立川飛行機 キ69 試作直協偵察機

キ69

 昭和14年12月、陸軍は九八式直接協同偵察機の後継機を満州 飛行機に発注していた。しかし、陸軍は満州飛行機の開発能力に不安 を抱き、15年2月、立川飛行機にもキ69として新たにの直協偵察 機の開発発注を行った。
 要求内容は満州飛行機に提示したものとまったく同じで、下方に対し 360度の視界を有することを絶対条件とした。また、防御武装の強化 として後上方および前方に12.7o旋回機関砲の搭載を要求した。
 満州飛行機の機体がこの要求に対し肩翼配置の主翼に双発とし、機首 に爆撃機のような透明風防を配置するという比較的オーソドックスな 設計としたのに対し、立川飛行機ではより優れた視界を追及し、双胴 の機体の中央翼下面に前方に突き出す形で鳥籠を思わせる偵察席を配置 した。その双胴の胴体は左側を操縦席、右側を後方銃手席としていた。 エンジンにはすでに余剰品となりつつあった中島製のハ25を選定、 翼平面形は九八式直協偵のものを踏襲した。
 陸軍による比較テストでは満州飛行機のキ68をすべての性能面で圧倒。 特に最大速度では100q/h近い差をつけた。
 反面、3人の乗員がまったく切り離されて、コミュニケーションの面で問題 があったのと、胴体着陸時に偵察員の生命確保が絶望的であった。また、 直協偵察機であるにもかかわらず、過剰なエンジンを装備して不必要に 最大速度などを追及したことにより、軽快性、離着陸性能の面で満州 飛行機の機体に大きく劣り、また、そのために機体が高価になったことも あり、結果的に満州飛行機のキ68が採用され、二式直協偵察機としてと なった。このため立川製のキ69は試作のみで終わった。
 その後の試作機は、特異な形態が災いして他の機種に転用することも できず、昭和18年にはスクラップ処分にされた。


諸元

全長:12.96m
全幅:16.44m
自重  :3660s
全備重量:5120s

武装:前方防御 12.7o機関砲×1
    後方防御 12.7o機関砲×1

エンジン:中島 ハ25 空冷複列星型14気筒 970馬力×2

最大速度:502Km/h
航続距離:1460q
爆弾:最大500s


胃袋3分の1からのコメント:
 「もうひとつの競争試作」と題しまして、私個人で直協偵察機を題材に やってみたうちの2機目です。これは「落書き」の部屋に展示されている 直協偵察機をほとんどそのまま画像化したもので、違いとしては垂直尾翼 がオーソドックスな2枚ものになったことぐらいです。この機体、落書き部屋 から昇格した最初の機体になりました。
 この機体は「高性能な機体でも軍の意図を確実に捉えていないと不採用 になり得る」という教訓を示しています。これを競争試作の参考にしていた だければ幸いです。