=諸元=
主要寸法 全長 11.55m 全幅 13.55m 全高(3点姿勢)プロペラ先端 4.6m 尾翼上端 2.3m 3点姿勢角 11.5度
主翼
単桁構造 主桁 35% 補桁 65% 35%位置で左右一直線 主翼面積 33.3u 内翼下反角 15度 外翼上反角 9度 翼弦長 中央 3.0m エルロン外端部 1.5m
取付け角 翼根 1.5度 翼端 0度
翼厚 翼根 15% 翼端 9%
フラップ スロテッド式 翼弦比 30%
エルロン
フリーズ式 翼弦比 25%
V字尾翼
上反角 25度 面積 12.5u (上反角0度で計測)
発動機
ウバッヘン・ウッヘンホーヘン社製 『ゴルゴロップ』 空冷三重星21気筒 内径 155o 行程 140o 総容量 55475cc
離昇出力 2550馬力 エンジン外径 1.1m 緊急出力 2900馬力
乗員 1名
重量 全備重量 6500kg 過苛6750kg 最大7250kg
機外兵装 標準 1500kg 500kg爆弾 x2 15cmロケット弾 x6 300リットル増漕 x1
過苛 1750kg 500kg爆弾 x2 15cmロケット弾 x6 550リットル増漕 x1
最大 2250kg 1000kg爆弾 x2 300リットル増漕 x1
プロペラ 二重反転 6翅 前ペラ直径 3.8m 後ペラ直径 3.65m
降着装置 主車輪 直径 80cm 幅 25cm 尾輪 直径 30cm 幅 12cm
左右車輪間隔 3.3m
胴体
最大幅 1.15m
射撃武装 高初速15mm機関砲 『ハリクトロンチェス』 x4 (外翼)
格比
翼面苛重 195.19kg/u
馬力荷重 2.54kg/hp
主翼縦横比 5.51
発動機のリッター馬力 45.9hp/l
=基本概念= 地上攻撃機に最低限、求められる要素は何だろうか? 『地上攻撃という任務を完遂できない機体は、地上攻撃機とは呼べない』 すなわち敵戦闘機につかまって簡単に撃墜されるような機体は もはや地上攻撃機ではなく、空飛ぶ棺桶、撃墜スコア献上機なのである 米国のような圧倒的航空兵力を持つ国であれば護衛戦闘機を好きなだけ随行させ、 空飛ぶ棺桶でも立派に任務を完遂できるであろう だがそういう前提では面白い機体は出来上がらない むしろ米国のような国にひとあわ吹かせる機体こそが、面白い機体なのである
上の意味から言うと本機も決して地上攻撃機とは呼べない 敵戦闘機につかまった場合は爆弾を投棄して戦うからである。
=本機の設計思想=
@高々度性能は捨て、低空性能の向上に徹する
高々度飛行のための装置、器具は低空ではただのお荷物である
A空冷星型エンジンを使用
液冷エンジンよりは被弾に強く、整備点検も楽
B地上2000m以下の空戦では敵戦闘機に勝つ
本機は空戦も可能な地上攻撃機ではなく、地上攻撃も可能な戦闘機である
C優秀な前下方視界
地上攻撃の目標確認、地表すれすれの飛行を苦にしない
D敵味方識別の容易化
味方戦闘機、味方対空砲から見て、識別しやすい事、敵機と似ていない事
=実際の設計と特記事項=
上記@の意義を知るため高々度飛行に必要な装置、器具を列挙してみる
高圧過給器、過給空気冷却器、その高圧配管、乗員用酸素ボンベ、それらを搭載する胴体空間、
高空用大直径プロペラ、その分長く重い脚柱、気圧差に耐える強靭なタイヤ
本機は『低空専用』化することでこれらの重量から開放されている
ただし低空では燃料消費が大きいので巡航のために中高度性能は保持する
これは標高の高い地域で『低空』性能を発揮するためでもある
敵戦闘機と対等に戦うには出力の大きいエンジンが必須だった、 しかし大出力の空冷エンジンは外径もまた大きく、前下方視界との両立が難しい 発動機メーカー『ウバッヘン・ウッヘンホーヘン』社は以前からこの問題の解決に取り組み ついに2種のエンジンを完成させた
空冷三重星型27気筒エンジン 『アストロット』 2570馬力 エンジン外径 1.10m 気筒内径 150_ 行程 120_ 総容量 57255cc
空冷三重星型21気筒エンジン 『ゴルゴロップ』 2550馬力 エンジン外径 1.10m 気筒内径 155_ 行程 140_ 総容量 55475cc
両エンジンの設計は基本的に同じで 最新の技術、マスターロッド方式、気化器を持たない燃料噴射方式も共通だった ただアストロットの方は大馬力と低燃費の両立に重点が置かれ ゴルゴロップの方は軽量化に重点が置かれていた
本機ではゴルゴロップが採用された、優れた出力重量比と前後長の短さが決め手になった アストロットは外径こそゴルゴロップと同じだったが前後長は約30センチ長い のちにアストロットは本機とは逆に高空飛行用エンジンになった
2550馬力の大出力で単回転のプロペラを回すのは操縦性、安定性、共に強烈な悪影響が予想され 思い切って二重反転プロペラを採用した プロペラの翅数を増やすとプロペラ効率が下がるので、2翅 x2 にしたい所だったが デリケートな二重反転機構のトラブルを避けるため 回転バランスの良い(振動が少ない)3翅プロペラを採用した
さて直径が小さいエンジンを選んだのは良かったが、その分、脚柱は長く、重くなる、 逆ガル翼が採用されたのはこのためであった
