西方戦役ver.シュリーフェンプラン : 勝井(01/5/13 00:29)
Re:西方戦役ver.シュリーフェンプラン : バトゥ(01/5/13 08:05)
Re:西方戦役ver.シュリーフェンプラン : Edwerd(01/5/14 14:45)
Re[2]:西方戦役ver.シュリーフェンプラン : バトゥ(01/5/15 05:28)
Re[3]:西方戦役ver.シュリーフェンプラン : Edwerd(01/5/15 20:44)
Re[4]:西方戦役ver.シュリーフェンプラン : バトゥ(01/5/16 07:01)


5571 Root [5572] [5579]
西方戦役ver.シュリーフェンプラン
勝井(01/5/13 00:29)

過去にやってるかも知れませんが、

西部戦役がシュリーフェン計画に従い、
独vs英仏連合の主力が真正面からぶつかっていたら、
どういう展開になったでしょう?

架空戦記ものでも時々ネタにされ、
総合力で独やや有利という展開になることが多いようですが、
それで本当に妥当なものなのか検証してみませんか?


5572 [5571] なし
Re:西方戦役ver.シュリーフェンプラン
バトゥ(01/5/13 08:05)


> 西部戦役がシュリーフェン計画に従い、
> 独vs英仏連合の主力が真正面からぶつかっていたら、
> どういう展開になったでしょう?
>
 1939年のドイツ軍の作戦計画はシュリーフェンプランと言っても、1914年のものより大胆さに欠け、オランダ、ベルギーに対英作戦用の空、海軍基地を設けようとする程度のものです。 しかし、1914年の時と違い最初から英仏連合軍とがっぷリ四つに組むわけですから、よくて連合軍をソンム河まで押し戻すか、下手をすればベルギー内で膠着化するという、ありきたりの結論になってしまうのではないでしょうか。


5579 [5571] [5581]
Re:西方戦役ver.シュリーフェンプラン
Edwerd(01/5/14 14:45)

久しぶりに覗いてみたらヨーロッパ戦線の設問があったのでおジャマします。
失礼ですが、ぱっと見たところ第一次の事をおっしゃているのか、それとも二次大戦の事を言ってるのか区別が付きかねるのですが…。
 第二次大戦では、当初こそシュリーフェン・プランを水増ししたような消極的な計画案が立てられましたが、納得のいかないヒトラーによって退けられました。結果として彼が採用したドイツ最高の知将であるマンシュタインの計画案によるセダンの突破、そしてドイツ装甲部隊の海峡地帯への目の覚める様な突進で、戦史上唯一とも言える電撃戦の成功(短期間で敵国を落とすという意味で)の成功によってフランスに大勝利しました。この時はそれまでの伝統的な侵入路であった北ヨーロッパ平原ではなく、大規模な軍隊の移動が困難と考えられていたアルデンヌの森林地帯に主力の装甲部隊を投入するという意表を突いた「マンシュタイン・プラン」を採った事でドイツ軍の攻勢は成功している訳ですから、勝井さんの言っているのは第一次大戦の西方戦役の事だと推察します。
 第一次大戦で取られた「シュリーフェン・プラン」もまた、開戦の前年に没したシュリーフェン自身が作った計画案に忠実なものではなかった事はご承知と思いますが、勝井さんのおっしゃりたい事は、シュリーフェンが臨終の床であれほど「右翼を徹底的に強力ならしめておけ!!」と遺言していたのにも関わらず、時の参謀総長の小モルトケが突撃軍(右翼)と左翼軍(持久正面)の兵力比率を7対1から3対1に変更してしまい、攻撃の徹底性が失われてしまった「あの失策」がなかったなら…という意味だと解釈するのですが…。
 その事をおっしゃってるなら、もしオリジナルのシュリーフェン・プラン通りに、他の方面を一時的に犠牲にしてでも右翼軍に徹底した集中(全兵力の8分の7を充てる)を行って攻撃していれば、カイザーの軍隊は計画通りにパリの背後を廻って長躯スイス国境近くまでに至る大包囲網を完成させて英仏連合軍を殲滅していた可能性は高いと思う。なぜなら小モルトケが大胆な賭けに出る事を恐れ、また他方面の要請に無分別に応えるまま兵力を分散し、戦力の集中を欠いて元の計画案を台無しにしてしまったあのシュリーフェンもどきの計画でさえ、ドイツ軍はパリまで50キロという地点まで到達して連合軍をあわやという所まで追い込んだのですから。
 第二次大戦の西部攻勢でシュリーフェン・プランを採っていたらと言う過程は、当時連合軍が採ったディール計画の存在を鑑みるに考えるまでも無いと思うのですが…。


5581 [5579] [5582]
Re[2]:西方戦役ver.シュリーフェンプラン
バトゥ(01/5/15 05:28)

カイザーの軍隊は計画通りにパリの背後を廻って長躯スイス国境近くまでに至る大包囲網を完成させて英仏連合軍を殲滅していた可能性は高いと思う。ドイツ軍はパリまで50キロという地点まで到達して連合軍をあわやという所まで追い込んだのですから。

