高々度飛行用に胴体内に過給用のエンジンを装備した試作高々度偵察機。 ドイツ空軍は敵戦闘機の上がってこれない高々度を安全に飛行し偵察を行う機体の 開発を新興メーカー、ヘンシェル社に依頼しました。 ヘンシェル社では、すでにテスト中だったHs128を発展させた機体としてHs130 を与圧キャビンを備えた機体として設計、最初の機体V1は通常形式のエンジン配置に GM−1パワーブースターを装備して完成しました。その後、いくつかの型がさまざまな 形式で製作されましたが、E型では、当時、開発されつつあったHZアンラーゲシステム の導入を決定しました。 このシステムは、胴体部に過給専用のエンジンを1基搭載し、両翼のエンジンに 過給を行い、高々度においても高いエンジン出力を確保しようというもので、Hs130 E−0の場合は過給用のエンジンにDB605T、飛行用のエンジンにDB603Bを装備 していました。このため胴体下面には過給器吸入用とDB605Tのラジエーターの 2つの開口部があります。また、胴体のDB605Tによって圧縮された空気は 両翼のエンジンに導かれるわけですが、その途中のエンジンナセル内側に中間冷却器 を装備していました。 しかし、前代未聞のこのシステムの開発は難航し、所定の高々度性能を達することは できたものの飛行中の故障が頻発しました。これは、度重なる改良によっても解消されず、 ついに本機の本格的な量産が行われることはありませんでした。 |
エンジン前方の巨大な過給器が他のエンジンに過給するためのもので、その前後の 空気取り入れ口から過給用の空気を吸い込み、過給器横の開口部から長いダクトを 通して他のエンジン(Hs130の場合は両翼のエンジン)に供給するような仕掛け になっていたようです。 それにしても、このエンジン自体の過給器は後部左側面に装備された通常のものの ようなので、やはり高々度での出力不足が心配になります。 |
諸元 | E−0 |
全幅(m) | 33.0 |
全長(m) | 22.0 |
全高(m) | 5.6 |
翼面積(u) | 85.0 |
空虚重量(s) | 12,200 |
全備重量(s) | 16,700 |
エンジン |
DB603B 液冷倒立V型12気筒 1750馬力×2, DB605T 液冷倒立V型12気筒 1475馬力×1(過給用) |
最大速度 | 610q/h(14,000m) |
巡航速度 | 515q/h(12,000m) |
着陸速度 | 130q/h |
実用上昇限度 | 15,100m |
最大航続距離 | 3,000q |