高性能を発揮しながらタイミングの悪さと空軍との運用思想の違いにより制式 採用されなかった不運の双発戦闘機。 1937年夏にJumo210D9装備で完成した原型1号機は525qの高速を 記録し、上昇性能、降下性能も優れたものを示しました。さらにV6ではエンジンを 瞬間的に1820馬力を発揮できるDB600Aの特別版に換装し、蒸気表面冷却を 採用したことにより630qの最高速度を記録するに至りました。 しかしながら、当初単座であったため双発戦闘機は複座でなければならないとする ドイツ空軍の要求により、後にとってつけたような後席を配して複座としましたが、 それでもなお複座であるなら後方武装が必要だとする要求をつきつけられました。 あまりにも細くしぼった胴体のため、これは不可能で、Bf110が制式採用されていた ことと1機種主義のため、ついに制式採用されることはありませんでした。 まあ、高性能ではあったものの、双発戦闘機であるならバトル・オブ・ブリテンに おけるBf110のように爆撃機の援護戦闘機として使うのはやはり無理な話で、かと いって、機体設計に余裕のない本機では戦闘爆撃機や夜間戦闘機に転用することはほぼ 絶望的であったでしょうから、結果的には不採用になってよかったんじゃないでしょうか? 結局、本機が残した戦果としては、自社工場の防衛用にフォッケウルフ社所属の3機が 数機の撃墜を記録するにとどまりました。 諸元(A−0) 全長: 11.01m 全幅: 15.30m 全高: 3.85m 翼面積: 30.40u 自重: 3,600s 全備重量:5,000s 武装: MG17 7.92o×4,MGFF 20o×2 エンジン:Jumo210Ga 液冷倒立V型12気筒 700馬力×2 最大速度:525Km/h(4,000m) |