第二次世界大戦中の国産ジェットエンジンについて : ろく(00/10/21 21:41)
Re:第二次世界大戦中の国産ジェットエンジンについて : tackow(00/10/22 00:29)
Re[2]:第二次世界大戦中の国産ジェットエンジンについて : ろく(00/10/23 22:28)
Re:第二次世界大戦中の国産ジェットエンジンについて : BUN(00/10/24 01:06)
Re[2]:第二次世界大戦中の国産ジェットエンジンについて : ろく(00/10/24 23:23)
Re[2]:第二次世界大戦中の国産ジェットエンジンについて : ろく(00/10/24 23:24)
Re[3]:第二次世界大戦中の国産ジェットエンジンについて : tackow(00/10/25 01:12)
補足・・ : tackow(00/10/25 01:16)
Re:補足・・ : ろく(00/10/25 23:59)
Re[2]:補足・・ : tackow(00/10/26 13:18)
Re[3]:補足・・ : ろく(00/10/26 21:34)
Re[4]:補足・・ : tackow(00/10/27 00:33)
Re[5]:補足・・ : ろく(00/10/27 20:01)
Re[3]:第二次世界大戦中の国産ジェットエンジンについて : BUN(00/10/25 09:20)
Re[4]:第二次世界大戦中の国産ジェットエンジンについて : 燕耐壕(00/10/27 19:34)


4226 Root [4227] [4229]
第二次世界大戦中の国産ジェットエンジンについて
ろく(00/10/21 21:41)

はじめまして。

今年3月の国際航空宇宙展(TA2000)でネ20を見て以来、こつこつと大戦中の国産ジェットエンジンを調べて来たのですが、どうしても正体のわからないエンジンがあるので、ご存知の方は教えてください。

Q1:MTTR
 このMTTRはどんな構造・諸元のエンジンだったのでしょうか? 永野治氏によれば、計画されただけで、実際には開発されなかったそうです。

Q2:ネ30シリーズ
 ネ30シリーズ(ネ30、ネ130、ネ230、ネ330)は3000馬力相当の出力をもつターボジェットという同一仕様で海軍空技廠が発注したと記録にあります。ネ330だけは約1200kgfで他のエンジンの約900kgfよりもかなり大きい出力となっていますが、何故なんでしょう?

Q3:ネ130
 海軍空技廠のOB達は海軍が石川島芝浦タービンに発注し開発させた(と解釈できる)記録を残していますが、中村良夫氏(陸軍二航研OB)はネ130は陸軍陸軍二航研が開発して石川島芝浦タービンに製造させたエンジンだと本に書いていますがどちらが本当なのでしょうか?


Q4:GTPR
 種子島時休氏の記録によれば、5000馬力のものと3000馬力のものを開発していたようです。永野治氏の記録によれば4000馬力のものを開発していたそうです(これは永野氏の記憶違いだと思う・・・)。

ここから下が質問の本題です。
ネ0〜4の設計者の林貞助氏の記録によれば、陸軍がネ201という5000馬力のGTPRを開発していたそうですが、ネ20のコンプレッサ設計者の沼知福三郎氏の記録によれば、海軍空技廠が開発していた5000馬力のGTPRの正式名称はGTPR201で後にネ201と改称されたことになっています。
林貞助氏と沼知福三郎氏のどちらの言っている事が正しいのでしょうか?



なにとぞ、ご存知の方は教えてくださいm(__)m


4227 [4226] [4228]
Re:第二次世界大戦中の国産ジェットエンジンについて
tackow(00/10/22 00:29)

 眠いんで、一応判る範囲で・・・

 ネ130、ネ230、ネ330はそれぞれ違うメーカーで開発していたので、目標数値は同じでも要目が異なるのだと思います。各エンジン間の技術交流は殆ど無かった筈です。あと、こいつらは共同試作で建前上は海軍の担当?ですが、実質的に技術面は陸軍主導ではありませんか?

 ネ201は昭和17年12(9月?)に陸軍から試作命令が出されたのでは?

