍では、二座系統の水上機としては
・弾着観測・戦闘の零式観測機
・水上爆撃の瑞雲
で、進んでいて、これらの二座機とは紫雲はコンセプトが違うと思うのですが。もう、専任の航法手が必要な程、長距離の進出は必要ななくなったのですか?(戦況悪化した方が余計に必要な気がするんですが)
理解そのものが間違っているかも知れませんので、その場合はその点に指摘いただけますと幸いです。
よろしくお願いいたします。
Myu

  1. 紫雲の試作発注が行われた昭和13年の「航空機種及性能標準」には水上機として「偵察機」(三座)の次に「高速偵察機」(二座)の項目が設けられています。
    翌年14年にも同様に記載されていますが、そこには「固有性能を充足せば速やかに解決を要望する事項」として「出来得れば三座を考慮すること」とあります。

    ・三座水偵と高速水偵察は要求性能が似ているけれども、別機種として扱われていて、紫雲が零式水偵の後継機として試作されている訳ではない。

    ・三座水偵とほぼ同様の偵察捜索能力を求められている高速水偵は性能発揮上問題が無ければやはり二座よりも三座が望ましいとされている。

    ということです。
    BUN

  2. 「高速水偵」という機種は、航空機機種及び性能標準の昭和13年案あたりから登場し、従来の三座水偵とは別の機種としてカテゴライズされています。
    したがって、零式三座水偵の後継機ではありません。
    性能要求上は「敵戦闘機以上を目標とする高速であること」が特性の主眼の新機種なのです。
    おっしゃるように確かに三座であることも望まれてはいましたが、その前に高速性能を実現することに優先順位が置かれていました。


  3. ダブりました。


  4. 片さんも私も性能標準について触れているのはこの文書が試作機の機種と用法、性能の基本を定めて、各試作計画の計画要求書に反映される最重要文書だからです。

    ちなみに「艦上機」と「艦載機」を明確に分けているのも性能標準です。
    BUN

  5. 航空機機種及び性能標準諸案の上で「水上機」の項に「高速偵察機」が置かれているのは、昭和13〜14年で昭和15年になるとこれはなくなってしまいます。
    代わりに15年からは「艦上偵察機」という機種が新設されています。これも同じく性能標準で敵戦闘機以上の高速を目標として要求された偵察機です。

    厳密には用途や兵装に違いはあるのですが、文脈上、紫雲は彩雲との関連で語った方がよい機種であるのかもしれません。実際、紫雲にも艦上機として運用する案も途中で存在していましたし。

    そして、艦上偵察機の方でも、十分な高速を発揮しつつ三座である彩雲が登場するまでは、二座の二式艦偵が使われていました。
    まずは敵戦闘機の追従を振り切れる高速を発揮で生きる偵察機を得ること。
    それが成せたなら、次に三座にして偵察能力を高めること。
    そういう順序で進められていたわけです。


  6. BUN様、片様
    ご回答ありがとうございます。
    なるほど、「偵察機」と「高速偵察機」別のラインの計画だっんですね。
    なので、主軸をどっちに置くかで、最低ラインとして二座でも許容してただけなんですね。

    疑問が解けて、とってもすっきりしました。
    お二人共、誠にありがとうございました。
    Myu


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