ユンカース Ju248B

Ju248B・側面図
Ju248B・平面図

速度、上昇性能、機体そのものの飛行特性は申し分ないMe163だったが、 あまりに短い飛行時間、ひとつ手順を間違えればパイロットを溶解してしまう 推進剤、危険なソリによる着陸、そして滑空による戦域離脱時の脆弱さ、 と効果的に運用するにはさまざまな問題が残されていた。

あまりに忙しいメッサーシュミット社の負担をやわらげるために、巡航用 ロケットによる飛行時間の延長と車輪の搭載による着陸時の安全性を高めた 後継機、Me263Aの\設計は1944年春にユンカース社に委託された。

さて、ユンカース社でMe263Aに自動スラット、バブルキャノピー等の変更を 加えた機体、Ju284Aの設計が大車輪で進められているころ、44年9月にRLMから このような機体の要求が持ち込まれた。


最大速度:800q/h以上
航続距離:巡航2時間+戦闘0.5時間以上
武装:前方固定武装 20mm×2以上
乗員:1名
エンジン:Jumo004B 又は BMW003E
用途 敵爆撃機から本土を防衛することを主たる任務とする。
その他特記事項
1.最終的には月産1000機が可能であること
2.極力、非戦略物資を機体の材質に使用すること
3.3カ月以内に1号機を初飛行させること


かなりむちゃくちゃな要求ではある。特に特記事項の2,3は無理に近い要求である。 なにせJu88夜戦型の生産で忙しい上に、Ju87の生産がやっとこさ終了したばかり である。
ユンカース社内でもこりゃ無理だ、という意見が大半を占めていた。

ところが、この要求をみたある技師が 「Ju284Aにジェットエンジンをつけることですべての条件を満たせるのでは?」 という思いつきを口にしたことから、ジェット化Ju284A, 後のJu248Bの設計が はじまった。運用が難しく飛行時間も極端に短いMe163の欠点を完全に解決 できると思われるこの案は、珍しくRLMの関心をかい、全面的な協力が ユンカース社に対して行われた。

主翼、垂直尾翼は基本的にJu248Aの設計を流用することで、設計にかかる時間を 短縮。BMW003Eエンジンの空気取り入れ口は主翼付け根に取り付けられた。燃料 タンクのスペースをできるだけ確保するため、エアダクトはかなり湾曲した形と なったが、主翼付け根に取り付けられていたMk108機関砲は胴体前部、コクピット 下に移動された。燃料タンクはコクピットとエンジンの間と主翼内に設置された。

設計はただでさえ忙しい中、大車輪で行われたが、エンジンおよび武装の変更 から意外に手間取り、開始から2ヶ月半後(平時なら奇跡的なスピードでは あるが)に終わった。なかなか完成しない巡航用の新型ロケットモーターのために はかばかしく進まないJu248Aを尻目に、Ju248Bの試作機は(休暇返上で働いた 技師達の努力の結果)1944年1月25日に完成した。エンジン交換によってもたらさ れる推力の減少 (1700kg=>700kg)がもたらす最高速度および上昇力の低下が懸念されたが、酸化剤 を搭載する必要がないことから全備重量の大幅な軽減が見込めるため、少なくと も800km/hは十分に出る、と設計陣は予想していた。

新年早々行われた試験飛行では、設計陣の予想どうり要求を上回る820kmを記録 したが、搭載燃料が少ないため、大食いのBMW003Eジェットエンジンによる 飛行時間は2時間にははるか及ばない1時間でしかなかった。しかし、Me163譲りの 良好な飛行特性は健在で、Me163に配属されたパイロットの機種転換は比較的容易な ものになると予想された。また、命がけでMe163を操縦し訓練、迎撃を行っている JG400のパイロットは試作機を操縦した後、いつ頃部隊に配備されるのかを熱心に 知りたがったという。

試作はかなり早めに終わったものの、量産までにはやはり手間取り、おまけに数十機 がロールアウトした時点で工場が連合軍の戦略爆撃により破壊されてしまい、これに よりJu248Bの生産は再開されることなく終わってしまった。

何機かの量産型と試作機がJG400で実戦に参加したと言われているが、公式記録は 残されていない。ただ、一部の連合軍パイロットが「30分以上戦域にとどまっている Me163を見た」と基地に報告したという記録が残されているのみである。

諸元 全長: 7.92m
全幅: 9.50m
高さ: 2.70m
最高速度: 820km/h
巡航時間: 1時間
航続距離: 800km
機体重量: 2265kg
全備重量: 3950kg
武装: ラインメタルMK108 30mm機関砲 x 2(弾薬各60発)


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機体重量は、酸化剤を必要としない(空気中の酸素で十分なはずですから)ため に、Me163よりもかなり軽く仕上がるだろう、という推測から来ています。無理だ!
と言う声が聞こえてきそうですが…

あとこの機体、仕上げてから気づいたのですが、タービンの交換が実にやりにく いはず。代用鋼を使わざるをえなかったドイツジェットエンジン機はやはりポッ ドにエンジンを搭載しないといけないのかもしれない。うーむ…

ただ、基本的にはMe163とよく似た(はずの)機体ですから、JG400のパイロット にはかなり評判がよいのでは?と思います。