 あとは詳しい方に譲ります。


4228 [4227] なし
Re[2]:第二次世界大戦中の国産ジェットエンジンについて
ろく(00/10/23 22:28)


>  あとは詳しい方に譲ります。

レスありがとうございます。
カキコしている人が他にいないところを見ると、やっぱり知っている人はいないんでしょうね。
もう少し、地道に調査してみます。


4229 [4226] [4233] [4234]
Re:第二次世界大戦中の国産ジェットエンジンについて
BUN(00/10/24 01:06)

 確か、空技廠開発のエンジンがTR10が後のネー10、陸軍系の石川島芝浦タービンがTR140で仕様を中島日立と同様に改めてネ130、中島日立がTR230/ネ230、三菱がTR330/ネ330。
 私もネー201、ターボプロップエンジンの詳細が知りたいのですが、基本的には陸海軍の統合以前に陸軍の燃焼ロケット「ネ」系の開発の流れと海軍のタービンロケット「TR」系の流れがあったようで、ネ201に関しては昭和17年頃から研究が具体化しており、東大航空研が基本設計を行い日立に試作を持ち掛けて断られ、石川島芝浦タービン鰍フ土光敏夫社長が最終的に試作を引き受けて、開発費用等は陸軍が負担したとのことです。開発経過から言えば典型的な陸軍系開発エンジンということになりますね。

(参考文献はガスタービン学会25年史等)


4233 [4229] なし
Re[2]:第二次世界大戦中の国産ジェットエンジンについて
ろく(00/10/24 23:23)

>陸軍系の石川島芝浦タービンがTR140で仕様を中島日立と同様に改めてネ130、



> 私もネー201、ターボプロップエンジンの詳細が知りたい


林貞助氏(ネ0〜ネ4の設計者及びネ101・ネ201の設計支援者)の記録によれば,陸軍のネ201はターボプロップで,同時期に海軍が同形式で3000馬力のGTPRを開発していたとあります。

しかし、種子島時休氏が戦後、スミソニアン博物館に提出した英文報告書によれば、海軍のGTPRは数種類あるのですが、いずれもターボコンパウンドエンジンです。報告書にはGTPRの断面図も掲載されています。

======================
ちょっと話がそれますが、解説しておきます。
ターボコンパウンドとは、タービンの軸出力を減速機を介して、レシプロエンジンの軸に結合し、その軸でプロペラを回す形態のエンジンです。
タービンには、ターボチャージャ・フリーピストンガスタービン・ターボジェット3種類を使うタイプがあります。海軍空技廠ではターボチャージャタイプのターボコンパウンドを戦前から昭和17年にかけて開発し、昭和17年後半から、ターボジェットタイプのターボコンパウンド(GTPR)を開発しています。フリーピストンガスタービンタイプのターボコンパウンドはフィジビリティスタディだけで終ったようです。

海軍のターボジェットタイプのGTPRはいずれもコンプレッサもタービンも軸流式を採用しています。
======================
話を戻します。
ネ140は海軍空技廠が石川島芝浦タービンに対し、5000馬力のGTPRを改造してターボジェットにせよと発注しております。(海軍空技廠の人々が書いた各種の文献にそうかかれていますし、民間人でジェットエンジン開発にかかわっていた、沼知氏も同意の報告書を残しています。)

−−−−−−−−−−−
林貞助氏の報告書と種子島時休氏の報告書でターボプロップ−ターボコンパウンド、3000馬力−5000馬力と矛盾があり、前から悩んでおりました。
でも種子島氏の方は、断面図を報告書で正式に公開しているので、林氏の記憶違いかなと思っておりました。

私の知っている範囲でネ201を解説すると
設計者:十森大尉
設計支援者:林貞助・永田大典(共に川崎航空機)
性能:高度7000m、機速900km/h以上のとき、軸馬力3000馬力以上でジェット推力馬力2000馬力以上(=等価総合軸馬力5000馬力以上)
開発経緯:昭和18


4234 [4229] [4235] [4237]
Re[2]:第二次世界大戦中の国産ジェットエンジンについて
ろく(00/10/24 23:24)

>陸軍系の石川島芝浦タービンがTR140で仕様を中島日立と同様に改めてネ130、



> 私もネー201、ターボプロップエンジンの詳細が知りたい


林貞助氏(ネ0〜ネ4の設計者及びネ101・ネ201の設計支援者)の記録によれば,陸軍のネ201はターボプロップで,同時期に海軍が同形式で3000馬力のGTPRを開発していたとあります。

しかし、種子島時休氏が戦後、スミソニアン博物館に提出した英文報告書によれば、海軍のGTPRは数種類あるのですが、いずれもターボコンパウンドエンジンです。報告書にはGTPRの断面図も掲載されています。

