ルブリンR-XIII

 本来、プラーゲ・イ・ラスキーウィツ社の開発機体であるが、通称「ルブリン」で通っている。
 原型は1927年の複座偵察連絡機に関する要求仕様に応じて設計されたR-Xで、パラソル単葉の小型単発機である。
 このときは増加試作機まで進んだが、結局生産契約にまでは達していない。
 プラーゲ・イ・ラスキーウィツは諦めずに、これを基本設計として複座練習機R-XIVと偵察連絡機R-XVを設計してポーランド空軍に提案、またしてもR-XVは拒否されたが、R-XIVは15機の試験発注が行なわれ、またその最終号機は偵察連絡機としての試験評価用として製作することが要望された。
 設計はR-Xと大差ないのでプラーゲ・イ・ラスキーウィツでは試作機を作らず、複座練習機としてのR-XIVは1930年7月に初飛行し、8月には空軍で就役を開始した。
 R-XIV最終号機は1931年7月初めに要望どおりに偵察連絡機として完成した。試験では良い成績を収めたが、同機はすぐに事故で失われた。
 続いて空軍はこのタイプに旋回機銃を搭載することと、旋回機銃の射撃のため後上方の視界と射界を確保すべく垂直尾翼の改正をすることを要求した。
 縁起がよくないとして飛ばされていた「13」がわざわざ型番として選ばれ、R-XIIIとして突貫工事で早くも1931年8月末には初飛行させた。
 試験の結果は良好で、まず50機が発注され、量産機R-XIIIBは1932年6月に就役を開始した。
 後に海軍も水上連絡機として採用、各型は1935年まで生産され、最終的には空軍に約200機、海軍に約20機が納入されたが、1935年の10月にプラーゲ・イ・ラスキーウィツは倒産してしまう。これは、採用確実と見られていたR-XIII Fが一転不採用となってしまったためであった。
 プラーゲ・イ・ラスキーウィツのルブリン工場は国有化され、特にそれまで製造されていたプラーゲ・イ・ラスキーウィツ製の機体のアフターサービスはいまやルブリン国営工場が代行して行なうことになった。
 これが通称「ルブリン」の由来である。
 開戦時には完全に旧式化しており、RWD.14への交替が進行中という状態であったが、RWD.14は主に砲兵に協力する建前の観測飛行隊に優先配備されており、まだ7個偵察飛行隊にR-XIII Dが残っていた他、連絡機として各飛行隊にそれぞれ数機ずつ、総計150機ほどが配置されていた。
 ドイツ軍の圧倒的制空権下に困難な任務にあたったが、軽快な運動性と搭乗員の熟練を生かし、低速にもかかわらずよく任務を果たした。
 9月の決定的な二週間の間に戦闘損耗によって40機ほどが失われたが、ドイツの戦闘機や高射砲に食われたものは10機に満たず、戦闘損害の半分以上が地上撃破を受けたものである。また、飛行機と見れば見境なしに撃ってくるポーランド地上部隊の対空砲火によって7機が失われたと見られている。
 ただ、これ以外にもドイツ陸軍の接近によって前線飛行場で放火遺棄されて失われた機が多くあり、ドイツ軍にもルーマニア軍にもソ連軍にもそれぞれごく少数が渡ったのみであった。
(文章:ダリオ・マナカジーニ)

R-XIII 原型機。1機。
R-XIII A 増加試作機。R-XIIIを改造。1機。
R-XIII B 第一次量産機。50機。
R-XIII bis 海軍向けの水上型試作機。1機。
R-XIII C 第二次量産機。48機。後にD仕様に改造。
R-XIII D 第三次量産機。これまでエンジン剥き出しであったが、タウネンドリングが追加された。新規95機+Cより改造45機。
R-XIII ter 水上型第一次量産機。D仕様の水上型。10機
R-XIII E Dを改造し、発動機を360馬力のグノームローン7Kティターン・マヨールに強化。試作1機。
R-XIII F Cを改造し、発動機を340馬力のG1620モールスに強化。試作1機。
R-XIII F 上記の生産型。7機を組立中に会社倒産。
R-XIII G F仕様の水上型だが、発動機はワールウィンドのまま。7機組立中に倒産するも、機体は海軍領収。
R-XIII t Bを改装して計器飛行及び航法訓練用としたもの。6機改造。
R-XIX R-XIII Aを更に改造したV字尾翼の研究機。1機。
R-XXIII R-XIII B仕様で完成し、後にD仕様に改造された民間機。R-XXIII Drとも。1機。
ワルシャワ〜メルボルン間の親善飛行に挑むも、タイ領内で不時着、機体が破壊して挫折。


R-XIII Dの列線

編隊飛行中のR-XIII D

R-XIII ter

諸元(R-XIII D)
全幅13.25m
全長8.46m
全高2.76m
翼面積24.50m2
自重890kg
全備重量1,330kg
最高速度195km/h(海面)
巡航速度150km/h
実用上昇限度4,500m
航続距離600km
武装7.7mmルイス機銃*1(後席旋回 後に7.92mmヴィッカーズF kmに換装)
発動機スコダ製ライト・ワールウィンドJ-5 空冷星型7気筒 220馬力
乗員2

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