川崎 三式急降下爆撃機(キ66)

キ66

−概要−
  昭和15年12月22日、山下中将を団長とする視察団がドイツに向かって
 東京駅を出発した。目的はドイツ軍の電撃戦の調査である。半年に及ぶ
 視察の後、視察団は日本に帰国したのがその研究報告は充分に検討され
 る事は無かった。
  しかし、Ju87の活躍に注目した陸軍は改めて航空部隊と地上部隊の協
 同の重要性を実感し、昭和16年9月には川崎に対し新しい急降下爆撃機の
 試作を命じた。

  土井技師と大和田技師の二人が中心となって開発が始められたが、設
 計期間の短縮と生産転換が容易になるように既に制式採用されたキ48と
 同月に初飛行したキ45改の設計を元にしてそこから更に性能と生産性の
 向上を狙った。
  全体の設計は基本的にキ45改の流用でコックピットが地上目標の発見
 を容易にするために前方に移動させた以外は特に大きな違いは無い。
  本機のフラップは翼面荷重が元のキ45改よりも高くなった事を受けて
 形式を二重フラップとした。さらにフラップ直前に気流を上方に導く為
 の補助フラップを取り付けた。なお、この補助フラップは急降下爆撃時
 にはエアブレーキとして使われる。
  飛行機でもなんでも、動力のある全ての乗り物にも言えると思うが、
 心臓とも言える発動機は三菱のハ112とすることでパワーを向上させた。

  設計中、特に大きな問題も無く作業は順調に進み、昭和17年の暮れに
 は初飛行に成功した。性能試験の結果は原型とも言えるキ45改をも上回
 り、しかも大きなトラブルは発生しなかった。ただ、方向安定にやや不
 安があったので垂直尾翼に背びれを取り付けてこれを解決した。

  更に試験・改良を加えつつ、昭和18年6月には三式急降下爆撃機一型と
 して制式採用されるまでに至った。

 要目:三式急降下爆撃機一型(キ66甲)
  全長・・・・11.50m
  全幅・・・・15.97m
  全高・・・・3.70m
  翼面積・・・34.00u
  自重・・・・4600kg
  全備重量・・6800kg
  最高速度・・560km/h(高度6000m)
  航続距離・・2000km
  発動機・・・三菱「ハ112」(離昇出力1300馬力)×2
  武装・・・・機関銃(砲):20mm×2、7.7mm×1(後席)
         爆弾:500kg(あくまで標準、実際は積めるだけ(爆))
  乗員・・・・2名

  このキ66で編成された最初の戦隊である第○×戦隊(笑)は一通りの完
 熟訓練が行われた後、海軍の小型空母を使って海上輸送する組と、フィ
 リピンを経由して空輸する組に分かれてニューギニア方面の陸軍航空の
 本拠地とも言えるウェワクに進出した。昭和19年1月の事である。ただ、
 空輸組は途中の事故などで戦力の1割を喪失してしまった。
  当時のニューギニア東部の陸軍機は精々60機程度、一方の連合軍は約
 1000機を揃えていた。日本軍に制空権は殆ど無かった。
  ○×戦隊に対する期待は大きく、進出直後から地上部隊の支援や対艦
 攻撃に投入され他には船団の護衛、更には本職ではない爆撃機の迎撃ま
 で行ったりもした。
  結果から言うと3ヶ月も立たない内に○×戦隊はその戦力を失ってしま
 った。整備はキ61などと比べると遥かに容易で、しかもキ45改やキ48と
 共通のパーツを使っている事もあって「共食い」し易い、などの要因によ
 り稼動率は高く、地上で破壊された機は少数派だったのがせめてもの慰
 めと言える。

  一方、キ66の改良は当初から指摘されていたコックピットの位置から
 来る機首の武装の強化の難しさが祟って固定武装の強化には一苦労した。
 なんとか37mm機関砲1門を胴体下方に取り付けたが、外側にはみ出した部
 分もあるのでそこを整形した分抵抗が増えて速度が若干低下してしまっ
 た。37mm機関砲搭載型はキ66乙と名づけられ、それまでの生産型はキ66
 甲と名づけられた。更にその後、ニューギニアでの戦訓から敵重爆迎撃
 の重要性からキ66乙に20mm機関砲2門を斜銃として搭載したキ66丙も採用
 された。
  キ66は次第に双発急降下爆撃機よりも双発戦闘機として使われるよう
 になっていった。

