アメリカ海軍 航空巡洋艦「コーパス・クリスティ」級


「コーパス・クリスティ」


諸元(新造時)

基準排水量 : 10,000t
全長    : 190.2m
全幅    : 32.9m(最大)
        18.9m(船幅)
吃水    : 6.9m
主機    : 蒸気タービン8基・4軸
機関出力  : 100,000馬力
速力    : 32.5kt
兵装    : 47口径15.2cm3連装砲×3
        25口径12.7cm単装高角砲×4
搭載機   : 24機
飛行甲板  : 長さ122.1mm×幅25.4m
乗員    : 950名
同型艦   : 6隻
        

 ロンドン軍縮条約が紆余曲折の末、排水量10,000t以下の航空母艦の保有量
に制限が課せられなかった経緯を受けて、アメリカ海軍では小型航空母艦の枠
内での巡洋艦の代用が可能な艦の建造を決定した。
 ここで問題になったのは、この艦の仕様である。航空母艦の枠で建造する以
上、航空機を搭載しないわけにはいかない。しかも、水上機の搭載などではな
く、離着艦可能な飛行甲板を装備している必要がある。
 こうした経緯から設計されたのが、航空巡洋艦「コーパス・クリスティ」級
であった。
 「コーパス・クリスティ」は本来、同級の3番艦として起工されたのだが、
工事の進捗の関係から、1番艦「アンカレジ」、2番艦「バトン・ルージュ」
より先に竣工したため、同級のネームシップとなる栄誉を得た。

 航空巡洋艦「コーパス・クリスティ」級(以下、「C・C」級と省略)は、
軽巡「ブルックリン」級と共通の船体を基に建造された。
 本来はもう少し船幅/吃水比の大きい、幅広な艦型となるはずであったのだ
が、議会での予算審議において「新規建造の軽巡と共通の船体構造とすること
で、建造費の削減が図れる」との意見によって「ブルックリン」級との船体共
通化が決定されたためである。
 このため、「C・C」級は重心が高く、復元性の悪い船となってしまった。
ロンドン条約切れの後に改装によってバルジを装着し、復元性の改善が図られ
ている。
 船体のみならず、主砲の15.2cm砲塔も、その配置も含めて「ブルックリン」
級と同様の設計となっている。これによって、議会の決定に対するあてつけか
と思えるほどの、単艦あたりの建造費削減が行なわれている。当初の計画に比
して、約15%の建造費の削減に成功したとの記録が残されている。
 同級は1933年度計画、1934年度計画でそれぞれ3隻づつ、計6隻が建造されて
いる。

 「C・C」級はその飛行甲板の狭さから、運用できる機種が限られていた。
建造当初は、比較的軽量である、戦闘機、もしくは偵察機が運用できる程度で
あった。ただし第2次大戦直前の1938〜39年にかけての改装の際に、同級の全
艦にカタパルトが装備されている。これによって、後の護衛空母程度の航空機
運用能力が与えられた。

 第2次大戦初期〜中期にかけて、「C・C」級には大西洋、インド洋におけ
るドイツ仮装巡洋艦の邀撃任務が与えられた。正規軍艦に対するにはいささか
中途半端な性能の航空巡洋艦であったが、航空機を用いた索敵能力の高さと、
仮装巡洋艦に比べれば圧倒的なその砲力、速力はこうした邀撃任務には向いて
いたようで、「C・C」級は計11隻、約100,000tの仮装巡洋艦を捕捉、撃沈し
ている。
 第2次大戦後期〜末期には、「C・C」級は主に揚陸支援に投入された。航
空支援、艦砲射撃の双方の指揮権が統一されている「C・C」級は、揚陸部隊
からの支援要請に対して小回りの利く対応が可能であった。このため海兵隊か
らは高い評価を受けたと言われている。
 このことは第2次大戦後、日本海軍から接収された航空戦艦「信濃」が、米
海軍によって揚陸支援艦「プエルト・リコ」として運用されていることからも
容易に想像できる。

 「C・C」級の戦没艦は1隻。
 魚雷艇母艦に改装された4番艦「ダッジ・シティ」が1943年、ソロモン方面
で、日本海軍の航空巡洋艦「三隈」の雷撃で撃沈されている。