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I.M.A.M(メリディオナリ) Ro.58

 Ro.58はジョバンニ・ガラッソの設計による双発戦闘機であるが、前作のRo.57がワールウィンドのような高速迎撃機を狙ったものであるのに対して、こちらはBf110やポテ630のような性格の駆逐機に近づけたものとなっている。
 空軍の要求は最大速度600km/h、10,000mの上昇限度、1,500kmの航続力を備えた重武装の機体であった。1939年に設計を開始した時点では、国産発動機の性能不十分からこれは全く見込みのないものであったが、1940年になってドイツのDB601が入手できるようになり、設計作業は俄かに本格化する。
 本機はI.M.A.Mの機体として初めてジュラルミンのセミモノコック応力外皮を採用し(このため新たに構造専門のピエトロ・カレーリオとマンロ・フィオーレの両技師を設計チームに加えた)、垂直尾翼は双尾翼とし、武装は当時最新のMG151/20を3門、ブレダSAFAT12.7mmを2門+旋回銃として1門、更に若干の爆弾というものであった。
 つまり、この時点では多用途軍用機としての性格も持っていたのであるが、設計が進むにつれて戦況の変化に伴い重迎撃機として絞り込まれていく。
 設計案は1941年に完成し、試作機2機(MM.431/432)の試作契約が結ばれた。
 MM.431は1942年5月に完成したが、武装はMG151/20が5門、ブレダSAFAT12.7mmは旋回銃のみに改められている。すぐに初飛行したが、縦横ともに安定性が不十分で操縦は困難であった。2回目の飛行では冷却系の性能不足からエンジンがオーバーヒートを起こしてしまう。
 これに伴い、尾翼とラジエーターは全面的に改設計を行なうことになったが、今度は油圧系統の故障の改修に追われ、結局空軍に納入してギドニア実験場に持ち込まれたのは1942年末になってしまった。
 ギドニアでは一通りのテストの後、メッサーシュミットMe410との比較試験が行なわれた。この試験ではRo.58は1ランク下の発動機を装着しているにもかかわらずMe410よりもいくつかの点で優れていることを示しはしたが、しかしまた同時に操縦が難しく、操作に熟練を要するであろうことも示した。
 結局、既にこの時期には他社のDB605装備の双発戦闘機の試作機も出てきていたこともあって、なお多大の改修期間を要すると見られるRo.58のこれ以上の開発継続は打ち切られることとなった。
 これに伴い、2号機(MM.432)は完成しないままに放棄され、MM.431はギドニアで空対空爆弾のテストベッドとして用いられることとなり、休戦によりスクラップとなった。

(文章:ダリオ・マナカジーニ)






諸元
全幅13.40m
全長9.89m
全高3.39m
翼面積26.20m2
自重4,350kg
離陸最大重量6,100kg
武装モーゼルMG151/20 20mm機関砲*5 ブレダSAFAT 12.7mm機銃*1
発動機ダイムラー・ベンツDB601A-1 液冷倒立V型12気筒 1175馬力
最大速度605km/h(5,120m)
戦闘巡航速度560km/h
経済巡航速度505km/h
実用上昇限度9,500m
航続距離1,500km
乗員2名

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