シーファイア
Seafire


 ハリケーンの艦上型「シーハリケーン」が成功したため、より高性能なスピットファイアも艦上機型が造られ、「シーファイア」と名付けられた。低速での安定性はシーハリケーンを上回っていたともいわれるが、視界の悪い液冷エンジンと外引込み脚による狭いトレッドはどう考えても艦上機には不向きであり、実際、事故が多かったという。
 飛行性能はともかく、「総合的にはマートレット(グラマンF4F)の方が優秀」という評価すら見られ、「主力戦闘機」と呼んで良いのかさえわからない。

マーリン搭載型

 全て最多生産型Mk5からの派生型で、アレスティング・フックとカタパルト用のスライディング・ポイントを装備し、胴体の一部が強化されている。プロペラは4翅。
Mk.1BおよびMk.2Cは翼折り畳み機構を持たないが、Mk.32箇所で折れ曲がる、変に凝った主翼を持つ。

 トーチ作戦・サルレノ上陸作戦・フィリピンから日本本土にかけての作戦に参加した。

偵察型
 Mk.2CおよびMk.3をベースに、FR.型が少数生産された。

型番号 エンジン
(R.R.マーリン)
主翼 武装 尾翼 尾輪 生産数 備考
Mk.1B 45 標準 B 標準 固定 164 Mk5B をベースとする。
1942年6月 完成
Mk.2C F.用:45/46
/50/55/56
LF.用:32
標準 C 標準 固定 372 F./FR.
MK.5Cをベースとする
Mk.3 F.用:55
L.用:55M/32
標準
(折り畳み)
C 標準 固定 1218 F./L./FR.
一部は切断翼を装着

グリフォン搭載型

 いずれも大戦に間に合わなかった機種である。
 Mk.17の後期から、「スティング・フック」と呼ばれた、方向舵下方に取り付けられたアレスティング・フックを装備している。
 Mk.46Mk.476翅二重反転プロペラを装備。Mk.45にも試験的に二重反転プロペラを付けたものもあった。
 Mk.47の翼折り畳み構造は、1箇所で曲がるオーソドックスなものである。

 最後の量産機がロールアウトしたのは1947年1月である。スピットファイアの開発開始から、12年を経ていた。

偵察型
 Mk.17にFR.型が少数造られた。
 Mk.47はそのほとんどがFR.型として完成した。

型番号 エンジン
(R.R.グリフォン)
主翼 武装 尾翼 生産数 備考
Mk.15 4 標準
(折り畳み)
E
390
Mk.12の艦載タイプ。
Mk.17 4 標準
(折り畳み)
E グリフォン用
232
F./FR.
Mk.15のバブルキャノピータイプ
脚強化
Mk.45 61 スーパー・スピット用 20mm機関砲x4 グリフォン用
50
Mk.21の艦載タイプ。
Mk.46 87 スーパー・スピット用 20mm機関砲x4 スパイトフル用
24
胴体強化
バブルキャノピー。
Mk.47 88 スーパー・スピット用
(折り畳み)
20mm機関砲x4 スパイトフル用 90 F./FR.
Mk.46 の主翼折り畳み型
*上表中の「尖」は、「とんがり尾翼」と呼ばれる大型方向舵を装着した尾翼を示す。

作成:どんべ