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ドルニエDo335「プファイル」

Do335
画像:渡部 篤 氏

 高性能を発揮しながら出現が遅すぎたため、ついには正式な実戦活動を行うことの なかった多用途機。

 クラウディス・ドルニエ博士が戦前に取得していた串型双発機の特許に基づいて 製作された機体で、1943年10月26日に初飛行しました。
 通常なら冷却器の配置に苦労するこのエンジン配置を、前方エンジンは機首に環状に、 後方エンジンは後部胴体下面に装備することでスマートにまとめ上げました。性能的には 従来の双発機とは比較にならない高性能を示し、また、片発が停止した場合も操縦性に対 する影響が少ないという利点も持っていました。
 本機は基本的には戦闘機として開発されましたが、胴体内に爆弾倉を持つなど、当初から 戦闘爆撃機としても考慮されており(これはMe210/410も同じですが)、また、 複座化するのにも比較的容易な構造ともなっており、実際に複座の夜間戦闘機や練習機 バージョンも製作されました。

 一般的に、制式採用されなかった機体は何らかの問題を抱えていることが多いのですが、 本機に限っては純粋に時間的に間に合わなかっただけで、ドイツ空軍もかなりの期待を寄せて いた機種でした。しかし、その間に合わなかった一因には、ドイツ一流の開発段階から 多種多様な派生型を計画/製造するという悪癖が災いしたことも間違いありません。



諸元 A−1
全幅(m) 13.8
全長(m) 13.85
全高(m) 5.0
翼面積(u) 38.5
空虚重量(s) 7,400
全備重量(s) 9,610
エンジン DB603E−1 液冷倒立V型12気筒 1800馬力
最大速度 763Km/h(6,400m)
最大巡航速度 685Km/h(7,100m)
着陸速度 180Km/h
実用上昇限度 11,400m
標準航続距離 1,380Km/h
武装 MK103 30o×1
(プロペラ軸)
MG151/20 20o×2(機首上部)

生産機数:23機