でも、それだと例のベルギーの鉄道破壊により不足だった兵站がさらに絶望的にならないでしょうか。
そもそも外交での失敗を、軍事で補おうとしたところにシュリーフェンプランの根本的な無理があるわけで…。議論というより、確認のような気がしてきましたが。


5582 [5581] [5583]
Re[3]:西方戦役ver.シュリーフェンプラン
Edwerd(01/5/15 20:44)

 確かに兵站補給の維持は如何なる作戦にもネックとなり得る要素である事は間違いないでしょう。しかし時間をかけすぎて失敗した史実の作戦でもドイツ軍は5週間余りでパリから指呼の間である距離まで到達しており、問題はやはり「時間」という、敵を各個撃破して二正面作戦を避ける必要のあるドイツにとって天敵とも言える要素にあったと思う。
 当初から右翼方面に全兵力の8分7を充てれば確かにそれだけ後方の兵站業務に与える負担は増すでしょうが、作戦範囲が欧州中部という比較的狭い戦域である事や、ドイツがこの作戦を3週間という短時間で成し遂げる事を指向していた事を考えれば、兵站補給の状況が致命的となる以前に勝機を得られたのではないかと思う(と言うより長期戦に伴うそれらの問題を回避するためのプランであったはず)。シュリーフェンの計画通りに徹底して右翼軍に戦力を集中した攻撃を行っていればその強大な右翼軍は開戦劈頭で連合軍の左翼を突破していたに違いなく、そうなればパリ全面に到達するのが史実より短時間で成される分、兵站にかかる負担も相殺されるのでは?
 しかし正直言ってバトゥさんのおっしゃる「ベルギーの鉄道破壊」に関しては詳しく知りません。当時のドイツは鉄道整備に関してはかなり力を入れていたと思いますが、鉄道工兵による鉄道線復旧がままならない程大規模なものだったのでしょうか、よければ御教授のほどを。
 また、「外交での失敗を、軍事で補おうとしたところにシュリーフェンプランの根本的な無理があった」と言う点に関しては少し見解を異にします。当時のドイツはヒンデンブルグやルーデンドルフの様な有能な軍人が多数輩出してはいても、名参謀総長・大モルトケと共にコンビを組んでドイツ統一・帝国の創設を成し遂げた鉄血宰相・ビスマルクの様な有能な政治家には恵まれなかったのは確かです。それゆえプロイセン=ドイツの時代においてドイツが常勝でいられた時の様に外交が軍事を支援する事を期待できなかった以上、常にドイツに付きまとう二正面作戦の脅威に対処するために、シュリーフェンが「完全な包囲殲滅戦による完全各個撃破」と言う点に全ての努力を傾注した戦略に立ったのは基本的に正しかったと思う(と言うより外交によって戦場を一正面に限定できない以上それが唯一・最良の選択であったのでは)。
 しかしこの戦略が腹案のない柔軟性に欠けたものである事は否めず、亡きシュリーフェンの計画通りの作戦を展開して彼の思惑通りに事が運ぶとしたら、やはりそれは短時間での突破が成功するか否かという時間的要素が決定的な岐路となったのではないかと思う。


5583 [5582] なし
Re[4]:西方戦役ver.シュリーフェンプラン
バトゥ(01/5/16 07:01)

>  当初から右翼方面に全兵力の8分7を充てれば

 シュリーフェン自身のプラン(以下A)ではオランダの中立侵犯も計画していますが、小モルトケの修正プラン(以下B)ではこれを取り止め、兵力の節約をはかっています。右翼軍の兵力削減は見かけほどではなかったのでは。
 またAでの旋回運動の外周は、Bよりも大規模なものです。マルヌの戦いの時でさえ、ドイツ軍は相当疲労していたと言いますから、さらに長駆を、同じ期間で、戦いながら前進するAは道はるかにして挫折してしまうのでは。


>  しかし正直言ってバトゥさんのおっしゃる「ベルギーの鉄道破壊」に関しては詳しく知りません。当時のドイツは鉄道整備に関してはかなり力を入れていたと思いますが、鉄道工兵による鉄道線復旧がままならない程大規模なものだったのでしょうか、よければ御教授のほどを。

 M・v・クレヴェルト『補給戦』4章(今回の元ネタ)123−124pによれば、ベルギー領内で爆破、破壊された44ヶ所の主要土木建造物のうち、マルヌの戦いまでに修復されたのはわずか3ヶ所。2500マイルの鉄道網のうち、元通り運転されたのは300から400マイル。その他にも信号・転轍機の撤去、民間人・敵軍からの防衛、レールの強度不足などの問題を抱えていたようです。このような状況にもかかわらず、主攻撃軍の独第1軍を始めとして補給には役に立ったとのこと。人間の食料には現地挑発も活用したそうです。

ところで勝井さんの意見は如何に。


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