B-1A ランサー
ロックウェル B-1A は可変後退翼を採用した超音速爆撃機でしたが、あまりに高額なのと大陸間弾道ミサイルの発展に伴ってキャンセルされた機体です。のちに機構を簡略化した亜音速の B-1B が少数量産されました。ここに展示されているのは五機作られた B-1A のうち最終の五号機で、脱出モジュールの代わりに射出座席を装備しています。
B-1A のカナード(QV-10画像)
夕暮れの迫る人気のない博物館の露天展示場に、細く甲高い音が聞こえます。B-1A のカナード(機首安定翼)が吹きすさぶ風を切る音です。かつて巨額の予算を投じて作られた冷戦の証人は、その泣き声で何を訴えようとしているのでしょうか。
巨人と小人
巨人爆撃機コンベア B-36J「ピースメイカー」と、その腹部に抱かれて出撃する予定だったマグダネル XF-85「ゴブリン」戦闘機です。XF-85 にはドッキング用の機首フックがあるだけで着陸脚がないので、台車に載せられて展示されています。
B-36 の尾翼
とにかくバカでかい B-36。手前の A-1 スカイレイダーと比較してみてください。これを室内展示する根性には恐れ入りますが、土地に困らないアメリカが羨ましくもあります。これに引き換え我が国は…貴重な二式大艇すら雨風ざらしの有り様…(T_T)。
B-36 の爆弾倉
巨大な B-36 の爆弾倉、ドラム缶のようにぶら下がっているのは熱核爆弾(水爆)のレプリカです…。
B-36 のタイヤ
巨人機 B-36 は何もかもがビッグスケールです。主脚のタイヤは4連になっているのにこの大きさです。しかし…
XB-36 のタイヤ
試作機 XB-36 ではシングルタイヤの採用が要求されていたため、米軍史上最大の巨大タイヤが作られました。これに実用性があるかどうか、作る前からわかりそうなものなのに…。
B-36 の砲塔(QV-10画像)
初期型の B-36 は前後上下に引き込み式の遠隔操作 20mm 連装砲塔を持っていましたが、高速で飛び回るジェット戦闘機相手には役に立たず、ただの重量物となったので降ろしてしまいました。。
F-86H セイバー
朝鮮戦争の活躍で有名なノースアメリカン F-86 セイバー、H 型は機銃を M39 20mm に換装した後期型。外板を剥がした珍しい展示で、ジェット戦闘機の機内構造がよくわかります。
X-29 FSW
新谷かおる氏の「エリア88」で妙に有名になってしまったグラマン X-29 前進翼実験機ですが、実機は中古の F-5E 戦闘機の改造で二機しか作られていません。ここに展示されている機体 82-003 はその一号機です。
F-105G サンダーチーフ
リパブリック F-105 はベトナム爆撃作戦の主役で、この展示もベトナムにおける前線基地を再現しています。G 型は複座で後席に電子戦機器を満載し、AGM-45A「シュライク」対レーダーミサイルを積んで危険な対空砲火制圧任務「ワイルド・ウィーゼル」に従事しました。
F-105D
こちらは単座型の F-105D。側面パネルを外して M61A バルカン砲を見せています。20mm 六砲身の割にはコンパクトなことがわかりますね。爆弾から突き出している棒は破片散乱効果を増大させる延長信管です。向こうのガラスケースには各種制帽が展示してあります。
いろいろゴチャゴチャ
U-2 偵察機、B-47 爆撃機、B-52 爆撃機、F-16 戦闘機が見えます。
F-94C スターファイヤー
あまり知名度の高くない F-94 は F-80 を発展させた全天候迎撃機で、1950 年代のアメリカ本土防空隊に配備されていました。当時はまだ空対空ミサイルが実用化されておらず、主翼のポッドと機首レドーム周りに 2.75 インチ「マイティ・マウス」ロケット弾を搭載しています。
F-16A ファルコン
この F-16 はアメリカ空軍のアクロバットチーム「サンダーバーズ」の使用機で、1982 年から新型の F-16C に置き換わる 1992 年まで一番機を務めた機体です。
XB-70 ヴァルキリー
マッハ3を目指して作られた超音速大型爆撃機ノースアメリカン XB-70 ヴァルキリー。二機作られたうちの二号機は空中衝突事故で墜落し、これは唯一生き残った一号機です。紙飛行機のようにシンプルで美しく、しかも呆れるほど巨大な飛行機です。
XB-70 のインテイク
この飛行機がどれくらいデカいか、下の人物と比較してみてください。なお、右から突き出して見えるのは A-10 の主翼端です。
タシット・ブルー
タシット・ブルー(TACIT BLUE)はノースロップ製作によるステルス実験機。レーダー反射を避けるため表面には外板の継ぎ目もネジ頭ひとつもなくツンツルテンに仕上げてあり、まるで一体成形のように見えます。グルームレイク秘密基地エリア 51 で実験飛行していたと噂される「空飛ぶ円盤」の正体はこれら一連のステルス実験機だったらしいです。左側は XB-70、右には SR-71 が見えます。
X シリーズ
左から順にダグラス X-3 高速研究機、ノースロップ X-4 無尾翼研究機(上)、マーチン X-24B 揚力胴(リフティング・ボディ)研究機。XB-70 の主翼の影に X-1B も写っています。左のガラスケースはトマホーク巡航ミサイルのエンジン。
ベル X-1B
音速突破に命を賭ける男たちを描いたトム・ウルフ著「ザ・ライト・スタッフ」で有名な X-1 の改良型です。X-1 シリーズは燃料系に致命的な欠陥があり、姉妹機の多くは爆発事故で失われています。
X-15 のロケット噴射口
マッハ5の記録を持つノースアメリカン X-15 速度実験機、そのパワフルなロケットエンジン噴射口です。正確には X-15A-2 で、三機作られた X-15 の二号機だそうです。確か前方からも一枚撮ったと思っていたのですが、どうやら忘れていたようです…。
YF-22 ラプター
ロッキード F-22 は米軍最新鋭のステルス戦闘機で、YF-22 はその試作型。レーダー反射を防ぐため表面仕上げが非常に滑らかで、とてもきれいな飛行機という印象を受けました。
B-58 ハスラー
コンベア B-58 ハスラーは世界初の超音速戦略爆撃機です。左下に展示してある何やらオレンジ色の物体は B-58 の脱出カプセルです。
B-58 脱出カプセル(QV-10画像)
この「エイリアン」に出てきそうな SF チックな物体が B-58 の脱出カプセル。射出座席と一体になっており、乗員をシールドしてから射出するという発想です。
Hustler Sting!(QV-10画像)
B-58 の尾部には自衛用の M61A1 20mm バルカン砲が装備されています。…気休め以上の意味があったとは思えませんが(笑)。
B-52 ストラトフォートレス
ボーイング B-52 はデカすぎてフレームに入りません。右には F-4E ファントムと OV-10 ブロンコ軽攻撃機が写っています。左のオレンジ色のタンクは…何だったか覚えていません(^_^;)。