こういう画もあります

なんだかよくわからない絵本で誤魔化す18万5千おまけ


 少し前に、こんな絵本を買ったのである。


王様ブック「ナカヨシ兵隊」

 裏表紙に「画作兼発行者 金井直三 東京市神田区東福田町壱番地」とあるから、金井さんが描いて売ってる事になる。値段はどこにも書いてないが、「登録商標 金井発行」ともある。発行は昭和11(1936)年である。
 


裏表紙

 原色の使い方が、戦後の小松崎茂を思わせる。駆逐艦が魚雷を撃ちだしたところのようだ。
 この絵本の中に、こんな画があったので、今回のネタとして抜擢した次第である。

 ガスマスクを付けた騎兵の突撃場面である。「トッカン シテ イマス」(吶喊しています)と云う言葉遣いが大変よろしい。馬の足が布で覆われているところに注目されたい。
 この「ナカヨシ兵隊」、陸軍と海軍の兵隊(と兵器)が活躍している場面と、射撃訓練、銃剣術などの画が漠然と並べられ、最後は陸海軍の軍服の種類を描いたもので終わる、と云うどこが「ナカヨシ」なのかさっぱり解らない絵本である。
 よくわからないと云えば「王様ブック」と云うシリース名も不思議である。


 一部で有名な画像で、「NBC防護マスクを付けて突撃する騎兵」と云うものがあるのだが、それにひっかけてみました、と云うわけなのである。騎兵突撃の場面を、歴史的事項として笑わずに済むのは、いつのものまで有功なのか、そんな事を思ったのである。昭和11年の絵本では笑わない。老河口を帝国陸軍騎兵が攻めたのは昭和20年なのだが、「凄いな」と思っても笑わない。しかし、なぜか昭和14(1939)年のポーランド騎兵隊を笑いものにしてしまう…。よくよく考えると不思議な事である。
 ガスマスクを装着した騎兵の画を紹介するだけなら、わざわざ絵本の表紙と裏表紙を掲載する必然性は無いのであるが、それだけだと淋しいと思ったのである(笑)。