

この流星は空技廠飛行実験部所属の機体である。だがカウリング形状が異なるのであ る。塗装から判断すると愛知製と思われるのだが。そして腹に抱いた兵器は?胴体下 には桜花に似た魚雷のようなものが装着されているが・・・・・ この機体は愛知で「火星を搭載した流星」という事で火流と呼ばれていたらしい。で はなぜ火星を搭載しているのか。そもそも流星は「艦攻と艦爆の両機種統合案による もの」でその要求性能は過酷なものであった。それを達成する為に新機軸が盛り込ま れたが、設計の不手際もあり開発が遅れていた。特に心臓部ともいえる「誉」エンジ ンの不調が影響して紫電の開発時と同様に、試験飛行もままならない状況であった。 紫電の場合は強風を最小限の改造で即戦力化を目指して進められたが、元が水上機の 為に無駄が多く誉エンジンの不調でその他のテストがたびたび中断してしまった。そ こで川西設計陣はエンジン不調が解決する前に、紫電の欠点を改善した紫電改を誕生 させたのであった。そこで流星はエンジン以外の部分を熟成させる為に、天山12型 の火星エンジンに換装したのだった。作業は天山のパーツを極力流用し期間短縮を計っ ている。エンジンを誉から火星に変更する事で直径は大きくなったが、重量は軽くな り機首を延長している。直径が大きくなり機体とのギャップが生じたが、単排気管を 左右7本並べて配置しその排気で渦流を吹き払う事で解決していた(五式戦ほどでな いが)。火星エンジンとなる事で気化器空気取入口が張り出て本家流星に比べ前方視 界は悪くなっている(といっても天山並だが)。主翼の機銃はなぜか外されている。 稼働率は流星より火流の方が優れていたといわれている。 この火流がなければ流星は存在しなかったのである。その後この火流は再塗装され流 星の操縦訓練及び新兵器等の実験用として愛知から空技廠飛行実験部へ嫁いでいった。 そしてこの腹に抱いた謎の兵器は対艦用滑空式ロケット爆弾なのである。これは対空 射撃訓練用標的のMXY3・滑空標的機(昭和13年に実験中止)での実験データを 元に、魚雷をベースに4式1号20型ロケットを搭載したもので、対空中飛行機攻撃 用爆弾・3号1番28号爆弾の艦艇用といえる(弾頭を3号爆弾とすることで上陸舟 艇にも効果を挙げるのではと期待もされた)ものであった。そしてさらに発展させ無 線操縦の動力付標的飛行機(連合艦隊高射砲射撃訓練用)MXY4・1式標的機(制 式採用昭和17年5月)の操縦装置を組込んで空対艦ミサイルともいえる誘導爆弾に する計画であったという(これが失敗に終りMXY8・桜花になったとの説もあるが定 かではない)。 |