943  往事の鋼管骨組みの航空機の「パイプ内部の塗装法」について教えてください。
 素材の段階ではドブ漬けも可能でしょうが、溶接熱による塗膜の変質・消失があろあうかと思います。組み上がってからは、漬け槽があまりに巨大、必要塗料量も膨大です。
 溶接後に穴開け等あれば切削油を洗浄してからの塗装の要もあるでしょう。
 素材時に溶接熱に耐えうる耐熱塗料でドブ漬け、完成後に各部の開口部を塞いでおいて鋼管内部に塗料を満たして空気だまりを動かすために傾けたりひっくり返したり・・・どうも上手く行く気がいたしません。

かといって戦間期に植民地で使う機など、錆の心配が不要なほど機体寿命が短かったとも思えません。

どのようにしていたんでしょうか?

ロク

  1. 当時のパイプフレーム内部に、塗装が為されていたかは判りませんが、
    溶融亜鉛鍍金の手法とかカチオン塗装の技術をお調べになれば
    ある程度ご理解頂ける様な気がします。

    ある一定の角度で対象物を槽に漬けて引き上げるとムラなく皮膜が(内外部共)形成されます。
    前者は手摺、後者は自動車のモノコックボデイ等に適応されて居ります。
    pat

  2. 鋼管内側はボイル油かエナメル焼付塗装です。(少なくとも日本ではそうです)
    溶接後の管内再塗装はやってなかったのじゃないかという気がします。
    少なくとも、修理後にそうしろとは書かれてません。


  3. 自転車やモーターサイクルなどの鋼管溶接フレームも組み上げた後は普通、内部は塗装しませんので、断言はしませんが当時の航空機も同じだと思います。
    DDかず

  4. ありがとうございます。
    特に海で使う場合、内部からの腐食が原因で機体寿命が短くなってしまうという問題あるいは問題意識はなかったのでしょうか?
    ロク

  5. フレームとして複雑な形状に組み上げられた鋼管の内壁は空気が動きにくく、新鮮な空気で絶えず撫でられ続ける、という環境ではなく、海風に晒されるのもほぼ外側だけなのではないでしょうか。せいぜい開口部周辺に防錆油を塗布する程度で十分だと思います。
    DDかず

  6. 古い自転車のフレーム内側を見ますと、クリーンなところはあまり錆びていませんが、溶接部(の反対側、亜鉛が傷むのか)や、パイプを潰した端部(乾燥しにくいのか)などは錆が進んでいます。
    佐貫先生の「飛行機の再発見」を見ると、飛行機フレームにも同様の処理は多用され、方向舵・昇降舵取り付け部など外皮で保護されない箇所も見られます。
    だもんで、大丈夫だったのかなあと思った次第です。
    ロク

  7. 戦時中の航空機は短いものだと100時間程度、その他でも数百時間程度の飛行時間で第一線から下げられたそうですし、そもそも戦間期の前半分くらいは鋼管どころか木製羽布張り構造でしょうから、錆の心配が不要なほど機体寿命が短かったという可能性は案外あるのでは。
    通りすがり

  8. ご示唆ありがとうございます。
    戦時中の機体はむろん、戦間期の機であっても、錆が機体寿命に響かなかった場合「も」あったことは承知しております。

    ですが、大型の旅客機・旅客飛行艇は相当な飛行時間を現役でこなします。アメリカ・フィリピン間4泊5日とか・・・
    日本でも一三式艦攻は生産終了から退役まで5年あります。

    また、錆のきっかけは飛行時間におおむね比例するとしても、進行は放置時間におおむね比例するでしょうから、飛行時間が短くても、飛行可能期間が長ければ問題になり得たのではないかと思いまして。
    ロク

  9. 腐食で問題になるのは、錆(全面腐食)よりも応力腐食割れ(時期割れ)や局部腐食(ピッチング)です。
    炭素鋼は通常の環境では応力腐食割れ(時期割れ)を起こしません。
    この点では時期割れを起こし破断してしまうジュラルミンよりもはるかに有利です。

    普通の錆(全面腐食)ならば、腐食しろを十分とっておけば、多少錆びても機体寿命の期間では強度は問題はないのでは。

    雷鳥

  10. 雷鳥さま、ご教示感謝。
    ロク


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