男だったら筒を持て

7万おまけ、あるいは、困った時の<外電ネタ>


 まずは下の写真を見て欲しい。

 これは中国の軍事雑誌「現代兵器」2001年12月号に掲載された<89式50粍米榴弾弾射器>と云う、人民解放軍の新鋭兵器の一つである。
 解説には、<是ハ一種ノ歩兵用軽便兵器ニシテ、歩兵ニ対スル火力支援用トシテ、敵火点ノ制圧、敵観測所ノ撲滅ニ用セラルルト共ニ、野戦工事ニ用イル。有効射程200〜800米>と云うような事が(云うまでもないが中国語で)書かれている。


 今度はこの写真である。

 これは「画報 躍進之日本」昭和12(1937)年11月号に掲載された、上海戦線での写真である。画面中央の兵士のポーズと構えている兵器にご注目である。
 そう、日本軍兵器ファンであれば、知らない人はいない<擲弾筒>である。中国人民解放軍の新型歩兵火器はなんと<擲弾筒>だったのだ!


 擲弾筒の詳細を知るのであれば、市販の書籍を購読するなり、<藤田兵器研究所>所長に教えを請うていただいた方がためになるのであるが、軍用機をすべて<戦闘機>と云ってしまうような、普通の人向けに説明するなら、<小型爆弾を手で投げる以上の距離に飛ばすための筒>あるいは<一人で持ち運びが出来る超小型大砲>と云う事になる。

 歩兵一人で持ち運びが出来る、このタイプの兵器は、歩兵銃の先端にそれ用の器具を付けて使用するものと、<擲弾筒>のような専用の投射具の二つに大別されるが、現在では専用投射具が主流になっているように見える。俗に云う<グレネードランチャー>と云うやつである(まんまだね…笑)。ただし、形態は鉄砲と同じカタチをしている…。
 

 ベトナム戦争で活躍したM79グレネードランチャーである。学生運動鎮圧に使われたガス銃も、いわばこれの親類縁者である。用途は<擲弾筒>と同じであるが、投射用ガス圧の加減で飛距離を調節する<擲弾筒>と異なり、銃(砲)身の傾き加減で飛距離を調整するやり方となっている。
 いずれにせよ、目標との距離を把握しない事には話にならない(笑)。

 <遠くに投げたい>、が解消されれば、次ぎは<連射したい>と、人の欲求にはキリが無い(笑)。これは同じ雑誌に掲載されている、人民解放軍の87式35粍自動榴弾発射器(軽型)。こう云う結構な自動火器を装備していながら(笑)、何故今頃になって<擲弾筒>なのか。軽量・小型兵器を模索している可能性はあったとしても、理解に苦しむのである…。


 最初に紹介した最新式<擲弾筒>は、<89式50粍米榴弾弾射器>である。そして、帝国陸軍の<擲弾筒>は二種類あるのだが、有名なのは<八九式重擲弾筒>である…。

 そう、人民解放軍は形状だけでなく、89式−八九式>と、マニアックなウケを狙ったのである! 怖ろしい事に、旧軍のそれも口径は50粍だったりするのである…。

美人局(つつもたせ)なんて言葉がありますねえ