スピットファイア
Spitfire


グリフォン搭載型

 マーリンよりも強力なグリフォンエンジンの完成に伴い、スピットファイアにもこれを搭載したタイプが造られた。

グリフォン搭載型(1段過給器付)

 グリフォン搭載機の内、初期のMk.4およびMk.12には低高度用の1段過給器付エンジンが搭載された。
 機首が延長され、シリンダヘッドをクリアするためのバルジがある以外、外観は60系マーリン搭載型の大型方向舵付の機体とほぼ同じだが、過給器が1段のためか、ラジエター配置は初期型に似た非対称形状である。プロペラは定速式4翅
 Mk.4は後にMk.20と改称された。

型番号 エンジン
(R.R.グリフォン)
主翼 武装 尾輪 生産数 備考
Mk.4(Mk.20) 2B 切断 引込み 1?
Mk.12 3 切断 B/C/E 固定/引込み 100? Mk.4より機首が大きい

グリフォン搭載型(2段過給器付)

 2段過給器グリフォンエンジン装備のMk.14は、大戦に参加した最後の量産型となった。漠然と「グリフォン・スピット」と言った場合、このMk.14を指している事が多い。
 機首は1段過給器付のものよりも延長され、スピナともども大型化した。プロペラは定速式5翅となり、この系列の大きな特徴となっている。
 垂直尾翼も安定板・方向舵とも大型化した新設計の物となり、胴体については機首から尾部に至るまで、ほとんど新設計されたとも言える。両翼のラジエターも、マーリン搭載機より大型のものとなっている。
 尚、この系列およびこれ以降は引込み式尾輪が標準である。
 Mk.14の後期生産型はバブルキャノピー付で造られており、Mk.18ではこれが標準だった。

 強力なエンジントルクのため、操縦に難があったとも言われているMk.14だが、その速度はおそるべきものであった。防御兵器的な性格が災いし、大戦後半の大攻勢には見るべきものはなかったが、V-1の邀撃に威力を示し、Me262さえ撃墜したという戦果が本機の性能を物語っている。
 Mk.14は東南アジアにも配属されたが、これは太平洋戦争終結後の事であり、日本機との交戦記録はない。

偵察型
 Mk.14とMk.18に、F.24型航空カメラ3台を装備したFR.タイプが造られた。
 PR.Mk.19はFR.Mk.18の主翼を燃料タンクを持つD翼仕様としたもので、専用の大型落下増漕を持つ。

型番号 エンジン
(R.R.グリフォン)
主翼 武装 生産数 備考
Mk.14 65/66 標準/切断 C/E 957 F./FR.
1944年1月 配備開始
Mk.18 65/66
300
F./FR.
Mk.14の航続距離向上型
主翼が補強されている
PR.Mk.19 65/66 (D) 225 一部に与圧キャビン装備


参考データ

スピットファイア FR.Mk.14E
乗員 1
全幅
全長 10.00m
全高
主翼面積
自重 2,953kg
総重量 3,900kg
エンジン ロールスロイス・グリフォン65/66
液冷V型12気筒
2,095hp
プロペラ ロートル定速式5翅
最大速度 720km/h(8,000m)
巡航速度
上昇力 1,400m/min
上昇限度 13,560m
航続距離 740km〜1,370km
武装 E翼

作成:どんべ