中華民国海軍高速戦艦〈鄭陽〉
        Repablic of China Navy High-Speed Battleship “ Zheng-Yang”


中華民国海軍高速戦艦〈鄭陽〉1938年新造時
中華民国海軍高速戦艦〈鄭陽〉1943年対空兵装強化時
中華民国海軍高速戦艦〈漢陽〉1939年新造時

【歴史的背景】
西暦1929年、ニューヨーク・ウォール街で起こった株の大暴落は瞬く間に世界中に波及し、世界を混乱と停滞のるつぼに叩き落とした。
このような事態に対し、欧州列強は自国産業保護を目的としたブロック政策を施行、有力な市場を持たぬ合衆国と対立が深まった。合衆国は保護貿易撤廃を掲げ、機会均等の門戸政策を提唱するが、膨大な戦債を抱え苦しむ欧州列強にはとうていうけいれがたいものだった。
合衆国と欧州列強、とりわけ英国との関係は悪化し、貿易問題をめぐって双方が対立するようになった。
それが決定的なものとなるのが、1933年のロンドン海軍軍縮条約であった。先のワシントン海軍軍縮会議の真の標的が日露戦争以後急速に伸長する日本海軍にあったことはいうまでもない。
だが、今回は合衆国だった。世界の五指にはいるであろう強大な海軍力になんらかの足枷をはめる必要があった。日本もまた黄過論渦巻く合衆国の世論に反発していたから、会議のなりゆきには楽観的な観測をしていた。
日本側全権は加藤友三郎だった。しかし、結局は補助艦保有比率日:英:米=7:10:8で交渉は妥結した。
しかしながら、ロンドン軍縮条約締結は日本海軍にとって屈辱的なものと映った。日本海海戦時の連合艦隊司令長官としてその名の高い東郷平八郎はこの報に激怒し、軍縮条約締結に肯定的な軍令部総長を罵倒、反軍縮キャンペーンを展開した。おりしも政権奪回をねらう鳩山一郎の「統帥権干犯」発言もあって、その後の日本では軍主導の外交政策が行われるようになる。
だが、日本は日英同盟の維持・中華民国との同盟関係強化という戦略的勝利を手中にしたはずなのだが。

中華民国では蒋介石率いる国民党が軍閥に向けて軍事攻勢をかけていた。エンセイガイ亡き後の北洋軍閥は三派に分裂していたから、北伐は比較的容易に推移した。
統一に向けて王手をかけた蒋介石が次に望んだのは強力な軍事力、とりわけ海軍だった。というのも、1841年のアヘン戦争以来中国は要地を列強に割譲しており、軍事力の近代化が愁眉となっていたらからだ。

【建造】
1915年に竣工した装甲巡洋艦〈海陽〉級も旧式化し、海軍の象徴としての戦艦が渇望されるようになった。しかし、内戦による国内経済の疲弊で財政的な余裕もなく、戦艦建造は一時危ぶまれた。
そこに手を差し伸べたのが日本であり、また英国だった。海軍休日による戦艦の建造中止で造機技術の中絶を恐れた両国は、中華民国海軍に供与する戦艦の建造に資金的・技術的努力を惜しまなかった。(とりわけ日本からすれば、仮想敵たる合衆国に対する隠し財産になりうる)
こうして建造されたのが〈鄭陽〉級である。保守整備の観点から日本に建造が依頼されたが、後に外交上の配慮から英国にも1隻発注されている。
日本戦艦の特徴である艦首材の形状を踏襲しているように、随所に日本的な部分が見られるが、英国戦艦と同じ平甲板方式の船体構造を採用している。
主砲は40.6p四五口径砲を連装4基、計8門、副砲として15.5p六五口径砲を三連装4基、計12門搭載。日本の〈長門〉級と同クラスの攻撃力を誇る。
長年にわたって蓄積された造機技術により、本級は30ノットを超える最初の戦艦となった。この高速力は第二次世界大戦でも遺憾無く発揮され、海軍作戦に多大な貢献をもたらした。

記述のように1番艦〈鄭陽〉は日本に、2番艦〈漢陽〉は英国に発注された。
このため、1番艦と2番艦とでは艦容が著しく異なる。これは艦隊でも異彩を放ち、新兵の識別訓練に好都合だったと伝えられている。
時すでに戦雲が漂っており、両国とも来る戦争に備え各種水上艦艇の整備を急ピッチで進めていたため、本級の建造はかなり遅れ、2番艦〈漢陽〉に至っては第二次世界大戦勃発のわずか三日前に引き渡された。英国による接収を免れた彼女は長い途につき、その後1番艦〈鄭陽〉とともに戦隊を組み、対米戦を戦うことになる。
ちなみに、艦名は明の遺臣鄭成功から来ていて、割譲地奪還の夢を新造戦艦に託したといわれている。

作者コメント

またまた投稿します。今回は自力で描いてみようと思い、アクセサリーのペイントで描きました。意外にうまくいったな、と思っています。
悪趣味極まりない迷彩塗装は、昔プラモで戦艦を作ったとき、遊び半分で塗った塗装を再現しています。完全な自己満足です(笑)でも結構気に入っているんですよ。
2番艦〈漢陽〉は思いつきです。日本製の船体に英国製の艦橋を載せてみるか、という発案は・・・・なんだか遺伝子工学で失敗したできそこないの怪獣のようで。