水メタノール噴射装置付の零戦は53型の他にもう1機存在していた。これは52型で低
下した空戦性能を取り戻す為に12型をベースに試作されたらしい。改造点は次の通り
である。
◎エンジン
栄31型とするはずだったがトラブルにより陸軍から隼3型のハ115(1150馬力)が提供
された。
その為に排気管のレイアウトは52型と異なる。排気効果は中島方式の方が上だった
らしい。
◎武装
水メタノール噴射装置と胴体燃料タンク容量を確保する為に胴体機銃を廃止し主翼
の20mm2号4型(125発X2)のみとなった。53型ではメタノールタンクの為にエンジン
後部の燃料タンクは無くなり コックピット後部に増設したが13型では機首の武装を
無くすことでエンジン後部の燃料タンクは12
型に近い容量だったらしい。
◎カウリング・スピナー
胴体機銃が無くなった事で百式司偵2型と同様の空気抵抗減少の為の工夫が施され
た。(写真からカ ウリング形状が奥行きを深くとり前面開口部とカウリング直径と
の大きな差が良く分かる。円錐形に 近い型の大きなスピナーも空気抵抗を減らす工
夫の1つである。)
◎プロペラ
エンジンパワーを有効に使うために直径は3.05mだが雷電並の幅の広いタイプとし
た。
◎風防
空気抵抗を減らす為に烈風の物を流用した。
◎主翼
翼面積は12型と同じだが52型甲と同じく主翼外板を厚くして降下制限速度
が740.8km/hとなった。
以上の改造により22型に近い空戦性能と54型並の速度を両立したといわれている。こ
れにはもう1つの秘密があった。隼3型のエンジンを受け取った際に陸軍関係者から
「台湾で作戦中に撃墜した米軍機P-47のプラグに交換した隼3型は格段に性能が向上
した」という事(エアワールドJ&P No.3 P.90参照)を聞きそれを実行したらしい。
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