  キ66が制式採用された直後、その改良型として発動機を強化して飛行
 性能を向上させたものをキ66-Uとして研究が始められた。
  改良はキ66乙をベースに、武装搭載方法を改善を始めとして垂直尾翼
 の形状の変更などが行われた機体にハ112を強化したハ112-2が搭載され、
 最高速度は575kmをマークした。
  これをキ66-U甲として昭和19年4月から生産が開始された。
キ66U甲…あまり変わってませんね(^^;)
 要目:三式急降下爆撃機2型(キ66-U甲)    全長・・・・11.50m    全幅・・・・15.97m    全高・・・・3.70m    翼面積・・・34.00u    自重・・・・4900kg    全備重量・・7200kg    最高速度・・575km/h(高度6000m)    航続距離・・2000km    発動機・・・三菱「ハ112-2」(離昇出力1500馬力)×2    武装・・・・機関銃(砲):20mm×2、37mm×1(機首)、7.7mm×1(後席)          爆弾:500kg(あくまで標準、実際は積めるだけ(爆))    乗員・・・・2名   このキ66-U甲に20mmの斜銃2門を装備したものをキ66-U乙と名づけら  れ、キ66U-乙に僅かに遅れて生産が開始された。   この頃になるとキ48の生産は打ち切られ、その生産ラインはそのまま  キ66の生産ラインに変更された。生産転換による現場の混乱は殆ど無く、  昭和19年も後半に差し掛かると川崎全体で月産100機程度を維持する事に  成功した。これはキ45改の生産ラインの一部をキ66の生産ラインへと変  更した事も大きく働いている。   軍はキ45改の後継をキ66とその改良型と考えるようになっていた。   それはともかく、キ66-Uが纏まって運用され始めたのは昭和19年10月  頃からの事で、後退した前線はフィリピンにまで迫っていた。   フィリピンでの戦いはキ66にとっても決して楽な戦いとは言えなかっ  た。完全に制空権が確保されていない以上、爆撃機は活躍する事は難し  く、損耗ペースは補充ペースよりも遥かに上回っていた。   なお、キ66-U乙に電探を搭載した“夜間戦闘機型”はキ66-U丙とし  て採用され、夜間のB29迎撃の要として活躍した。   キ66は戦争が終結する昭和20年6月の敗戦までに合計1500機以上が生産  され、キ96・キ102・キ108の母体ともなった。   急降下爆撃機として開発されたキ66は最終的に戦闘機としての運用を  はじめとする多用途機として最後まで活躍したのだった。  キ66の主なタイプ  ・キ66:試作機。  ・キ66甲:キ66の生産型。  ・キ66乙:キ66甲の武装強化型。胴体下部に37mm機関砲1門を搭載。  ・キ66丙:キ66乙に20mm機関砲2門を斜銃として搭載。  ・キ66-U甲:キ66乙の武装搭載法を改善して発動機をハ112-2に強化。  ・キ66-U乙:キ66-U甲に20mm機関砲2門を斜銃として搭載。  ・キ66-U丙:電探搭載の“夜間戦闘機”型。 −コメント−   キ66なんて必要ありません。キ45改さえあれば十分です(爆)。   史実のキ66も制式採用されてないのでそうなんでしょうが、今回は敢  えて無視です。   双発の多用途機を書いてみたい自分としてはキ66は格好の題材だった  んです(笑)。機首と一体化しそうでしていない(と思う)コックピットは  拘りで、14th競作のキ80もそれが出ています。ただ、今回はそれが裏目  に出て武装の強化をし難くしてしまいました。まあ、何とか解決(?)し  ましたが…。   また、バリエーションを楽しむのは双発機の醍醐味と言えるかもしれ  ません。その意味では今回は楽しませていただきました。   あと、キ96・キ102・キ108も描こうと思ったりもしますが、コックピ  ットを前に寄せればどんなものか容易に想像できるので保留です(^^;)。   それと、フラップは彗星や銀河とほぼ同じ物だったりします。   最後に、終戦が2ヶ月早いのは「雲龍」にも描きましたが可哀想だから  です(笑)。   背景が白の作品は私のオリジナルの世界、背景が青の作品は競作の世  界、と言う風に区別しています。よって、「旗風」型から始まる一連の仮  想艦群とこのキ66は設定上、同じ世界に存在します。まあ、最近は昔の  作品をリメイクしてしまいたい衝動に駆られたりしていますが…。  (2001年11月19日)