B『敵戦闘機に勝つ』事は本当に可能だろうか? 一般に戦闘機は高空性能を捨てるわけにいかず、”お荷物”をかかえている
さらに過給器の全開高度が高空寄りに設定してあり、その分低空性能を犠牲にしている
(ただし流体接手等の無段過給器を装備している場合はどの高度でも全開出力が得られる)
本機の馬力荷重と翼面荷重は全備重量で 2.54kg/hp 195.19kg/u と見積もられた 爆弾類を吊るしたまま戦うわけではないので、 戦闘時は 1.96kg/hp 150.15kg/u となる この数値は敵戦闘機と対等以上に戦えることを示している
本機は敵戦闘機との空戦を受けて立つだけではない、
低空を徘徊する敵の爆撃機が本機と出くわした場合、ただでは済まないのである
最初から爆弾を積まず、迎撃発進する事も可能である
本機の射撃武装は空戦使用を最重要視し、戦闘機が装備している機関砲を採用した 砲口初速 1000mの15mm機関砲 『ハリクトロンチェス』である
D『敵味方識別の容易化』『敵機と似ていない事』 これは実にめずらしい要求である 本機ではV字尾翼の採用でこれに応えた
V字尾翼の上反角が浅いのは、主翼の縦横比が小さく、 垂直尾翼面積よりも水平尾翼面積の要求が大きいからである 舵面は断面を太らせて操舵を軽くすると共に、舵効きを高めた(膨らまし舵面)
V字尾翼採用のもうひとつのメリットは尾翼自体が被弾に強くなる事である 20mm以上の炸裂弾が尾翼に当たると、まず千切れ飛ぶ公算が大きい V字尾翼では翼弦も翼厚も増すので桁に当たらない限り、穴があくだけですむ
=その他の特徴= 推力式単排気管を採用
エンジン吸気取り入れ口と一体整形の中央増漕架 主翼が始まる直前から幅が細り始め、干渉抵抗を低減している
ロケット弾架は前後にずらして配置し干渉抵抗を低減した
滑油冷却器はエンジンカウル前縁に内蔵
主脚は二段引込みで、まず緩衝部25cmを引込んでから回転して翼内に納める
V字尾翼は操舵角によっては胴体に強いねじり荷重を加えてしまう
本機では後部胴体の絞り方を緩やかにし太い断面を尾翼取り付け部まで維持した
本機のように燃料タンクが乗員の前にあると、 火災発生時は炎に焼かれ、機体がまだ飛べそうでも脱出を余儀なくされてしまう。 本機では不燃ガスを噴射、充満させる消火システムを採用し、 乗員は窒息を避けるため、平時から外気を導いたマスクを装着するようにした
=テストパイロットからの報告= 二重反転プロペラは劇的に操縦性、安定性を高めた 特に射撃照準は抜群で、より速く狙いをつられ、命中精度も高くなった
視界も抜群である、前下方視界どころか後下方までよく見えるので しっかり見張れば奇襲は受けにくい
複合的に舵を使うと予期しない挙動をおこすが修正は困難ではない、
エルロンとラダーを同時に操作すると素早い横転ができる
独特の乗り味を持つが欠点とまでは言えない
=覚書= 実は全ての戦闘機パイロットは敵味方を問わず、地表近くの低空におりる事を嫌っている 対空砲から撃たれたくないし、低空におりている所を敵の戦闘機に見つかったら 不利な戦闘をしいられるからである。 やむをえずおりる時は必ず上空援護組みを残すが 援護するためには1000m程度の上空に居なければならず、 それすなわち敵戦闘機にみつかればオダブツな高度に他ならないのである いったん空戦が始まると敵味方ともチリヂリになって、たちまち広範囲にひろがってしまい 到底援護しきれるものではない、ばらばらにはぐれて弱身をさらすより ほどほどの所で切り上げて集合するのが関の山なのである
単回転プロペラに起因する不安定性は、敵機と渡り合う中において有効な場面もある 格闘で敵機の後ろに食い込もうとする時、 後ろに食いつかれ、急機動で敵弾を回避する極限状態のほか 同型機における模擬空戦ではこれをうまく引き出す者が勝利を得るのである
逆ガル翼は理想の翼ではない、理想とはほど遠い翼である 揚力の発生方向が寝ており、真上の分力で見ると小さい 屈曲部は特に問題が大きい 常に干渉抵抗が発生している、 主翼揚力は常にこの部分をへし折ろうとする方向に働いている フラップが分断される 最大厚さ位置を過ぎると気流の流れ込みが不足し始め、失速の発起点になる (本機では翼根の翼弦長をそのまま屈曲部まで維持し,その外側から翼弦を絞っているので失速特性は良好)
=ハリクトロンチェス= について この砲は戦闘機搭載専用砲として開発された、
当初は故障もあり不評だったが、やがて本領を発揮し始める 砲口初速が非常に高く、弾道特性と貫徹力に優れている反面、連射速度が今ひとつで
パイロットによって好き嫌いがわかれた
当初は炸裂弾も使用されたが炸薬量が少なく、手間と費用の割に効果が薄いとされ、炸裂弾は廃止された 従って砲ではなく機銃と呼ぶべきかも知れない 弾種は徹甲弾、曳光焼夷弾の二種に簡略化されたが、のちに裂尖弾が追加された これは敵機のゴム防漏式燃料タンクに大穴をあける目的で開発され、弾頭に切れ込みが入っており 命中角度にもよるが翼内タンクには効果が高かった
口径 15.0mm
砲全長 2150mm
重量 47.5kg
砲口初速 1000m/s
連射速度 600発/分
弾重量 81g(徹甲弾)
|