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ベソンMB.411

 フランス海軍の誇る大型潜水艦シュルクーフの専用艦載機であるMB.411は、マルセル・ベソンの設計になる双フロートのMB.35から発達したMB.410を改良したもので、2機が製作された。

 おおもとの原型となったMB.35自体、1926年度のシュルクーフの建造計画に合わせて設計された飛行機なのであるが、シュルクーフが設計変更を繰り返すうちに(何しろ1926年度計画艦なのに、完成は1934年にもなっている)機体寸法をちょびっと大きくできることになった。(MB.35は1926年に2機が製作され、軽巡プリモゲの艦載機として短期間使用された)
 それで、性能向上を図ったのがMB.410なのであるが、原型機は墜落して失われ、それをさらに改めたものが、MB.411である。

 まったく矩形の低翼単葉主翼と水平尾翼に、ごくそっけない台形の垂直尾翼、支柱だらけの浮舟と、我が零式小型水上機と寸法はほぼ同じなのであるが、比べるべくもなく非常に不恰好な飛行機である。
 潜水艦の狭い格納庫にしまって、分解組立を前提とするとはいえ、ここまで外形を簡略化する必要性はあったのだろうか?
 タ号特攻機もびっくりの不恰好さである。

 胴体は軽金属骨組に羽布張り、主翼とフロートは金属製。
 単フロートなのだが、これだけ支柱を張り巡らせては単フロートの利点はほとんどなく、双フロートの方が、空気抵抗、分解組立の容易さ、水上安定性、全ての面で有利なように思えるのだが…。
 エンジンはサルムソンの空冷星型175馬力で、この点でも天風一二型340馬力の零式小型に劣っている。
 
 ともかく、1号機は1935年9月に完成し、シュルクーフに搭載されて実用テストを受け、単座から複座に改修されてから、就役した。(これも、テストしなきゃわからなかったんだろうか?)
 2号機は予備機として、サン・マンドリエール所在の7S4(第7偵察飛行隊第4中隊、シュルクーフ派遣隊の親隊で、主力はロワールLN130)にあった。

 MB.411の実戦での活動例はほとんど知られていない。
 1940年6月のフランス降伏後、ブレストを脱出したシュルクーフにはまだ1号機が搭載されており、プリマスを新たな母港としたシュルクーフがサウスデボンシャーやドーセットシャーの沖合で訓練飛行を実施した際には、イギリスの沿岸監視哨の対空監視員にかなりの混乱を引き起こしたようである。
 ドイツ軍の爆撃によりMB.411は1941年の暮れに損傷し、部品がないために修理に手間取ったため、シュルクーフの最後の航海にはMB.411はついていかなかった。
 シュルクーフは1942年2月18日に、暗夜に米国貨物船と衝突して沈没し、母艦を失ったMB.411は英国の貨物船から運用する話も出たが実現せず、その後の運命は不明である。
 2号機はサン・マンドリエールにあったまま、休戦後は見捨てられたような格好で放置され、戦争中にスクラップになった。

(文章:まなかじ)


実用テストのときの映像。そんなわけで、まだ単座。

諸元
全幅12.00m
全長8.25m
全高2.85m
翼面積22.00m2
自重690kg
全備重量1,020kg
離水最大重量1,140kg
最大速度190km/h(1,000m)
巡航速度130km/h
実用上昇限度5,000m
上昇時間1,500mまで8分00秒
航続距離400km
武装なし
発動機サルムソン9Nd 空冷星型9気筒 175馬力
乗員2名

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