
諸元 基準排水量 : 25t 全長 : 18.00m 最大幅 : 4.30m 吃水 : 0.80m 主機/軸数 : @ 愛知「熱田21型」液冷倒立V型12気筒 離昇出力1,200hp×2/2軸 A 空技廠「ネ20」軸流式ターボジェット 静止推力475kg×2 速力 : 66.6kt 兵装 : 45cm魚雷落射機×2 昭和20年6月末、横須賀工廠において1隻の試作魚雷艇が完成し た。空技廠製タービン・ロケット「ネ20」を2基装備した噴進式魚 雷艇、試製「TR1号」である。 溯れば昭和19年、ドイツよりもたらされたBMW003Aの構造 図1枚により日本におけるジェット発動機の研究が急速な進展を見せ た。このころから航空機だけでなく、小艦艇にジェット発動機を搭載 し、高速力を発揮させようと言う計画が浮上してきたのである。 むろん、ジェット発動機だけでは初期加速力が低く、また燃料消費 量の関係から航続距離が短くなるため、レシプロ発動機を初期加速/ 巡航用に別途装備する。 ジェット搭載のために装備品の配置には工夫がなされた。 魚雷とジェットエンジンの配置位置に距離を置くため、魚雷落射機 およびレシプロ発動機を艇前方に装備し、操艇席およびジェット発動 機が艇後方に装備する。 このため高速発揮時の操艇視界が若干悪化している。 上記に記述した6月の段階では「ネ20」の納入が間に合わず、レ シプロのみの装備となっている。 7月中はジェット発動機の替わりにダミーウェイトを装備して試験 が行われている。この時はレシプロ/スクリューのみで41ktを記録し ている。 発動機は「熱田21型」であった。そもそもは艦本式71号6型ガ ソリン機関を装備する予定であったが、この主機の生産不足のため航 空機用発動機を転用する決定が為された。しかし、これまでの航空機 用発動機を転用した経験上、発動機の大直径のため推進軸の傾斜角が 大きくなる空冷星型発動機の転用は避けたかった。また「彗星」艦爆 が空冷に換装し、手に入りやすくなった「熱田21型」液冷発動機が 採用されたのだが、このため「TR1号」は試験の間中、発動機の不 調に悩まされることになった。 8月には、納入された「ネ20」を装備して、ジェット/レシプロ 全力運転によって66.6ktを発揮している。但し、全速発揮による滑走 時の艇体浮き上がりが大きく安定性はかなり悪くなり、外洋での運用 はかなりの困難を伴うと報告されている。 実際にはジェット発動機の寿命/燃費を考慮すれば、また大戦末期 の戦局を考えても沿岸防衛が主任務であり、外洋航行能力の低さはさ ほど大きな問題では無かったのではないかと言うのが後世に置ける主 流の意見である。 8月15日の日本無条件降伏によって、試製噴進式魚雷艇「TR1 号」の試験は打ち切られた。結局のところ製作されたのは初号艇のみ であり、弐号艇以降は製作計画すら決定していなかった。 (但し、木製模型の零号艇を除く) 米軍進駐後「TR1号」は米海軍に接収されたが、以後の消息は一 切不明である。 |