「九頭竜」級防空巡洋艦
    Imperial Japanese Navy
       KUZURYUU class Anti Aircraft Cruisers
「九頭竜」級防空巡洋艦

「九頭竜」級防空巡洋艦・改装後


 要目  
 ・基準排水量 7.950t ・満載排水量 10.000t
 ・全長 182m ・全幅 16.4m ・喫水 5.8m
 ・機関出力 110.000hp ・速力 35kt
 ・航続 7.000海里(17kt)
 ・武装 65口径12.7cm連装両用砲12基
     (三番艦以降は10基)
     25mm3連装機銃4基
 ・同型艦 「鈴谷(SUZUYA)」「熊野(KUMANO)」
      「利根(TONE)」「三隈(MIKUMA)」
      「宇治(UJI)」

 概要
 「九頭竜」級防空巡洋艦、本級は増大する航空機の脅威から艦隊
を守る、艦隊防空の要として建造が開始された日本海軍における大
型防空巡洋艦のはしりである。
 
 当初、軽巡化改装された「妙高」「高雄」級の配備により、余剰
とされた「球磨」「長良」級を防空巡洋艦へと再改装し、配属する
予定であった。しかし、これらのクラスは艦齢が20年近くになっ
ており老朽化という問題があったため、再改装しても運用できる期
間が短いことからこの予定はキャンセルされ、新型防空巡洋艦の建
造を行うことになったのである。

 本級は、新開発の65口径12.7センチ連装高角砲を12基24門搭
載するという極めて重武装の艦艇として竣工した。また本級は、予
算が許す限り設計を詰めていくという旧来の日本艦艇建造スタイル
を採用した最後のクラスであるため、「阿賀野」級とは逆に、旧式
の船体に最新の兵装を備えた変わったスタイルの艦艇となったので
ある。
 後に艦首形状などを直線化するなどある程度の簡略化を施した設
計を行うなど、これからの日本艦艇のデザインを特徴付ける設計を
行っていたことが、この混乱を助長することになったのはある意味
喜劇である。

 こうして建造が開始された本級であったが、この旧来のスタイル
で建造されたために建造に時間がかかり、本級用に製造された砲塔
だけが先に完成し、時間がかかるのであればと、その砲塔を防空能
力の拡充のために他の艦艇の改修時に流用されたためにさらにその
戦力化が遅れるという悪循環を引き起こしたのである。

 また砲塔を詰め込めるだけ詰め込んだというムリにムリを重ねた
設計であるために高射装置の数が限定され、期待された程の防空能
力を保有してはいなかったのである。
 そのため、三番艦以降は艦中央部に配備されていた両舷一基ずつ
の砲塔を配備する代わりに、高射装置を設置するという改設計を行
うことで、防空能力に不満は無くなったものの、それでも両舷に二
基づつ逆舷目標を射撃できない砲が存在することは本級最大の弱点
であった。

 そのため、当初10隻以上の建造が予定されていた本級の建造は
6隻でうち切られ、「吉野」級軽巡洋艦の船体を流用した「大淀」
級防空巡洋艦や、同一の高角砲を6基装備した「夕月」級駆逐艦の
大量建造など量産に適したクラスの建造へと振り向けられたのであ
る。

 本級は様々な問題のあるフネではあったが、対米戦においてその
防空力は有用であり、終始機動部隊に随伴していた。また、トラッ
ク沖夜戦においては、多数装備する12.7センチ砲によって、敵巡洋
艦、駆逐艦を問わず穴だらけにしてしている。
 日本側の評価は低い本級であったが、米海軍は本級を極めて高く
評価しており、対米戦終末に4隻が竣工し、大型防空軽巡洋艦「ウ
ースター」級は、本級を参考にした設計となっている。

 対米戦の終結後、残存する4艦は対空防御の方式が砲兵装からミ
サイルへと変化する時流に乗り切れず早期に退役・全艦とも解体さ
れている。

 あとがき
 岩本です。見たとおりに防空巡試案の拡大型です。
 やっぱり日本艦艇を描くのは難しいです。ハイ。