======================
ちょっと話がそれますが、解説しておきます。
ターボコンパウンドとは、タービンの軸出力を減速機を介して、レシプロエンジンの軸に結合し、その軸でプロペラを回す形態のエンジンです。
タービンには、ターボチャージャ・フリーピストンガスタービン・ターボジェット3種類を使うタイプがあります。海軍空技廠ではターボチャージャタイプのターボコンパウンドを戦前から昭和17年にかけて開発し、昭和17年後半から、ターボジェットタイプのターボコンパウンド(GTPR)を開発しています。フリーピストンガスタービンタイプのターボコンパウンドはフィジビリティスタディだけで終ったようです。

海軍のターボジェットタイプのGTPRはいずれもコンプレッサもタービンも軸流式を採用しています。
======================
話を戻します。
ネ140は海軍空技廠が石川島芝浦タービンに対し、5000馬力のGTPRを改造してターボジェットにせよと発注しております。(海軍空技廠の人々が書いた各種の文献にそうかかれていますし、民間人でジェットエンジン開発にかかわっていた、沼知氏も同意の報告書を残しています。)

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林貞助氏の報告書と種子島時休氏の報告書でターボプロップ−ターボコンパウンド、3000馬力−5000馬力と矛盾があり、前から悩んでおりました。
でも種子島氏の方は、断面図を報告書で正式に公開しているので、林氏の記憶違いかなと思っておりました。

私の知っている範囲でネ201を解説すると
設計者:十森大尉
設計支援者:林貞助・永田大典(共に川崎航空機)
性能:高度7000m、機速900km/h以上のとき、軸馬力3000馬力以上でジェット推力馬力2000馬力以上(=等価総合軸馬力5000馬力以上)
開発経緯:昭和18年12月、運転試験中に圧縮機破壊。昭和20年に運転再開したが、未完成のまま終戦です。
私も、ネ201の詳細な報告書を是非とも見てみたいと思います。


それからメザシの土光さんが社長をされていたのは、戦争末期(昭和20年頃以降)の事だと思います。昭和17年頃の肩書きは技師長で技術営業のような役割をされていたようです。


4235 [4234] [4236]
Re[3]:第二次世界大戦中の国産ジェットエンジンについて
tackow(00/10/25 01:12)

 ネ201の要目ならこんな感じですけど・・

圧縮機
軸流型        19段
軸流速度   78.4m/s
圧力比      4.21
流量      22.8s/s
回転数    4200rpm
外形 784.5〜980.0o
所要駆動馬力 4850HP

燃焼器
直流キャン型×4
燃料ポンプ      ギヤポンプ
タービン入り口温度   800度
燃料消費量    1280s/h

ガスタービン
軸流型5段
空気冷却併用
圧縮機と直結
タービン出力 6750hp
プロペラ出力 1870hp

 詳しいことはわかんないので技術的な突っ込みはご遠慮ください(^^;


4236 [4235] [4240]
補足・・
tackow(00/10/25 01:16)

 「東大航研秘密報告327号」に「ロケット推進と組み合わせた航空用燃焼ガスタービンの熱力的性能」とかいうネ201の論文があるみたいです。
 もしかして、もしかして、図書館にあるかもしれません。ないかな〜?


4240 [4236] [4243]
Re:補足・・
ろく(00/10/25 23:59)

>  「東大航研秘密報告327号」に「ロケット推進と組み合わせた航空用燃焼ガスタービンの熱力的性能」とかいうネ201の論文があるみたいです。
>  もしかして、もしかして、図書館にあるかもしれません。ないかな〜?
>

この論文が存在することは知っていましたが見たことはありません。著者は中西不二夫氏と栗野誠一氏です。是非とも見てみたい〜。
でも、この論文は昭和17年末に書かれたはずです。つまり、ネ201が始まって間もない時期ですので、理論計算か要素試験データが主体の論文だという気がします。

それにしても、第二次大戦中の報告書はなんでこうも簡単に見つからないのでしょう。
どこそこにあるという情報を聞きつけて実際に行ってみると、紛失しましたという回答ばかりが帰ってきます。ちょっと悲しい・・・・。

それにしてもtackowさんの情報は始めてみる数字ばかりです。う〜ん、何処で入手されたのですか?



