
諸元(1944年竣工時「クレマンソー」) 基準排水量 38500t 全長 247.9m 全幅 34.8m 喫水 9.6m 機関出力 150.000hp 速力 29.5kt 航続力 8800海里/12kt 乗員 1899名 武装 38cm砲(L47) 4連装 2基 15cm砲(L55) 連装 6基 10.5cm高角砲(L65) 連装 8基 37mm機関砲 連装 10基 水偵 6機 装甲 舷側330mm 甲板150mm 主砲360mm 同型艦 無し(ただし自由フランス海軍に「リシュリュー」「ジャン・バール」有り) 1936年のワシントン、ロンドン条約明け後新規に起工した戦艦として第1号となったフランス海 軍「リシュリュー」級であるが、その生涯はお世辞にも降伏といえるようなものではなかった。194 0年にドイツ侵攻によってフランスが降伏、フランス海軍は祖国を失ってしまったのである。当然「リ シュリュー」級も例外ではなく、降伏時点でほぼ完成状態にあった「リシュリュー」はダカールへ、未 完成ながら航行可能だった「ジャン・バール」はカサブランカへと待避することとなる。両艦とも一時 はイギリス海軍と交戦するが、その後アメリカで修理、改装を行って1943年には「リシュリュー」 が、翌年には「ジャン・バール」がシャルル・ド・ゴール率いる自由フランス政府に参加、自由フラン ス海軍の主力艦として終戦まで戦うこととなる。しかし、同級3番艦であり、フランス降伏時には航行 どころか進水すらしていなかった「クレマンソー」は破壊されることもなく、船台上でドイツ軍に接収 されることとなったのだ。 既に戦争中であったドイツには接収当時「クレマンソー」を竣工させるつもりも余裕もなく、ドック を明けるためだけに進水させるべく工事が進められていた。だが、バトル・オブ・ブリテンの敗北によ り対英侵攻作戦が頓挫したことで戦局は小康状態になり戦艦建造の余裕が出来たこと、アメリカ海軍が 巡洋戦艦「アンティータム」「キアサージ」を主力とする義勇艦隊を派遣、日本も英国側に立って参戦 する様子を見せたことで水上戦闘艦の増強が急務となったこと、何よりも「リシュリュー」が自由フラ ンス政府に合流する為にアメリカに回航、損傷の修復を始めたことが本艦の運命を変えることとなる。 ドイツはZ計画の再開によって本国艦隊の増強をはかると共に、南フランスに成立していたドイツの傀 儡政権であるヴィシー・フランスの正当性を主張する観点からも自由フランスの「リシュリュー」に対 抗すべく「クレマンソー」を戦艦として建造、ヴィシー・フランス政府に引き渡すことを決定。こうし て、「クレマンソー」は建造を再開されることとなる。 かくして戦艦として建造の再開が決定した「クレマンソー」であったが、決定時点では未だ船体の工 事中で艦上構造物の工事はまったく行われていなかった。また、フランス政府が降伏するに際して「リ シュリュー」級の設計図を「リシュリュー」に持ち込んで脱出したことで当初の計画のままでの建造が 困難な状態になってしまっていた。これに対してドイツは、船体構造及び主砲配置は計画のまま(ただ し、装甲を強化したことで排水量が増加、浮力を維持するためにバルジを装着した一方で機関出力が変 化しなかったため速力が若干低下している)とする一方で艦上構造物は「ビスマルク」級を元にして新 規に設計し直し、兵装は「ビスマルク」級に搭載された38センチ砲を新規に開発した4連装砲塔に納 めた主砲を含めて全てドイツ製の装備を搭載することに決定、結果的にはフランス製の船体にドイツ製 の艦上構造物というちぐはぐな艦容を呈することとなった。 44年3月に竣工した「クレマンソー」は予定通りヴィシー・フランス海軍に配備され、主に大西洋 での通商破壊作戦に従事することとなったが、この時期既に大西洋の制海権は連合国に奪われており、 同年10月には連合国艦隊に捕捉されて交戦の末に撃沈、あっけない最後を遂げている。なお、このと きに海戦に参加した連合国艦隊に自由フランス海軍の「リシュリュー」が参加しており、最後に「クレ マンソー」を撃沈した命中弾はこの「リシュリュー」から放たれたという説が残されている。 作者より 兵器と言うのは戦いの末に滅んでいくのが不幸なのか、己が存在する価値のない平和の中で朽ち果て ていくことこそが不幸なのか・・・・・・とかちょっとまじめに考えながらみると、未完成艦や目立つ こと無く消えた艦の中にもおいしいネタがけっこう転がっているモノです(何だそのオチは) そんな わけで、ことで今回は未完成艦の中から、「リシュリュー」級3番艦「クレマンソー」の「ひょっとし たらこんな運命もあり得たのではないか」という姿を作ってみることにしました。 外見、性能は本文の通り。頭の中でのシミュレートや、書き始めのころはえらくかっこわるい感じに なっていたのですが、最終的には思ったより普通に見られる艦になってしまってがっかり(笑) もう 少し変な艦にならなかったモノかなあ・・・・・・迷彩塗装は相変わらず適当。でもドイツ艦は直線的 で「ネルソン」の時よりはそれらしくなったのではないかと自画自賛。 艦歴はもう不幸な艦で決まり。軍隊ってのは結局祖国が無事でなんぼの商売だもんなあ。祖国が降伏 したら意地で戦っても一緒に降伏してもあまりろくな結果にはならないでしょう。 それではこの辺で。次辺りからは巡洋艦でいこうかな・・・・・・ 明石耕作 |