近々発売

主筆多忙につき代役おまけであります


 26万おまけを投入せねばならぬと思いつつ、気が付けば26万5千おまけも掲載しなければならない状況なのである。しかし、諸般の事情により今しばらく開店休業状態が継続しそうな見込みであるので、代役おまけを立てる次第である。


代役は「ウテナ化粧水」

 その一滴に
 美しい魅力を宿して
 やがて、あなたを
 訪れて行くウテナ化粧水

 「主婦之友」昭和6年4月号特別附録「家庭園芸 草花と野菜の作り方」(『色も形も実物通りに発表』とある)の裏表紙より。
 これを代役に据えたココロは、


この言葉が使いたかったからであります

 ウテナ本舗こと久保政吉商店、現在の株式会社ウテナのウェヴサイトに掲載されている沿革によれば、「ウテナ化粧水」の発売は昭和10年となっている。この広告の「近々」と云うのも、エラく先の話なのである。三年、四年に比べれば、一月二月なんぞ、アッという間であります(自分の首を締めているような気もするが、先の事は考えまい)。

 これで終わりにすると、さすがに読者諸氏にあきれられてしまうので(ただでさえ近頃カウンターの伸びが控えめなのだ)、もう一丁。


モデルは水谷八重子嬢です

 同じ附録の広告から。原文の旧カナを新カナにするとともに、ルビについては、一部をカッコ書きに改めてある。

今年の紅蘭織単帯は
 杉浦非水先生の図案で断然単帯の流行に新生命を加えました。

○「まァ素敵…非水先生の図案…モダンね、すっかり気に入りました。織方も変っていますのね。」
△「織は足利の模範工場として有名な、西喜(にしき)さんが自慢の組織です。撚の強い三十本の通風糸で、ゴブラン調に織上げました。この帯を織るための機(はた)まで、そっくり新しく据えたそうです。」
○「そうでしょうね。これまでの博多風のものとはまるで違います。博多の平帯は、ごわごわして締めにくいものです。…お値段は…」
△「まだはっきりと決まっておりませんが拾円以下で売れるよう、一生懸命で、採算しております。」
 「杉浦非水先生」は、当時有名なデザイナーで、三越や、地下鉄開通ポスターの作者として、現在でも有名な方であります。このココロは…

 一生懸命で、採算しております。

 お粗末様でした…。