4243 [4240] [4244]
Re[2]:補足・・
tackow(00/10/26 13:18)

> どこそこにあるという情報を聞きつけて実際に行ってみると、紛失しましたという回答ばかりが帰ってきます。ちょっと悲しい・・・・。
東大には相当な量の論文が眠ってると思うんですよ。
ただ、だれかさんの本棚の様に整理整頓が出来ていないようなんで発掘するのは大変でしょうね。

あと、国立図書館かな??結構な資料があると思います。

> それにしてもtackowさんの情報は始めてみる数字ばかりです。う〜ん、何処で入手されたのですか?
これは「日本航空学術史」という本に載ってるんですが、
メモ的な情報しかなく、ジェットエンジンも全部で数ページし
かない(はず)のでそれを目的に購入するのは勿体ないと思い
ますよ。

もし、宜しければ当該項目の複写を差し上げますが?


4244 [4243] [4245]
Re[3]:補足・・
ろく(00/10/26 21:34)

> ただ、だれかさんの本棚の様に整理整頓が出来ていないようなんで発掘するのは大変でしょうね。

ドキッ!  私の本棚のことを書かれたのかと思ってしまいましたよ。


> あと、国立図書館かな??結構な資料があると思います。
国立国会図書館には足繁く通っています。
ジェットエンジンが掲載されているはずの文献で図書カード上も館内にあるはずなのに、実際に紛失してしまっている文献がいくつかあります。


> これは「日本航空学術史」という本に載ってるんですが、

これって、日本航空学術史編集委員会が編纂した1990年出版の本ですよね?
実は先日も国会図書館に行ったのですが(しかもこの本を借りて見るつもりだったのに)、時間切れで借りられなかったんです。


> もし、宜しければ当該項目の複写を差し上げますが?
まだまだ、調べようと思っている文献が国会図書館にあるはずなので、まだ何回かは通うつもりなんですが、頂けたら本当に助かります。是非、お願い致します。
(あまり、ページ数が無いようでしたら、aerospace0@lycos.ne.jpまでEメールで頂けないでしょうか。)


4245 [4244] [4247]
Re[4]:補足・・
tackow(00/10/27 00:33)

了解しました。ろくさんの研究が進むことを期待しています。
 成果はいずれここに発表してくれるんですよね(^^;


4247 [4245] なし
Re[5]:補足・・
ろく(00/10/27 20:01)

> 了解しました。ろくさんの研究が進むことを期待しています。
>  成果はいずれここに発表してくれるんですよね(^^;


資料をどうもありがとうございます。
頂いた資料は早速見て見ます。
もう、既に胸はわくわくしています。

簡単に現状の調査結果を報告すると、第二次大戦中のジェットエンジン/ガスタービンエンジンは、30機種を越えています。(tackowさんからの資料はまだ読んでないのでこの中には含めていません。)
この機種の多さには私も驚いています。

@日本で最初のエンジンは昭和15年に運転に成功したフリーピストンガスタービンです。

A今のところ、写真を入手できたのは次の10種です。
ラムジェット   :ネ0
ターボジェット  :ネ3、ネ4、TR10(ネ10)、ネ20A、ネ30、ネ130(コンプレッサ・ローターの写真)
カンピーニエンジン:ツ11、栄IPR
ターボコンパウンド:GTPR(モックアップ写真で馬力不明)

ネ130とGTPR以外は倉庫内保管状態の写真か運転風景の写真です。


断面図や外形図を入手できたのは多数あります。


忙しすぎて、調査結果の整理にはどうしても年内いっぱいはかかってしまいそうです。
調査を終えたら私のホームページに掲載しようと思っています。
そうしたら、掲載したら真っ先にtackowさんにお知らせしますので、待っててくださいね。

(^.^)/~~~


4237 [4234] [4246]
Re[3]:第二次世界大戦中の国産ジェットエンジンについて
BUN(00/10/25 09:20)

 そうか、土光さんは当時社長じゃないのか・・・。
しかし当事者が回想しているので土光さんがこの件に大きく関わったことは事実なようなので、どんな立場だったのか興味深い所ですね。


4246 [4237] なし
Re[4]:第二次世界大戦中の国産ジェットエンジンについて
燕耐壕(00/10/27 19:34)

不確かな記憶で申し訳ありませんが、前間孝則さん(石川島出身の作家でご自身がエンジンの設計者です。)の本で「ジェットエンジンにとりつかれた男たち」?
で可成り詳しく書かれています。
文庫もありますよ。


FlasH BBS Pro v1.41 [Shigeto Nakazawa]