カプロニ・ベルガマスキ Ca301/A.P.1

 多用途機ロメオ(IMAM)Ro1の後継を求める1932年の仕様に応じた機体である。
 この仕様ではRo1の用途を更に広げ、正面決戦での地上攻撃機と、植民地戦争での迎撃戦闘機、(重爆撃機を補助するべき)軽爆撃機、更に偵察機を兼用できることが要求されていた。
 これに対し、カプロニ・ベルガマスキとブレダが応じ、ブレダが提出したのがBa.64である。
 両者とも試作一号機は1934年に初飛行し、鋼管構造に羽布張りと軽金属薄板張りを併用した低翼単葉固定脚機であったのだが、主翼構造は大きく違ってBa.64が鋼製桁軽金属骨に前縁軽金属張り翼面羽布張りという構造に対し、Ca.301の主翼は全木製セミモノコックであった。
 これが特に重量面で響き、Ca.301は単座で7.7ミリ2門の翼内武装に対し、Ba.64試作機は複座機で更に翼内に7.7ミリに加えて12.7ミリ2門を余計に有していたにもかかわらず、飛行性能でほぼ同等という結果となり、イタリア空軍の制式機としてはCa.301は早々に脱落してしまう。
 ただ、Ba.64はその後引込脚を採用するなどして価格が上昇していったため、海外輸出用の多用途機としてCa301の生き残る余地ができた。
 輸出仕様は複座機となり後席には旋回銃を設け(これにより自重は1,940kgに増加)、それに伴い発動機をアルファロメオ126 RC34(空冷星型9気筒780馬力)にパワーアップしている。(実用上昇限度は6500mに低下)
 この輸出仕様はA.P.1と呼ばれ、1938年から1939年にかけて26機が製作された。
 まずスペイン空軍に15機(1938年)が供与されてスペイン内戦で実績を作ると、エルサルバドル空軍に4機(1938年)、パラグアイ空軍に7機(1939年)が売れ、エルサルバドル空軍では1944年まで、パラグアイ空軍では1949年まで現役機であった。

(文章:ダリオ・マナカジーニ)


エルサルバドル空軍機(複座型A.P.1)。磨き上げられた翼下面に固定脚が映りこんでいます。

諸元(試作機)
全幅12.00m
全長8.96m
全高2.82m
翼面積24.00m2
自重1,680kg
全備重量2,330kg
武装7.7mmブレダSAFAT機銃*2 爆弾500〜600kg
発動機ピアッジオP.IX RC40 空冷星型9気筒 610馬力
最高速度346km/h(5,000m)
実用上昇限度7,200m
航続距離1,300km
乗員1名

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